DHCP サーバーで使用されるすべてのデータは、2 つのデータリポジトリに格納されます。これら 2 つのデータリポジトリは、DHCP Manager またはコマンド行ユーティリティのいずれかを使用して表示および管理できます。2 つのデータリポジトリは、次のとおりです。
dhcptab - クライアントに渡すことが可能な設定情報を含んでいるファイル
DHCP ネットワークテーブル - テーブル名に指定されたネットワーク上に存在している DHCP および BOOTP クライアントに関する情報を含んでいるテーブル。たとえば、ネットワーク 134.20.0.0 には、134_20_0_0 という名前のテーブルがある
ローカルディレクトリ上のファイル、または NIS+ データベースに、DHCP データを保存できます。データの保存方法の選択については、「データ保存方法の選択」を参照してください。
dhcptab ファイルには、クライアントが DHCP サーバーから入手できるすべての情報が入っています。DHCP サーバーは起動するたびにこのファイルを走査します。
DHCP プロトコルは、クライアントに渡すことができる情報の標準的な項目を多数定義しています。これらの項目は、パラメータ、シンボル、またはオプションと呼ばれます。DHCP プロトコルでは、オプションは数値コードとテキストラベルで定義されており、値は与えられていません。例として、一般的に使用されている標準オプションの一部を表 8-1 に示します。
表 8-1 DHCP 標準オプションの例
コード |
ラベル |
説明 |
---|---|---|
1 |
Subnet |
サブネットマスク IP アドレス |
3 |
Router |
ルーターの IP アドレス |
6 |
DNSserv |
DNS サーバーの IP アドレス |
12 |
Hostname |
クライアントホスト名 |
15 |
DNSdmain |
DNS ドメイン名 |
オプションの中には、管理者がサーバーの構成中に情報を提供すると、自動的に値が割り当てられるものがあります。また、管理者は後で、他のオプションに値を明示的に割り当てることもできます。オプションとその値はクライアントに渡され、設定情報を形成します。たとえば、オプションと値のペアである DNSdmain=Georgia.Peach.COM は、クライアントの DNS ドメイン名を Georgia.Peach.COM に設定します。
オプションは、マクロとして知られているコンテナ内で他のオプションと共にグループ化することができ、これによりクライアントへ容易に情報を渡すことができます。マクロの中には、サーバー構成時に自動的に作成され、構成時に値が割り当てられるオプションを含むものがあります。また、マクロには他のマクロを含めることもできます。
dhcptab ファイルのフォーマットは dhcptab(4) のマニュアルページに記載されています。DHCP Manager では、オプションとマクロタブに示されているすべての情報は dhcptab ファイルから得られます。オプションについては 「オプションについて」、マクロについては 「マクロについて」を参照してください。
dhcptab ファイルはテキストファイルですが、手作業では編集できないことに注意してください。オプションやマクロを作成、削除、変更するためには、dhtadm または DHCP Manager のいずれかを使用する必要があります。
DHCP ネットワークテーブルは、クライアントの識別子を IP アドレスと、各アドレスに関連した設定パラメータに対応付けます。ネットワークテーブルのフォーマットは、dhcp_network(4) に記載されています。DHCP Manager では、Addresses タブに示されるすべての情報はネットワークテーブルから得られます。