PPP 用のアドレス指定スキーマはいくつかあり、構成に応じて選択することができます。asppp.cf ファイルと hosts データベースを編集する前に、使用する構成に適切なアドレス指定スキーマを決める必要があります。アドレス指定スキーマには次のものがあります。
ローカル /etc/inet/hosts ファイル内で一次ネットワークインタフェースに割り当てられているのと同じ IP アドレスを PPP 用に使用する
各 PPP エンドポイントに一意な IP アドレスを割り当てる
PPP リンクが作成したネットワークに新しいネットワーク番号を割り当てる
この方式は、ポイントツーポイントリンクの場合にのみ使用できます。このアドレス指定スキーマでは、各エンドポイントについて一次ネットワークインタフェースのアドレスを指定します (一次ネットワークインタフェースについての詳細は、第 2 章「ネットワークサービスの概要」を参照してください)。このようなエンドポイントには次のようなものがあります。
PPP リンクを介して通信する 2 つのスタンドアロンマシン (既存の IP アドレスを持っている場合)
PPP リンクを介して通信する 2 つのネットワークエンドポイント
ポイントツーポイントリンクによりネットワークダイヤルインサーバーに接続されているリモートホスト
動的割り当てポイントツーポイントリンクによりリモートホストに接続されているダイヤルインサーバー
ローカルエンドポイントの /etc/inet/hosts ファイルを編集するときに、一次ネットワークインタフェースの IP アドレスと、リンクの反対側の対等ホストのホスト名と IP アドレスを入力します。
この方式では、PPP ネットワークインタフェースに、一意なホスト名と IP アドレスを割り当てます (インタフェースを hostname-ppp と名付けるとよいでしょう)。このアドレス指定スキーマは次のものに使用します。
マルチポイントダイヤルインサーバーとして使用されるネットワーク上のエンドポイントマシン
仮想ネットワーク上のマシン
専用 IP アドレスを使用して、動的に割り当てられた PPP リンクを介してダイヤルインサーバーと通信するリモートホスト (これは、動的リンク構成の場合の必須条件ではない)
Ethernet やトークンリングなどの物理ネットワークのルーターとしても構成されているマシン
スタンドアロン対スタンドアロンの構成において、既存の IP アドレスを持っていないマシン (PPP インタフェースが一次ネットワークインタフェースになる)
asppp.cf 構成ファイル中に、PPP ネットワークの一意なアドレスとホスト名を指定する必要があります。
新しいホスト名と IP アドレスを作成するには、「hosts データベース」の説明に従って、単にその名前とアドレスを /etc/inet/hosts ファイルに追加するだけです。
PPP 構成用に新しいネットワーク番号を作成するのは、次のものが構成に含まれる場合です。
マルチポイントダイヤルインサーバーとそのリモートホスト (必須)
2 つのネットワーク間の PPP リンク、特にネットワークエンドポイントマシンの一方または両方が物理ネットワークのルーターでもある場合 (省略可能)
(ネットワーク番号については、第 5 章「TCP/IP ネットワークの計画」を参照してください)。
PPP リンクは、物理ネットワークメディアを含まないため、仮想ネットワークとなります。すべてのエンドポイントマシンの networks データベースに、その仮想ネットワークのネットワーク番号と、リンクするネットワークのネットワーク番号を入力する必要があります。
例 22-1 は、PPP を使用したインターネットワーク用の /etc/inet/networks ファイルの例を示します。
kalahari 192.9.253 negev 192.9.201 nubian-ppp 192.29.15 |
このファイルで、kalahari と negev は 2 つのローカルエリアネットワークで、nubian-ppp は PPP リンクの名前です。