Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

autofs について

NFS サービスを使用して共有されるファイルシステムは、「自動マウント」と呼ばれる方法によってマウントできます。クライアント側のサービスである autofs は、自動マウントを実現するファイルシステム構造です。autofs のファイルシステムは、automount で作成されます。automount は、システムを起動すると自動的に実行されます。automountd という常駐型の automount デーモンが、必要に応じてリモートディレクトリのマウントとアンマウントを行います。

automountd を実行しているクライアントコンピュータ上のユーザーがリモートのファイルまたはディレクトリにアクセスしようとすると、そのファイルまたはディレクトリが所属するファイルシステムがこのデーモンによってマウントされます。このリモートファイルシステムは、必要な間はマウントされたままです。リモートファイルシステムが一定時間アクセスされないと、自動的にアンマウントされます。

ブート時にはマウントする必要はなく、ユーザーはディレクトリをマウントするためにスーパーユーザーのパスワードを知る必要はありません。ユーザーが mountumount コマンドを使用する必要もありません。autofs は、ユーザーの介入なしに、必要に応じてファイルシステムをマウントまたはアンマウントします。

automountd によって一部のファイル階層をマウントするということは、mount によって他のファイル階層をマウントしないということではありません。ディスクレスコンピュータは、mount/etc/vfstab ファイルを使用して / (ルート)、 /usr、および /usr/kvm をマウントしなければなりません。

autofs サービスについては、「autofs 管理作業の概要」「autofs のしくみ」で詳しく説明します。

autofs の特徴

autofs は、ローカルの名前空間に指定したファイルシステムで動作します。この情報は、NIS、NIS+、およびローカルファイルに保存されます。

Solaris 2.6 には、完全にマルチスレッド化された automountd が含まれています。この拡張によって autofs はさらに信頼性が高まりました。また、複数のマウントを同時にサービスできるようになったため、サーバーが使用できないときにサービスが停止することも避けられます。

この新しい automountd には、オンデマンドマウント機能もあります。今までのリリースでは、階層に含まれるすべてのファイルシステムがマウントされていました。これからは、一番上のファイルシステムしかマウントされません。そのマウントポイントに関係する他のファイルシステムは、必要に応じてマウントされます。

autofs サービスで、間接マップを表示できるようになりました。これによりユーザーは、どのディレクトリがマウントできるかを確認するためにファイルシステムを実際に 1 つずつマウントする必要がなくなります。autofs マップに -nobrowse オプションが追加されたので、/net/home などの大きなファイルが自動的に表示されることはありません。また、automount に対して -n を使用することによって、autofs の表示機能を各クライアントでオフにすることもできます。