Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

DHCP サーバーによるマクロ処理

DHCP サーバーがマクロを処理するときは、そのマクロで定義されているネットワークオプションと値をクライアントへの DHCP メッセージに含めます。マクロの中には、特定のタイプのクライアント向けにサーバーが自動的に処理するものがあります。

マクロが自動的に処理されるようにするためには、表 8-3 に示されているカテゴリのいずれかに従ってそのマスクに名前を付ける必要があります。

表 8-3 自動処理のためのマクロのカテゴリ

マクロのカテゴリ 

説明 

クライアントクラス 

このマクロ名は、クライアントマシンのタイプやオペレーティングシステムによって指定されたクライアントの種類と一致する。たとえば、サーバーのマクロの名前が SUNW.Ultra-1 の場合、SUNW.Ultra-1 マシンであるクライアントはいずれも自動的に SUNW.Ultra-1 マクロ内の値を受け取る

ネットワークアドレス 

このマクロ名は、DHCP が管理するネットワーク IP アドレスと一致する。たとえば、サーバーのマクロの名前が 125.53.224.0 の場合、125.53.224.0 ネットワークに接続されているクライアントはいずれも自動的に 125.53.224.0 マクロ内の値を受け取る

クライアント ID 

このマクロ名は、通常は Ethernet または MAC アドレスから導出された、クライアント用の一意の識別子と一致する。たとえば、サーバーのマクロ名が 08002011DF32 の場合、(Ethernet アドレス 8:0:20:11:DF:32 から導出される) 08002011DF32 の ID を持つクライアントは、08002011DF32 の名前を持ったマクロ内の値を自動的に受け取る

表 8-3 に示されているカテゴリの 1 つを使用しない名前を持つマクロは、下記のいずれかの条件が満たされた場合にのみ処理することができます。


注 -

サーバーを設定する場合、デフォルトでは、そのサーバーの名前と一致する名前の付いたマクロが作られます。このサーバーマクロは、自動処理が行われる名称タイプのいずれとも一致しないため、いずれのクライアントに対しても自動的に処理されません。後でサーバー上で IP アドレスを作成する場合、その IP アドレスは、サーバーのデフォルトのマクロを使用するように割り当てられます。


マクロ処理の順序

DHCP クライアントが DHCP サービスを要求するときは、DHCP サーバーはどのマクロがそのクライアントに一致するかを決定します。このサーバーは、処理の順序を決めるためのマクロのカテゴリを使用して、より一般的なものから特定のものへと、順にマクロを処理します。マクロは下記の順序で処理されます。

  1. クライアントクラスマクロ - 最も一般的なカテゴリ

  2. ネットワークアドレスマクロ - クライアントクラスよりは特定なマクロ

  3. IP アドレスに割り当てられたマクロ - ネットワークアドレスよりは特定なマクロ

  4. クライアント ID マクロ - 最も特定なマクロ

他のマクロに含まれているマクロはそのマクロの一部として処理されます。

複数のマクロに同じオプションが含まれている場合は、最も特定されたカテゴリのマクロ内のオプションに設定されている値が一番最後に処理されるため、その値が使用されます。たとえば、ネットワークアドレスに、24 時間の値を持つリース期間オプションが入っていて、クライアント ID マクロに 8 時間の値を持つリース期間オプションが入っている場合は、そのクライアントは 8 時間のリース期間を受け取ります。