Solaris ネーミングの管理

承認クラス

NIS+ オブジェクトは NIS+ 主体に直接アクセス権を与えずに、主体の 4 つの「クラス」にアクセス権を与えます。

図 6-4 承認クラス

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NIS+ 要求のすべてについて、システムは要求主体が属しているクラスと、そのクラスが所持しているアクセス権を判定します。

オブジェクトに対するアクセス権は、各クラスで任意の組み合わせが可能です。しかしながら、通常は上位クラスが下位クラスのすべての権限に追加権限を持つように割り当てられます。

たとえば、未認証クラスとその他クラスに読み取り権が与えられていれば、読み取り権と変更権の両方をグループクラスに、そして読み取り権、変更権、作成権、および削除権を所有者クラスに与えます。

4 つのクラスについては、以下に詳述します。

所有者クラス

所有者は 1 つの NIS+ 主体です。

NIS+ オブジェクトへのアクセスを要求する主体は、所有者アクセス権を得る前に認証され (有効な DES 資格を提示し) なければなりません。

デフォルトでは、オブジェクト所有者はオブジェクトを作成できる主体です。しかしながら、オブジェクト所有者は 2 つの方法で別の主体に所有権を譲ることができます。

一度主体が所有権を放棄すると、その主体はオブジェクトに対する所有者のアクセス権すべてを放棄することになり、グループ、その他、未認証のいずれかの所有権を持つことになります。

グループクラス

オブジェクトグループは 1 つの NIS+ グループです。この場合の「グループ」とは、UNIX のグループやネットグループのことではありません。

NIS+ オブジェクトにアクセスを要求する主体は、認証され (有効な DES 資格を提示し) かつグループアクセス権を与えられる前にそのグループに属していなければなりません。

1 つの NIS+ グループは NIS+ 主体の集合であり、名前空間へのアクセス権を与えるのに都合の良いようにまとめられたものです。NIS+ グループに与えられるアクセス権はそのグループのメンバーである主体すべてに適用されます。オブジェクトの所有者が、そのオブジェクトのグループに属している必要はありません。

オブジェクトが作成された時、そのオブジェクトはデフォルトグループに割り当てられます。オブジェクトが作成された時でもその後でも、そのオブジェクトをデフォルト以外のグループに割り当てることができます。オブジェクトグループはいつでも変更できます。


注 -

NIS+ グループに関する情報は NIS+ group テーブルに格納されるのではないことに注意してください。NIS+ group テーブルには UNIX グループに関する情報が格納されます。NIS+ グループに関する情報は、適切な groups_dir ディレクトリのオブジェクトに格納されます。


NIS+ グループの情報は、各 NIS+ ドメインの groups_dir サブディレクトリにある、NIS+ グループ「オブジェクト」に格納されます。

図 6-5 NIS+のディレクトリ構造

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NIS+ グループの管理については、第 12 章「NIS+ グループの管理」を参照してください。

その他クラス

その他クラスは、NIS+ によって認証されたすべての NIS+ 主体のクラスです。すなわち、所有者およびグループクラスのすべてと有効な DES 資格を提示したものを加えたものです。

その他に与えられたアクセス権は、認証されたすべての主体に適用されます。

未認証クラス

未認証クラスは、正しく認証されなかったものすべてで構成されます。すなわち、有効な DES 資格を提示しなかったものです。

承認クラスと NIS+ オブジェクトの階層

NIS+ オブジェクトと承認クラスには各レベルに適用される階層があります。標準的な NIS+ ディレクトリ階層のデフォルトは次のようになります。

各レベルには 4 つの承認クラスが適用されます。ディレクトリオブジェクトはそれ自身の所有者とグループを持ちます。ディレクトリ内の個々のテーブルは、ディレクトリの所有者およびグループと異なる所有者およびグループを持ちます。テーブル内では、1 エントリ (行) が個々の所有者もしくはグループを持ちます。この所有者もしくはグループは、テーブル全体の所有者やグループとは異なり、またオブジェクト全体の所有者やグループとも異なります。テーブル内の個々の列は、テーブル全体と同じ所有者やグループを持ちます。