Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

第 33 章 メールサービスの導入

電子メールサービスの設定と維持管理は複雑な作業であり、ネットワークの日常の運用にとっても不可欠です。ネットワーク管理者は、既存のメールサービスを拡張したり、新規のネットワークやサブネットワークにメールサービスを設定することが必要なこともあります。ネットワークでのメールサービスの計画に役立つように、この章ではメールサービスの概念について説明し、典型的なメール構成の設定に必要な作業を手短かに述べます。

sendmail の新しい機能

Solaris 8 リリースには sendmail のバージョン 8.9.3 が付属しています。次にこの新しいバージョンに含まれている重要な変更およびユーザーの目につきやすい変更について説明します。

Solaris 版の sendmail については、次のホームページを参照してください。http://www.sendmail.org/sun-specific/migration+sun.html

その他の sendmail の情報

次に、上記以外の sendmail 関連のホームページを示します。

メールサービスに関する用語

メールサービスを確立するためには、多くのソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントが必要になります。次の節ではこれらのコンポーネントとその説明に使用されるいくつかの用語について簡単に説明します。

最初の節では、メール配信システムのソフトウェア部分を説明するのに使用される用語を定義します。その次の節では、メール構成におけるハードウェアシステムの機能について取り上げます。

メールサービスソフトウェアコンポーネントの概要

次の表にメールシステムのソフトウェアコンポーネントを示します。ソフトウェアコンポーネントすべてに関する完全な説明については、「メールサービスソフトウェアの関連用語」を参照してください。

コンポーネント 

説明 

.forward ファイル 

ユーザーのホームディレクトリ内で設定して、メールを自動的にリダイレクトしたり、プログラムに送ったりすることができるファイル 

メールボックス 

メールサーバー上にあり、電子メールメッセージの最終受信先であるファイル 

メールアドレス 

メールメッセージが配信される受信者またはシステムの名称が含まれる 

メールエイリアス 

メールアドレス内で使用されている代替名 

メールキュー 

メールサーバーによる処理を必要とするメールメッセージの集まり 

ポストマスター 

メールサービスについての問題を報告し質問を出すために使用される、特別のメールエイリアス 

sendmail 構成ファイル 

メールのルーティングに必要なすべての情報の入ったファイル 

メール構成のハードウェア要素

メール構成では次の 3 つの要素が必要ですが、これらは同じシステムで組み合わせることも、別のシステムで提供することもできます。

ユーザーがドメイン外のネットワークと通信をするためには、4 番目の要素であるメールゲートウェイを追加する必要があります。

図 33-1 には、一般的な電子メール構成を示しますが、ここでは基本的な 3 つのメール要素とメールゲートウェイが使用されています。次の節では、各要素について説明します。

図 33-1 一般的な電子メール構成

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各要素については、「メール構成のハードウェア要素」を参照してください。