IPv6 近傍探索プロトコルは、IPv4 プロトコル ARP (アドレス解決プロトコル)、ICMP ルーター発見、ICMP リダイレクトを組み合わせたようなものです。ホスト条件ではデッドゲートウェイ検出 (近傍不到達検出の課題) に対応できる可能性のあるアルゴリズムがいくつか指定されていますが、IPv4 には近傍不到達検出に全般的に対応できるプロトコルや機構はありませんでした。
近傍探索プロトコルでは、IPv4 プロトコルセットに対するさまざまな強化措置が施されています。
ルーター発見はベースプロトコルセットの一部であり、ホストがルーティングプロトコルをスヌープする必要はない
ルーター通知ではリンク層アドレスが伝達される。ルーターのリンク層アドレスの解決に、これ以外のパケット交換は不要
ルーター通知ではリンクのプレフィックスが伝達される。ネットマスクを設定する独立した機構は不要
ルーター通知では、アドレス自動設定が使用可能になる
ルーターでは、MTU が定義されていないすべてのノードで同じ MTU 値を使用するように、ホストがリンクで使用する MTU を通知する
アドレス解決マルチキャストは、40 億 (2^32) マルチキャストアドレスに展開され、宛先以外のノードに対するアドレス解決関係の割り込みを大幅に削減した。さらに、IPv6 以外のマシンの割り込みをなくした
リダイレクトには、新しい最初のホップのリンク層アドレスを保存する。独立したアドレス解決がなくてもリダイレクトを受信できる
同じリンクに複数のプレフィックスを関連付けられる。デフォルトで、ホストはルーター通知からすべてのオンリンクプレフィックスを受け取る。ただし、ルーター通知にあるプレフィックスをすべて、あるいは一部省略するようにルーターを設定できる。その場合、ホストは宛先がオフリンクであるとみなし、ルーターにトラフィックを送信する。ルーターは適宜リダイレクトを発行する
IPv4 と異なり、IPv6 リダイレクトの受信者は新しい次のホップがオンリンクであるとみなす。IPv4 では、ホストはリダイレクトを無視し、リンクのネットワークマスクに基づいて、リンクにない次のホップを指定する。IPv6 リダイレクト機構は XRedirect 機能に似ている。ノードがオンリンク宛先のすべてのプレフィックスを知ることが望ましくない場合、あるいは不可能な場合は、非ブロードキャストと共有媒体リンクで有効
近傍不到達検出は、障害ルーター、部分的に障害があるリンクやパーティション化されたリンク、リンク層アドレスが変更されたノードがあるときの、パケットの頑強性を大幅に強化した主要機能のひとつ。たとえば、移動ノードは、頻繁に更新される ARP キャッシュのおかげでオフリンクになっても接続が切れない
ARP と異なり、近傍探索では、ハーフリンクエラー (近傍不到達検出を利用) を検出し、双方向接続がない近傍にトラフィックが送信されるのを防ぐ
IPv4 ルーターと異なり、ルーター通知メッセージにはユーザー定義フィールドはない。安定性の異なるルーターの操作にユーザー定義フィールドは不要。近傍不到達検出で、デッドルーターを検出し、アクティブルーターに切り替えることができる
リンクローカルアドレスで (ルーター通知とリダイレクトメッセージ用に) ルーターを一意に識別しておけば、サイトの番号付けの変更で新しいグローバルプレフィックスが使用されても、ホストでルーター関連付けを維持できる
近傍探索メッセージのホップ制限は受信時に 255 なので、プロトコルがオフリンクノードによるスプーフエラーの被害を受けることがない。これに対し、IPv4 オフリンクノードでは ICMP (インターネット制御メッセージプロトコル) リダイレクトとルーター通知メッセージの両方を送信できる
ICMP 層にアドレス解決を配置すると、プロトコルが ARP よりも媒体に依存しなくなり、標準 IP 認証とセキュリティ機構を必要に応じて使用できるようになる