Solaris 移行ガイド

/etc ディレクトリ

/etc ディレクトリには、システム固有の構成情報が格納されます。ファイルやサブディレクトリの中には、削除または変更されたものがいくつかあり、また新たに追加されたものもあります。

表 9-7 初期設定用スクリプトと対応する実行制御ファイル

スクリプト 

実行制御ファイル 

/etc/rc0.d

/sbin/rc0

/etc/rc1.d

/sbin/rc1

/etc/rc2.d

/sbin/rc2

/etc/rc3.d

/sbin/rc3

/etc/rc4.d

/sbin/rc4

/etc/rc5.d

/sbin/rc5

/etc/rc6.d

/sbin/rc6

/etc/rcS.d

/sbin/rcS

表 9-8 /etc ディレクトリへの追加

サブディレクトリ 

説明 

/etc/default

デフォルトのシステム構成を定義 

/etc/inet

インターネットサービスの構成を定義 

/etc/lp

LP システムの構成を定義 

/etc/opt

インストールされたオプションソフトウェアを定義 

/etc/rcn.d

実行状態の変更操作を定義 

/etc/saf

サービスアクセス機能 (SAF) の構成を定義 

/etc/vfstab ファイル

SunOS 5.7 ソフトウェアでは、以前の /etc/vfstab ファイルが仮想ファイルシステムのファイル /etc/vfstab に変更されます。 仮想ファイルシステムのアーキテクチャにおいて /etc/vfstab ファイルが提供するのは、ファイルシステム管理を行うための汎用コマンドが使用する、デフォルトのファイルシステムパラメータです。これらのコマンドに関する説明は、「汎用ファイルシステムコマンド」を参照してください。

名前が変更されたことのほかに、/etc/vfstab ファイルと /etc/vfstab ファイルには下記の相違点があります。

表 9-9 /etc/vfstab ファイルのフィールド名とその内容

フィールド名 

内容 

device to mount

このフィールドにあるエントリは次のとおり 

ローカルな UFS ファイルシステム用のブロック型特殊デバイス (たとえば /dev/dsk/c0t0d0s0 など)

リモートファイルシステムのリソース名 (たとえば NFS ファイルシステム用の myserver:/export/home など)

スワップ先のスライス名 (たとえば /dev/dsk/c0t3d0s1 など)

/proc ディレクトリと proc ファイルシステム形式

ファイルシステム形式が hsfs の CD-ROM

/dev/diskette ファイルシステム形式が pcfs または UFS /dev/diskette

このフィールドはスワップファイルシステムを指定する場合にも使用。リモートファイルシステムの詳細については『NFS の管理』を参照のこと。

device to fsck

ファイルシステムに対応する raw (キャラクタ型) 特殊デバイスは device to mount フィールドで指定する (たとえば /dev/rdsk/c0t0d0s0 など)。これにより fsck が使用する raw インタフェースが決定する。読み出し専用ファイルシステムやネットワークベースのファイルシステムのように、適用できるデバイスがない場合はダッシュ (-) を使用する。

mount point

デフォルトのマウントポイントディレクトリ (たとえば /dev/dsk/c0t0d0s6 用の /usr など)

FS type

device to mount フィールドで指定されるファイルシステム形式

fsck pass

ファイルシステムをチェックするかどうかを判定するため、fsck が使用するパス番号。フィールドにダッシュ (-) が指定されていればファイルシステムはチェックされず、1 以上の値が設定されていればチェックされる。また UFS 以外のファイルシステムの場合、このフィールドに 0 が設定されていればファイルシステムはチェックされる。UFS ファイルシステムの場合のみ、フィールドの値が 0 のときファイルシステムはチェックされない。

fsck

  • このフィールド (fsck pass) の値が 1 より大きい

  • preen オプション (-o p) が使用されている

という条件を満たす複数の UFS ファイルシステム上で実行される場合、別のディスクにあるファイルシステムを、効率を上げるためパラレルで自動的にチェックする。フィールドの値が 1 のとき、ファイルシステムは連続してチェックされるが、1 以外であればパス番号の値はまったく影響しない。SunOS 5.7 では、ファイルシステムがチェックされる順序を fsck pass フィールドで明示的に指定することはない。

automount?

システムのブート時、mountall によりファイルシステムを自動的にマウントするかどうかを「yes」または「no」で指定する。ここでは、SunOS 4 /etc/fstab の 4 カラム目にある auto が「yes」、noauto が「no」 と解釈される。このフィールドは automount プログラムとはまったく関係ない。

mount options

カンマで区切ったオプションの一覧 (スペースでは区切らない) で、ファイルシステムのマウントに使用される。オプションがない場合はダッシュ (-) を使う。利用可能なオプションについては、mount(1M) のマニュアルページを参照のこと。

例 9-1 は SunOS 5.7 /etc/vfstab ファイルの例です。


例 9-1 SunOS 5.7 /etc/vfstab ファイルの例

#device                  device               mount          FS     fsck  auto    mount
#to mount                to fsck              point          type   pass  mount?  options
#
/dev/dsk/c0t0d0s0        /dev/rdsk/c0t0d0s0   /              ufs    1     no      -
/proc                    -                    /proc          proc   -     no      -
swap                     -                    /tmp           tmpfs  -     yes     -
/dev/dsk/c0t0d0s6        /dev/rdsk/c0t0d0s6   /usr           ufs    2     no      -
/dev/dsk/c0t3d0s7        /dev/rdsk/c0t3d0s7   /files7        ufs    3     no      -
oak:/export/home1/ignatz -                    /home/ignatz   nfs    -     yes     rw,intr

/etc/vfstab ファイルの詳細については『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。

/etc/shadow ファイル

etc/shadow ファイルは SunOS 5.7 環境に新しく追加されたファイルで、個々のユーザのログインアカウントに対するパスワード有効期限の設定を行うためのエントリや、暗号化されたパスワードが格納されます。/etc/shadow ファイルには、通常の読み出しパーミッションが設定されていません。これにより、以前は /etc/passwd ファイルに入っていた暗号化パスワードへの一般的なアクセスを防ぐことができます。