NIS+ への移行

組織的または地理的な構造による階層

NIS+ の主な利点の 1 つに、名前空間をより小さく、より管理しやすい部分に分割できるという機能があります。たとえば、図 2-2 に示す仮の企業である Doc,Inc. の階層にならって、組織の階層を作成することができます。

図 2-2 論理的な組織構造による NIS+ 階層の例

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図 2-3 に示すように、組織ではなく建物によって階層を構成することもできます。

図 2-3 物理的な位置による NIS+ 階層の例

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どの構成を選択するかは、主に名前空間の管理方法とクライアントによる名前区間の使用方法によって決まります。たとえば、factory.com. ドメインに属するクライアントが Doc,Inc. の建物全体に分散している場合は、名前空間を建物によって構成しないでください。クライアントは他のドメインに常にアクセスしなければならないため、他のドメインへの資格をクライアントに与えなければならず、ルートマスタサーバーとの通信量が増加します。この場合は、組織ごとにクライアントを構成してください。これに対して、建物に基づくドメインは、組織に変更があっても影響を受け付けません。

ネットワークの物理的配置による制限を受けないようにしてください。NIS+ 名前空間は、NIS クライアントをサポートしなければならない場合を除いて、物理的ネットワークに一致する必要はありません。名前空間で必要なドメインの数は、選択した階層の種類によって決まります。

今後の拡張計画を検討します。現在の NIS+ ルートドメインが、将来別の NIS+ ドメインの下に配置されるかどうかを検討してください。現在の設定を変更するには、膨大な作業が必要になります。名前空間での今後のドメインの必要性を見積って、混乱なくそれらのドメインを収容できる構造を設計してください。