先に説明した方法では、デュアルノードと IPv4 ノード間で相互運用をします。その場合、デュアルノードには IPv4 アドレスがあります。また、IPv6 専用ノード (また IPv4 アドレスのないデュアルノード) と IPv4 専用ノードの間では先に説明した方法は相互運用ができませんでした。ほとんどの実装はデュアルにできますが (デュアルかどうかはコードのメモリーフットプリントだけの問題)、現実には、IPv4 専用ノードとの相互運用が必要なすべてのノードごとに 1 つのアドレスを割り当てるのに充分な IPv4 アドレス領域があるかどうかが問題です。
次に、新しい移行機構がなくても相互運用を実現できる方法を示します。
IPv6 専用ノードとインターネットの他の要素との間にアプリケーション層ゲートウェイ (ALG) を配置する。現在使用されている ALG としては、HTTP プロキシとメールリレーがある
IPv4 用の NAT ボックス (ネットワークアドレストランスレータ) をすでに売り出している会社もある。これは、内部のプライベート IP アドレス (ネットワーク 10 など。RFC 1918 参照) と外部の IP アドレスの間の変換を行う。このような会社では、IPv6 から IPv4 アドレスへの変換もサポートするように、NAT ボックスをアップグレードする可能性が高い
残念ながら、ALG と NAT のどちらの方法も、弱点があります。これらの方法を使用すると、インターネットの基盤がかなり弱まります。IETF では、IPv6 専用ノードと IPv4 専用ノードとのより良い相互運用性のために努力しています。1 つの提案としては、必要に応じて IPv4 互換アドレスを割り当てる方法でヘッダートランスレータを使用する方法があります。別の方法としては、必要に応じて IPv4 互換アドレスを割り当て、IPv6 トンネルで IPv4 を利用して IPv6 ルーターをブリッジできます。
ステートレスヘッダートランスレータでは、使用中の IPv6 アドレスを IPv4 アドレスとして表現できれば (IPv4 互換か IPv4 マップアドレスであること)、IPv4 ヘッダーフォーマットと IPv6 ヘッダーフォーマットの間の変換が可能です。変換時に情報が失われないよう暗号化されているパケットや、ソースルーティングなど使用頻度の低い機能を除外することで、これらトランスレータのサポートが IPv6 プロトコルに組み込まれています。