共通デスクトップ環境 プログラマ概要

はじめに

共通デスクトップ環境 プログラマ概要』は、共通デスクトップ環境の開発環境と開発者のドキュメンテーション・セットについて、高度な概要を提供するものです。アプリケーションの設計と開発を始める前に、まずこのマニュアルをお読みください。


注 -

このマニュアルでは、「共通デスクトップ環境」という用語と「デスクトップ」という用語を同義で使用します。


「はじめに」以外の部分では、共通デスクトップ環境の開発または実行環境用マニュアルを指すときの「共通デスクトップ環境」を省いています。たとえば、『共通デスクトップ環境 プログラマ概要』は『プログラマ概要』と表現します。

対象読者

対象読者は次のとおりです。

このマニュアルでは OSF/Motif は Motif と表記します。

内容の紹介

このマニュアルは 2 つのパートから構成されています。パート I は、共通デスクトップ環境のアーキテクチャの概要で、実行時および開発時の環境の高度な情報を含んでいます。パート II ではアプリケーションの開発にあたって事前に知っておくと役立つ情報と、開発環境のコンポーネントを説明します。

次にこのマニュアルの章と付録について簡単に説明します。

第 1 章「アーキテクチャの概要」

共通デスクトップ環境アーキテクチャの概要を示します。

第 2 章「開発環境の要件」

アプリケーションを開発する前に知っておくべき情報について説明します。

第 3 章「アプリケーションの開発」

命名規則とそのガイドラインなど、共通デスクトップ環境アプリケーションの開発に固有の情報について説明します。

第 4 章「移植性と保守性」

移植性があり保守性のあるアプリケーションを作成するときの問題点を説明します。

第 5 章「基本的なアプリケーションの統合方法」

アプリケーションの起動方法を統合する (つまりデスクトップのアイコンをダブルクリックして起動する) 方法を説明します。

第 6 章「推奨する統合方法」

作成するアプリケーションを、他の共通デスクトップ環境のデスクトップ・アプリケーションと同じようなルック&フィールを持つものにし、相互に操作できるようにするための、すべてのコンポーネントの概要とガイドラインについて説明します。

第 7 章「オプションの統合方法」

追加した機能の必要性に応じてアプリケーションに組み込むコンポーネントの概要を示します。

付録 A 「共通デスクトップ環境 Motif」

Motif 1.2.3 と共通デスクトップ環境 Motif との相違点を説明します。

付録 B 「コンポーネントおよびガイドラインのリファレンス」

すべての開発環境コンポーネントとガイドラインを、対応するライブラリ、ヘッダ、ファイル、ドキュメントと共にアルファベット順に示します。

関連マニュアル

Motif については次のマニュアルを参照してください。


注 -

共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』は、共通デスクトップ環境の『CDE 2.1/Motif 1.2 Style Guide and Glossary』の拡張版です。


POSIX の詳細は、IEEE Std 1003.1-1990 標準を参照してください。この標準は次の宛先までご注文ください。

          IEEE Service Center
          445 Hoes Lane
          P.O. Box 1331
          Piscataway, NJ 08855

Xlib の詳細は次のマニュアルを参照してください。

Xt の詳細は次のマニュアルを参照してください。

ToolTalkTM の詳細は次のマニュアルを参照してください。

開発環境用のマニュアルは、このマニュアル以外に次のマニュアルがあります。

上記のマニュアルの詳細は、次節の 「開発環境用マニュアル」を参照してください。

実行環境用のマニュアルは次のとおりです。


注 -

Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド』には、アプリケーションをデスクトップに統合するときに役立つ情報が説明されています。


開発環境用マニュアル

この節では、このマニュアル以外の各開発者用マニュアルの概要を説明します。

共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド

共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』は、アプリケーション設計スタイルのガイドラインと、共通デスクトップ環境のアプリケーション・レベルの認定の要件を説明します。これは Motif バージョン 1.2 の要件に共通デスクトップ環境固有の要件を追加したものです。

チェックリストはモデル・キーボードの形式を使用して、キーについて説明しています。チェックリストは英語ロケールで左から右へ書かれる言語を対象としたアプリケーションを設計することを前提としています。キーボード入力を示す箇所では、Motif モデル・キーボードの文字でキーが示されています。マウス・ボタンは、マウスのボタンの数に依存しない動作を示すために、仮想ボタン名称を使用して説明されています。

このマニュアルでは、アプリケーション設計者が一貫性のあるアプリケーションを開発し、アプリケーション内の動作に一貫性を持たせるために役立つ情報を提供しています。

共通デスクトップ環境 アプリケーション・ビルダ・ユーザーズ・ガイド

共通デスクトップ環境アプリケーション・ビルダ (App Builder とも呼ばれます) は、共通デスクトップ環境アプリケーションを開発するための対話型ツールです。このツールはアプリケーションのグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) の構築と、デスクトップの多くの便利なデスクトップ・サービス (ヘルプ、ToolTalk、ドラッグ&ドロップなど) の組み込みとを容易にする機能を提供します。『共通デスクトップ環境アプリケーション・ビルダ・ユーザーズ・ガイド』では、パレットから「オブジェクト」をドラッグ&ドロップしてインタフェースを作成する方法を説明します。また、インタフェース内のオブジェクト間の接続方法、アプリケーション・フレームワーク・エディタを使用してデスクトップ・サービスとの統合を簡単にする方法、C コードの生成方法、App Builder 出力にアプリケーション・コードを追加して最終的なアプリケーションを作成する方法についても説明しています。

Solaris 共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド

このマニュアルは、3 つのパートから構成されています。各パートに、共通デスクトップ環境の各要素の詳しい説明、概念図、各要素の具体的な使い方の説明、コーディング例があります。

パート I 「基本的な統合方法」では、アプリケーション・レベルと印刷レベルの登録方法を説明します。

パート II 「推奨する統合方法」では、既存のアプリケーションを共通デスクトップ環境に統合する方法を説明します。

パート III 「オプションの統合方法」では、新しいアプリケーションをセッション・マネージャおよびドラッグ&ドロップと統合する方法を説明します。また、ロケールがログイン・マネージャ、ウィンドウ・マネージャ、および端末エミュレータに与える影響についても説明します。

これらの中でコンポーネントのアプリケーション・プログラム・インタフェース (API) の概要を、関連するマニュアル・ページと相互参照しながら説明しています。詳細はマニュアル・ページで説明しています。

共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド (ヘルプ・システム編)

共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド(ヘルプ・システム編)』は、アプリケーション・ソフトウェアのためのオンライン・ヘルプの開発方法について説明しています。ヘルプ・トピックの作成方法と、オンライン・ヘルプを Motif アプリケーションに統合する方法も説明しています。

このマニュアルの対象読者は次のとおりです。

このマニュアルは、4 つのパートから構成されています。パート I ではアプリケーションのヘルプを設計するために設計者と開発者とが協力して行う役割について説明しています。パート II はオンライン・ヘルプを構成および記述する設計者に必要な情報を説明しています。パート III はヘルプ・システムのアプリケーション・プログラマのツールキットを説明しています。パート IV は、国際化対応環境向けのオンライン・ヘルプの作成について、設計者とプログラマに必要な情報を説明しています。

共通デスクトップ環境 ToolTalk メッセージの概要

共通デスクトップ環境 ToolTalk メッセージの概要』では、メディア交換およびデスクトップ・サービスのメッセージ・セット規則に準拠したアプリケーションを作成するための便利なルーチンとして提供される ToolTalk のコンポーネント、コマンド、およびエラー・メッセージについて説明しています。このマニュアルは ToolTalk サービスを使用して他のアプリケーションと相互運用するアプリケーションを作成または保守する開発者のためのマニュアルです。

ToolTalk メッセージの概要』では、一般的な ToolTalk の機能については説明していません。ToolTalk サービスの詳しい説明は、『ToolTalk リファレンスマニュアル』を参照してください。ToolTalk をより簡単に使用するには、『ToolTalk and Open Protocols: Inter-Application Communication』を参照してください。いずれも 「関連マニュアル」にリストされています。

共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド (国際化対応編)

共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド (国際化対応編)』は、アプリケーションを簡単にローカライズして、さまざまな言語と文化的規則を一貫したユーザ・インタフェースでサポートできるように、アプリケーションの国際化対応について説明しています。

特に、次の情報を提供しています。

このマニュアルは、既存の参考資料または概念的なドキュメントの説明をそのまま掲載するのではなく、特定の国際化対応トピックに関するガイドラインと規則を説明するものです。国際化トピックに焦点を置くもので、オープン・ソフトウェア環境の特定のコンポーネントや階層について説明したものではありません。

共通デスクトップ環境 Dtksh ユーザーズ・ガイド

共通デスクトップ環境 Dtksh ユーザーズ・ガイド』では、デスクトップ Korn シェル (dtksh) スクリプトで Motif アプリケーションを作成する方法を説明しています。開発者が作業を始めるにあたって必要な基本的な情報に加え、徐々に複雑になるスクリプトの例を示します。

このマニュアルは特定の作業に適応したシェル形式のスクリプト環境を探している開発者を対象としています。Korn シェル・プログラミング、Motif、Xt イントリンシクスの知識と、Xlib についてのある程度の知識があることを前提としています。

Solaris 共通デスクトップ環境 Motif への移行

このマニュアルは、アプリケーション開発のために Solaris の Motif を使用する方法と、OPEN LOOK または Motif アプリケーションを Solaris CDE へ移植する方法について説明します。

Common Desktop Environment: Product Glossary

Common Desktop Environment: Product Glossary』は、共通デスクトップ環境で使用する用語の包括的なリストです。この用語集はデスクトップのすべてのユーザにとって、ソースおよび参照の基本となります。この用語集の読者はエンド・ユーザ、開発者、移植者など多岐にわたるため、読者や、用語の由来や、グラフィカル・ユーザ・インタフェースでその用語を使用する共通デスクトップ環境コンポーネントについての情報も、用語定義の書式に含まれています。

Sun のマニュアルの注文方法

専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。

マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。

Sun のオンラインマニュアル

http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索をおこなうこともできます。

表記上の規則

このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。

表 P-1 表記上の規則

字体または記号 

意味 

例 

AaBbCc123

コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 

.login ファイルを編集します。

ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。

system%

AaBbCc123

ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 

system% su

password:

AaBbCc123

変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 

ファイルを削除するには、rm filename と入力します。

『 』 

参照する書名を示します。 

『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 

「 」 

参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 

第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 

この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 

¥ 

枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 

sun% grep `^#define ¥
  XV_VERSION_STRING'

ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。

コード例は次のように表示されます。

[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。

| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。

キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。

ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-DControl キーを押したまま D キーを押すことを意味します。

一般規則