ONC+ 開発ガイド

TI-RPC の概要

TI-RPC はクライアントサーバーをベースにした分散型アプリケーションを構築するための強力な技術です。従来のローカルの手続き呼び出しの概念を拡張し、呼び出された手続きが呼び出す手続きと同じアドレス空間に存在する必要がないようにしています。2 つのプロセスが同じシステム上に存在することもあり、また、ネットワーク上で接続された異なるシステム上に存在する場合もあります。

RPC を使用すると、分散型アプリケーションを作成するプログラマはネットワークとの詳細なインタフェースを意識する必要がありません。 RPC はトランスポート層に依存しないため、データ通信の物理的および論理的な機構からアプリケーションを切り離して作成することができ、したがって、アプリケーションはさまざまなトランスポートを使用できます。

図 2-1 遠隔手続き呼び出しの動作

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RPC は関数呼び出しに類似したものです。RPC を実行すると、呼び出し時の引数が遠隔手続きに渡され、呼び出し側は遠隔手続きからの応答を待ちます。

図 2-1 に、2 つのネットワーク上のシステム間でのRPC 呼び出し時に実行される動作のフローを示します。クライアントは、サーバーに要求を送信して応答を待つ手続き呼び出しを行います。応答が受信されるかまたはタイムアウトになるまで、スレッドの実行は停止されます。要求が届くと、サーバーは要求されたサービスを実行するディスパッチルーチンを呼び出し、その結果をクライアントに返します。RPC 呼び出しが終了すると、クライアントはプログラムの続きを実行します。

RPC はネットワークアプリケーションをサポートします。TI-RPC は TCP/IP のようなネットワーク機構上で実行されます。その他の標準の RPC としては、OSF DCE (Apollo の NCS システムをベースにしています)、Xerox Courier、Netwise があります。