Solaris は PostScript プリンタをサポートしています。カスタム印刷フィルタを使用して、言語対応されたテキストを PostScript に変換できます。詳細については、mp(1) および postprint(1) のマニュアルページを参照してください。プリンタにフォントをダウンロードする機能も備わっています。
詳細については、download(1) のマニュアルページを参照してください。このサポートは PostScript プリンタ用にサポートされています。
Solaris 8 環境には、以下に記述されたすべてのロケール固有のフィルタを交換する統一印刷フィルタがあります。この節では、このフィルタと、Sun がサポートする各ロケールでサポートされているスクリプトの種類を説明します。
このフィルタは、プリンタ常駐フォントと Solaris 操作環境にある TrueType フォントからフォントグリフを使用します。Solaris システムの PCF ビットマップフォントは、ロケールごとに定義された設定情報に依存します。PCF (Portable Compiled Format) の詳細については、bdftosnf(1) と bdftopcf(1) のマニュアルページを参照してください。
ギリシャ語やロシア語など、ISO-8859 以外の文字セットを使用するヨーロッパのロケールでは、prolog.ps ファイルが提供されています。このファイルは /usr/openwin/lib/locale/print にあります。
これらのロケールのいずれかで印刷する場合、このファイルが自動的にプリンタにダウンロードされます。フォントは PostScript Type1 です。Times、Helvetica および Courier の各フォントが含まれます。
これらは、標準、ボールド体、イタリック体、ボールドイタリック体で印刷できます。
これにより、Solaris CDE および OpenWindows デスクトップの両方から PostScript プリンタへの印刷が可能になります。コマンド行から、ISO-8859-1 以外の文字セットを使用する各ロケールについて、次のように入力します。
/usr/openwin/bin/mp <filename> | lp
ロシア語など、iso-8859-1 でエンコーディングされていない、東ヨーロッパロケールについては、prolog.ps ファイルが提供されています。このファイルは、各関連ロケールについて次のディレクトリにあります。
/usr/openwin/lib/locale/locale/directories/print/prolog.ps
directories の部分には、以下のいずれかを挿入します。
/iso8859-2/
/iso8859-4/
/iso8859-5/
/iso8859-7/
/iso8859-9/
/iso8859-10/
このファイルは、東ヨーロッパロケールのいずれかで印刷する際に自動的にダウンロードされます。フォントの最低セットで印刷が可能です。
prolog.ps ファイル内のフォントは次のとおりです。
表 8-1 prolog.ps フォント
/LC_Courier /LC_Courier-Italic /LC_Courier-Bold /LC_Courier-BoldOblique |
CourierCyr AliasFont CourierCyr Inclined AliasFont CourierCyr Bold AliasFont CourierCyr BoldInclined AliasFont |
/LC_Times-Roman /LC_Times-Italic /LC_Times-Bold /LC_Times-BoldOblique |
TimesNewRomanCyr TimesNewRomanCyr-Inclined Aliasfont TimesNewRomanCyr-Bold AliasFont TimesNewRomanCyr-BoldIncl AliasFont |
/LC_Helvetica /LC_Helvetica-Italic /LC_Helvetica-Bold /LC_Helvetica-BoldOblique |
LucidaSansCyr AliasFont LucidaSansCyr ItalicFont LucidaSansCyr-Bold AliasFont LucidaSansCyr-BoldItalic AliasFont |
表 8-1 は、ISO8859-5 ロケールの例です。実際の prolog.ps は、ロケールによって異なります。
xetops および xutops ユーティリティによって、アジア諸言語のテキストをビットマップグラフィックの印刷イメージに変換できます。これにより、アジア諸言語の文字を、そのフォントを持っていない PostScript ベースのプリンタでも印刷できます。
このようなファイルを印刷する一般的なコマンド行は次のようになります。
system% pr <filename> | xetops |lp |
または次のように入力します。
system% pr <filename> | xutops |lp (ko.UTF-8、zh.UTF-8、zh_TW.UTF-8 ロケールの場合) |
Solaris 8 (日本語版) では以下の日本語プリンタをサポートしています。
日本語 PostScript プリンタ
Epson VP-5085 (ESC/P ベース)
NEC PC-PR201 (201PL ベース)
Canon LASERSHOT (LIPS ベース)
日本語のテキストは、LP 印刷サービスにより、これらのプリンタで印刷できます。次の表に、これらのプリンタと使用される構成要素の関係を示します。詳細については『JFP ユーザーズガイド』を参照してください。
表 8-2 日本語プリンタのサポート
プリンタ |
terminfo(-T) |
interface(-i) |
content(-I) |
フィルタ |
---|---|---|---|---|
Japanese PS |
PS |
jstandard |
postscript |
jpostprint |
Epson VP-5085 |
epson-vp5085 |
jstandard |
None |
jprconv |
NEC PC-PR201 |
nec-pr201 |
jstandard |
None |
jprconv |
Canon LASERSHOT |
canon-ls-a408 |
jstandard |
None |
jprconv |
日本語 PostScript プリンタを設定するには次のようにします。
以下の例では、PostScript プリンタ名は lw です。/dev/lpl はプリンタに関連付けられたデバイスです。詳細については、lpadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。
# lpadmin -p lw -v /dev/lp1 -T PS -I postscript # lpadmin -p lw -i /usr/lib/lp/model/jstandard # cd /etc/lp/fd # lpfilter -x -f postprint # lpfilter -f jpostprint -F jpostprint.fd # accept lw # enable lw # /etc/init.d/lp stop # /etc/init.d/lp start |
以下の操作で印刷できます。
% lp -d lw <日本語のテキストファイル名> |
これらの機能は、Solaris の日本語版でのみサポートされます。プリンタに対する入力コードセットは、システムのロケールによって決まります。
Solaris Font Downloader は印刷処理の国際化対応を行う上で重要な役割を持っています。異なる国々で販売されているプリンタには必ずしもロケール固有フォントがインストールされていません。このような場合、各印刷ジョブにロケール固有フォントを含めることによる解決は可能ですが、多くの場合非常にサイズが大きく、時間がかかってしまいます。
もう 1 つの方法として、通常使用されるフォントをプリンタ側に常駐させる方法があります。フォントはプリンタ内の RAM または (プリンタにハードディスクが接続されている場合は) ハードディスク内に格納することができます。現在の多くの PostScript プリンタがハードディスクの接続を可能にするオプションを用意しています。ワークステーション側からフォントを取り出し、プリンタ側に格納する作業を「ダウンロード」と呼びます。プリンタ側の RAM に格納されたフォントはプリンタの電源が切断されるまで常駐します。プリンタ側のハードディスクに格納されたフォントは削除を行わない限り使用できます。
Solaris Font Downloader は PostScript プリンタにおけるフォント管理を行うための GUI アプリケーションです。PostScript レベル 2 または 3 ソフトウェアで動作し、TCP/IP プロトコルによりネットワークに接続可能で一般的に普及しているプリンタをサポートしています。
プリンタへの PostScript フォントのダウンロード
プリンタへの、TrueType フォントの変換およびダウンロード
過去にプリンタへダウンロードしたフォントの削除
RAM およびハードディスクの容量、使用可能なフォントなど、プリンタの情報や属性の情報表示
文字サンプルの印刷
プリンタのハードディスクの再フォーマット
Solaris Font Downloader は、コンピュータユーザーが使用するさまざまなフォントに対応しています。以下の PostScript フォントをプリンタへダウンロードできます。
Type 1
Type 3
Type 9 (CID Type 0)
Type 10 (CID Type 1)
Type 11 (CID Type 2)
Type 42
TrueType フォントをダウンロードと同時に Type 42 フォントや CID (Type 11) フォントなどの PostScript フォントへ変換することが可能です。これらのフォントをサポートする PostScript ソフトウェア側では、TrueType フォントから変換されたフォントを通常の PostScript フォントと同様に使用することが可能です。
TrueType フォントを PostScript フォントへ変換する際にユーザーが選択可能な数種の設定があります。これらの設定については、マニュアルページ fdl(1) の中で Solaris Font Downloader 機能とともに詳しく説明されています。
PostScript Language Reference Manual, 3rd ed. Adobe Systems Incorporated, ISBN 0-201-37922-8
The Type 42 Font Format Specification. Adobe Systems Technical Note #5012, July 1998.
TrueType 1.0 Font Files. Technical Specification Revision 1.66, November 1995 - Microsoft Corporation、ftp.microsoft.com で入手可能。