サービスロケーションプロトコルの管理

異なるネットワーク媒体、トポロジ、あるいは構成の調整

ネットワークで基礎になっているネットワーク媒体および構成に応じて、次のパラメタの 1 つを変更して SLP のパフォーマンスを調整できます。

この節では、これらのプロパティを使用して SLP のパフォーマンスを調整する方法を説明します。

SA 再登録の間隔の短縮

SA は、期限が切れる前に定期的にサービス通知を更新する必要があります。DA が多くの UA および SA からの非常に重い負荷を扱っている場合は、頻繁な更新により DA が過負荷になることがあります。DA が過負荷になると、UA の要求がタイムアウトしたり、欠落したりします。UA 要求のタイムアウトには多くの原因が考えられるので、DA の過負荷が問題であると仮定する前に、snoop トレースを使用してサービス登録で登録されているサービス通知の有効期限を確認してください。有効期限が短く、再登録が頻繁に発生している場合は、再登録が頻繁すぎることがタイムアウトの原因と考えられます。サービス登録は、新規のフラグが設定されていなければ再登録となります。サービス登録メッセージについては、付録 A 「SLP のメッセージタイプ」 を参照してください。

次の例は SA の minimum refresh interval を 1 時間に設定します。


net.slp.DAAttributes=(min-refresh-interval=3600)

net.slp.DAAttributes プロパティの単位は秒です。デフォルトの最短再登録期間はゼロ (0) なので、SA はいつでも自由に再登録できます。

マルチキャストの有効期限プロパティの構成

マルチキャストの有効期限 (net.slp.multicastTTL プロパティ) は、マルチキャストパケットがイントラネット内で伝達される範囲を決定します。マルチキャスト TTL は net.slp.multicastTTL プロパティを 1 〜 255 までの整数に設定することにより構成されます。マルチキャスト TTL のデフォルト値は 255 で、これは理論的にはパケット経路が無制限であることを意味します。しかし、TTL を 255 とすると、マルチキャストパケットがイントラネットを超えて管理ドメインの端にある境界ルータまで進む原因になります。インターネットのマルチキャストバックボーンまたは ISP にマルチキャストパケットが漏れないようにするには、境界ルータ上のマルチキャストが正しく構成されていることが必要です。

マルチキャスト TTL のスコープ設定は、TTL 比較が作成されることを除いて、標準的な IP の TTL と似ています。マルチキャストを実行できるルータ上の各インタフェースには、TTL 値が割り当てられています。マルチキャストパケットが着信すると、ルータはパケットの TTL をインタフェースの TTL と比較します。パケットの TTL がインタフェースの TTL 値と同じかそれより大きい場合は、標準的な IP の TTL の場合と同じように、パケットの TTL を 1 減らします。TTL がゼロになると、そのパケットは破棄されます。したがって、SLP マルチキャストに TTL スコープを使用する場合、パケットをイントラネットの特定のサブセクションに限定するために、ルータが適切に構成されている必要があります。

TTL 値を減らしてマルチキャストの伝達範囲を縮小することができます。TTL の値が 1 の場合、パケットはそのサブネットに限定されます。TTL の値が 32 の場合は、パケットはそのサイトに限定されます。「サイト」は、マルチキャスト TTL について記述されている RFC 1075 では定義されていません。32 以上の値は、インターネット上の論理的な経路を指すので使用しないでください。ただし、32 未満の値は、ルータが TTL を使用して適切に構成されていれば、アクセス可能なサブネットのセットにマルチキャストを限定するために使用できます。

パケットサイズの構成

SLP のデフォルトのパケットサイズは 1400 バイトで、ほとんどのローカルエリアネットワークにはこれで十分です。無線ネットワークまたは広域ネットワークの場合は、メッセージの断片化を防いだりネットワークのトラフィックを削減したりするために、パケットサイズを縮小できます。より大きなパケットを持つローカルエリアネットワークの場合は、パケットサイズを大きくするとパフォーマンスが向上することがあります。ネットワークの最小パケットサイズを確認することにより、パケットサイズの縮小が必要かどうかを判断できます。ネットワーク媒体のパケットサイズがより小さい場合は、net.slp.MTU プロパティを設定してください。

ネットワーク媒体のパケットサイズがより大きい場合に、パケットサイズを大きくすることもできます。ただし、SA からのサービス通知または UA からの問い合わせが頻繁にデフォルトのパケットサイズをオーバーフローするのでなければ、構成は必要ありません。デフォルトのパケットサイズを頻繁にオーバーフローしているかどうかは、snoop を使用して、UA からの問い合わせが頻繁にオーバーフローしているかどうかと、UDP の代わりに TCP を使用するためにロールオーバーしているかどうかを確認することによって判断できます。

net.slp.MTU プロパティは、SLP メッセージと共に、リンク層ヘッダ、IP ヘッダ、および UDP または TCP ヘッダを含む、IP パケットの全体サイズを測定します。

マルチキャストの代わりにブロードキャストを構成する

SLP は、DA がない場合に、マルチキャストを使用してサービス検出および DA 検出を行うように設計されています。さまざまな理由により、マルチキャストルーティングを配置しないネットワークがあります。使用するネットワークが、マルチキャストルーティングを配置しない場合は、net.slp.isBroadcastOnly プロパティを True に設定することにより、SLP がブロードキャストを使用するように構成できます。

マルチキャストと異なり、ブロードキャストパケットはデフォルトではサブネットを超えて伝達しません。このため、マルチキャストを行わないネットワークにおいて、DA を使用しないサービス検出は、単一のサブネット上でのみ機能します。さらに、ブロードキャストが使用されているネットワークに DA およびスコープを配置する場合は、特別な考慮が求められます。マルチホームホスト上の DA は、マルチキャストが使用できない複数のサブネット間でサービス検出をブリッジできます。マルチホームホスト上の DA の配置については、第 8 章「マルチホームホスト上での SLP の構成」を参照してください。