この節では、日本語ロケール固有の情報について説明します。
Solaris 8 環境では、異なるエンコーディングをサポートする 3 種類の日本語ロケールを使用できます。ja (または ja_JP.eucJP) ロケールは、日本語 EUC に基づいています。ja_JP.PCK ロケールは、Shift-JIS として知られている PC-Kanji コードに基づいています。ja_JP.UTF-8 は、UTF-8 に基づいています。
日本語 EUC とその文字セットの間の対応付けについては、eucJP(5) を参照してください。PCK とその文字セットの間の対応付けについては、PCK(5) を参照してください。
JISX0201-1976
JISX0208-1990
JISX0212-1990
JISX0212-1990 は、ja_JP.PCK ロケールではサポートされていません。
ベンダー定義文字 (VDC) とユーザー定義文字 (UDC) もサポートされています。VDC は、JISX0208-1990 または JISX0212-1990 の未使用 (予約) コードポイントを占有します。UDC は、VDC と同一のコードポイントで、VDC が使用していない部分を占有します。
3 種類の日本語フォント形式がサポートされています。ビットマップ、TrueType、および Type1 です。日本語の Type1 フォントには、印刷用に JIS X0212 だけが含まれています。また、Type1 フォントは、UDC で使用するフォント形式です。
次の表に、日本語ビットマップフォントを示します。
表 3-27 日本語ビットマップフォント
完全なファミリ名 |
サブファミリ |
形式 |
ベンダー |
エンコーディング |
---|---|---|---|---|
gothic |
R, B |
PCF(12,14,16,20,24) |
|
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
minchou |
R |
PCF(12,14,16,20,24) |
|
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
hg gothic b |
R |
PCF(12,14,16,18,20,24) |
RICOH |
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
hg mincho l |
R |
PCF(12,14,16,18,20,2) |
RICOH |
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
heiseimin |
R |
PCF(12,14,16,18,20,24) |
RICOH |
JISX0212.1990 |
次の表に、日本語 TrueType フォントを示します。
表 3-28 日本語 TrueType フォント
完全なファミリ名 |
サブファミリ |
形式 |
ベンダー |
エンコーディング |
---|---|---|---|---|
hg gothic b |
R |
TrueType |
株式会社リコー (以降RICOHとします) |
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
hg mincho l |
R |
TrueType |
RICOH |
JISX0208.1983, JISX0201.1976 |
heiseimin |
R |
TrueType |
RICOH |
JISX0212.1990 |
ATOK12、ATOK8、Wnn6、cs00 の 4 種類の日本語入力システムが、すべての日本語ロケールについて Solaris 8 環境で使用できます。ワークスペースメニューから入力システムを切り替えることができます。基本 (英語版) の Solaris で使用できる日本語入力システムは、cs00 だけです。
かな漢字変換モードをオンにすると、キーボード入力が Htt (X 入力方式サーバー) に占有され、XCI (xci(7)) インタフェースを使って cs00 デーモンに送られます。cs00 デーモンは辞書を使って、受け取った文字列を日本語文字列に変換し、現在キーボードフォーカスを持っているプログラムに結果を返します。詳細については cs00(1M)) を参照してください。
CUI ベースの辞書保守ユーティリティを使用できます。詳細については udicm(1) と mdicm(1) を参照してください。
sdtudicm(1) または udicmtool(1) という GUI ベースの辞書保守ユーティリティは、Solaris の基本 (英語版) 製品では提供されません。
基本的な日本語入力手順は以下の通りです。
日本語変換モードのオン / オフ : Control + Space
かな文字テキストの入力 : 例 : 「nihon」とタイプ
漢字文字テキストへ変換 : Control + N
漢字文字テキストを確定 : Control + K
以下の表に、cs00 の操作リストを示します。
表 3-29 cs00 操作リスト
日本語ロケールを文字ベース端末 (TTY) で使うには、端末設定を使って、行編集作業を適切に実行する必要があります。
端末が CDE 端末エミュレータ (dtterm) の場合、すべての日本語ロケール (ja、ja_JP.PCK、または ja_JP.UTF-8)で、引数 -defeucw を付けて stty(1) を使用します。
% setenv LANG ja % stty defeucw
端末が CDE 端末エミュレータではないが、端末のコードセットが現在のロケールと同一の場合も、この設定を使用します。
端末のコードセットが現在のロケールと一致しない場合、setterm(1) を使ってコード変換を有効にします。たとえば、PCK 端末で ja ロケールを使用する場合、次のように指定します。
% setenv LANG ja % setterm -x PCK
詳細は setterm(1) を参照してください。
複数の日本語コードセット変換が、iconv(1) と iconv(3) を使ってサポートされています。詳細については iconv_ja(5) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 8 (多国語版) は、次の日本語固有のプリンタをサポートしています。
Epson VP-5085 (ESC/P ベース)
NEC PC-PR201 (201PL ベース)
Canon LASERSHOT (LIPS ベース)
日本語 PostScript プリンタ
UDC を処理するために、sdtudctool を利用できます。sdtudctool は、アウトラインフォント (Type1) とビットマップフォント (PCF) の両方を処理できます。また、以前のリリースにあった、fontedit、type3creator、fontmanager のような古いユーティリティによって作成された UDC フォントを移行するために、いくつかのユーティリティを利用できます。
以下のコンポーネントは、Solaris 多国語版製品には入っていますが (LANGUAGES CD 上)、Solaris 基本製品には含まれていません。
メッセージ、ヘルプ、マニュアルページ、ドキュメントの翻訳
日本語 BCP のサポート
ATOK12、ATOK8、Wnn6 の日本語入力システム
cs00 日本語入力システムの GUI ユーティリティ
明朝体と太字の書体のフォント
日本独自のダムプリンタのサポート
UDC 用の sdtudctool
たとえば libjapanese.a または libmle.a のような古くからの日本語ライブラリ
たとえば kanji または vled のようないくつかの日本語固有のユーティリティ