動的ポイントツーポイントリンクを持つダイヤルインサーバーを使用するサイトでは、ポイントツーポイント通信の利点を最大限に活用することができます。この構成タイプについては、第 21 章「PPP の概要」で概説しました。この構成では、必要時に動的にポイントツーポイントリンクを割り当てる少なくとも 1 つのダイヤルインサーバーと、リモートホストとの間で通信が行われます。この節では、図 23-2 に示す構成例に基づいて説明を進めます。
各リモートホストは、標準のポイントツーポイントリンクを使用してダイヤルインサーバーと通信します。しかし、図 23-1 に示したマルチポイントダイヤルインサーバーとは違って、ダイヤルインサーバー mojave は、動的ポイントツーポイントリンクを介して呼び出し側ホストに接続されます。リモートホストのどれかが接続を確立しようとすると、サーバーが使用可能なリンクを割り当てます。
動的リンクの基本概念は、接続確立のたびにサーバーがクライアントに IP アドレスを供給するというものです。接続を確立すると、使用可能な IP インタフェースをサーバーがクライアントに割り当てます。その後、接続が継続している間、インタフェースのリモート IP アドレスがクライアントの IP アドレスになります。接続を終了すると、使用可能なインタフェースのプールに IP インタフェースが戻され、別の接続に使用できる状態になります。
動的リンクの構成には、リモートホスト対マルチポイントダイヤルインサーバーの場合と同じ一般的な手順を用います。この手順については、「構成プロセスの概要」に説明があります。ただし、動的ポイントツーポイントリンクには独自の必要条件がいくつかあり、そのため構成に関係するファイルに対する修正の方法も少々異なります。
リモートマシンの hosts データベースを構成するための手順は、次のとおりです。
スーパーユーザーになります。
リンクの反対側にある各ダイヤルインサーバーについて、一次ネットワークインタフェースの IP アドレスとホスト名を /etc/inet/hosts ファイルに追加します。
たとえば、図 23-2 では、nomada、nomadb、および nomadc の /etc/inet/hosts ファイルには、ダイヤルインサーバー mojave の一次ネットワークインタフェースの IP アドレスが入ります。
ダミー IP アドレスを追加します。
この IP アドレスが使用されるのは、PPP の起動時だけです。
nomadc の /etc/inet/hosts ファイルは、次のように表示されます。
# Internet host table # 127.0.0.1 localhost loghost 192.41.40.55 mojave 1.2.3.4 dummy |
ダイヤルインサーバーの物理ネットワーク上にあって、リモートホストからリモートログインできるすべてのマシンの IP アドレスを、/etc/inet/hosts ファイルに追加します。
物理ネットワーク上にあるネームサーバーのデータベースを、リモートホストのホスト名と IP アドレスに更新します。
ダイヤルインサーバーの hosts データベースには、PPP 固有のアドレスを追加する必要はありません。動的割り当てリンクは、サーバーのネットワークインタフェースを使用する必要があります。したがって、ダイヤルインサーバーの hosts データベースを構成するには、次の作業を行います。