Solaris WBEM Services の管理

第 6 章 CIM 例外メッセージ

この章では、Solaris WBEM Services の CIM Object Manager が生成する例外メッセージについて説明します。取り上げる内容は次のとおりです。

CIM 例外の生成

CIM Object Manager が、すべてのクライアントで使用される例外メッセージを生成します。MOF コンパイラにより、.mof ファイルのどこでそのエラーが発生したかを示す行がそのあとに追加されます。クライアントアプリケーションは、これらの例外メッセージから、エンドユーザーにとって理解しやすいエラーメッセージを生成できます。

CIM クライアントは、XML クライアントか RMI クライアントとして使用されます。現在、XML はこれらの例外のサブセットだけをサポートします。XML クライアントを使用する場合は、例外メッセージに含まれるすべての情報を受信できるとは限らないことや、パラメータ情報が含まれていないことがあるので注意してください。

CIM 例外の構成

CIM 例外は、次の要素から構成されます。

例外メッセージの例

MOF コンパイラは、たとえば次のような例外メッセージを返します。

REF_REQUIRED CIM_Docked

この例外メッセージは、ユーザーにとって理解しやすい次のようなメッセージに変換できます。

REF_REQUIRED = Association class CIM_Docked needs
 at least two refs. Error in line 12.

開発者向け: エラーメッセージテンプレート

WBEM は発生し得るすべてのエラーメッセージを例外テンプレート (CIMError_ja.properties ファイル) として提供しています。パラメータが必要な例外テンプレートでは、最初のパラメータは {0}、2 つめのパラメータは {1} として示されています。

前述の例では、次の例外テンプレートが使用されています。

REF_REQUIRED = Association class {0} needs at least two refs.

CIM 例外情報の検索

次の節では、CIM 例外について詳しく説明しています。これらの例外は、固有の識別子でアルファベット順に記述されています。各例外メッセージごとに、次の中から該当する情報を示します。

生成されるCIM 例外

この節では、MOF コンパイラ、CIM Object Manager、および WBEM クライアントアプリケーションが生成する CIM 例外について説明します。


ABSTRACT_INSTANCE

ABSTRACT_INSTANCE の例外は 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは abstract クラスの名前です。

ABSTRACT_INSTANCE = Abstract class ExampleClass cannot have instances.

指定されたクラスにインスタンスを作成しようとしましたが、このクラスは abstract クラスです。abstract クラスは、インスタンスを持てません。

クライアントアプリケーションがそのようなインスタンスを作成することはできないので、プログラムで指定しているインスタンスを削除します。


CHECKSUM_ERROR

CHECKSUM_ERROR 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

CHECKSUM_ERROR = Checksum not valid.

メッセージは、壊れているため送信できませんでした。この損傷は、送信中に偶然に生じたか、あるいは第三者によって故意に壊された可能性があります。


注 -

このエラーメッセージは、CIM Object Manager が無効なチェックサムを受け取る場合に表示されます。チェックサムは、ネットワーク上で転送されるデータパケットのビット数です。この数は、伝送が安全であり、かつ送信中にデータの破損や意図的な変更がなかったことを情報の送信側と受信側が確認するために使用されます。

送信前に、データに対してアルゴリズムが実行されます。この実行により生成されたチェックサムがデータに含まれ、データパケットのサイズを示します。メッセージを受信すると、受信側はチェックサムを再計算し、送信側のチェックサムと比較できます。チェックサムが一致すれば、送信は安全に行われ、データの破損や変更が起きなかったと言えます。


再送信します。


CIM_ERR_ACCESS_DENIED

CIM_ERR_ACCESS_DENIED 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

CIM_ERR_ACCESS_DENIED = Insufficient privileges.

この例外メッセージは、アクションを実行するための適切な特権がユーザーにない場合に表示されます。

WBEM の管理者に、処理を行うための特権を要求します。


CIM_ERR_ALREADY_EXISTS

例 1: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS

この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは重複した要素の名前に置換されています。

CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate class CIM_Rack

作成しようとした要素に、既存の要素と同じ名前が使用されています。

CIM WorkShop で既存の要素を検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用して要素を作成します

例 2: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS

この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは重複したインスタンスの名前に置換されています。

CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate instance SolarisRack

作成しようとしたクラスのインスタンスに、既存のインスタンスと同じ名前が使用されています。

CIM WorkShop で既存のインスタンスを検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用してインスタンスを作成します。

例 3: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS

この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは重複したネームスペースの名前に置換されています。

CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate namespace root¥cimv2

作成が試みられたネームスペースに、既存のネームスペースと同じ名前が使用されています。

既存のネームスペースを検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用してネームスペースを作成します。

例 4: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS

この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは重複した修飾子型の名前に置換されています。

CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate qualifier type Key

作成しようとした修飾子型に、変更されるプロパティの既存の修飾子型と同じ名前が使用されています。

CIM WorkShop でプロパティの既存の修飾子型を検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用して修飾子型を作成します。


CIM_ERR_FAILED

CIM_ERR_FAILED 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは文字列 (エラー状態と推測される原因を説明したメッセージ) に置換されています。

CIM_ERR_FAILED=Invalid entry.

CIM_ERR_FAILED 例外メッセージは、さまざまなエラー状況に対して表示される一般的なメッセージです。

CIM_ERR_FAILED は一般的なエラーメッセージであるため、このメッセージの原因となり得る状況は多数考えられます。解決方法は、エラー状況によって異なります。


CIM_ERR_INVALID_PARAMETER

CIM_ERR_INVALID_PARAMETER 例外は、エラーを引き起こしたパラメータの詳しい情報を示す 1 つのパラメータを使用します。

CIM_ERR_INVALID_PARAMETER = Class System has no schema prefix.

操作が行われたが、パラメータが無効でした。たとえばクラス名の前にスキーマ接頭辞のないクラスが作成されました。Common Information Model では、すべてのクラス名にスキーマ接頭辞を付ける必要があります。たとえば、CIM スキーマの一部として作成されるクラスには、CIM 接頭辞 CIM を付けます。Solaris スキーマの一部として作成されたクラスには、Solaris 接頭辞 Solaris を付けます。

正しいパラメータを指定してください。上の例の場合、正しいパラメータは、たとえば、CIM です。接頭辞のないクラスのインスタンスをすべて見つけ、クラス名と接頭辞に置き換えます。


CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS

メッセージ CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS は、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 指定されたスーパークラスの名前

  • エラーを引き起こしたサブクラスの名前

CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS = Superclass CIM_Chassis for class CIM_Container does not exist.

原因

特定のスーパークラスに属するクラスが指定されましたが、そのスーパークラスは存在しません。指定されたスーパークラスにスペルミスがあるか、あるいは意図したスーパークラス名の代わりに誤って存在しないスーパークラス名が指定されたことが考えられます。また、そのスーパークラスとサブクラスに変更があった可能性もあります。たとえば、指定されたスーパークラスは、実際は指定されたクラスのサブクラスであるかもしれません。この例では、CIM_Container のスーパークラスとして CIM_Chassis が指定されていますが、これは逆で、CIM_ChassisCIM_Container のサブクラスです。

解決方法

スーパークラスのスペルと名前が正しいか確認し、ネームスペース内にそのスーパークラスが存在することを確認します。


CIM_ERR_NOT_FOUND

例 1: CIM_ERR_NOT_FOUND

CIM_ERR_NOT_FOUND 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは存在しないクラスの名前に置換されています。

CIM_ERR_NOT_FOUND = Element Solaris_Device does not exist.

特定の操作 (たとえば、削除) に対し要素が指定されましたが、その要素は存在しません。指定された要素にスペルミスがあるか、あるいは意図した要素名の代わりに誤って存在しない要素名が指定されたことが考えられます。

要素のスペルと名前が正しいか確認し、ネームスペース内にそのクラスが存在することを確認します。

例 2: CIM_ERR_NOT_FOUND

この場合の CIM_ERR_NOT_FOUND エラーメッセージ は、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 指定されたインスタンスの名前に置換されます。

  • 指定されたクラスの名前に置換されます。

CIM_ERR_NOT_FOUND = Instance Solaris_EnterpriseData does not exist for class Solaris_ComputerSystem.

原因

インスタンスが存在しません。

解決方法

インスタンスを作成します。

例 3: CIM_ERR_NOT_FOUND

説明

この場合の CIM_ERR_NOT_FOUND エラーメッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは指定されたネームスペースの名前に置換されています。

CIM_ERR_NOT_FOUND = Namespace verdant does not exist.

原因

指定されたネームスペースが見つかりません。このエラーは、入力ミスまたはスペルミスのために入力されたネームスペースの名前が正しくない場合に発生します。

解決方法

ネームスペースの名前を入力し直し、入力とスペルが正しいことを確認します。


CLASS_REFERENCE

CLASS_REFERENCE 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 参照関係を定義されたクラスの名前

  • 参照プロパティの名前

CLASS_REFERENCE = Class SolarisExample1 must be declared as an association to have reference SolarisExample2

原因

クラスの定義に参照プロパティが使用されています。しかし、そのクラスは関連ではありません。クラスが参照をプロパティとして持つことを定義できるのは、別のクラスとの関連がある場合だけです。

解決方法

-association 修飾子を使ってクラスを関連として宣言します。


INVALID_CREDENTIAL

INVALID_CREDENTIAL 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

INVALID_CREDENTIAL = Invalid credentials.

この例外メッセージは、無効なパスワードが入力された場合に表示されます。

コマンドを再入力し、正しいパスワードを入力してください。


INVALID_QUALIFIER_NAME

INVALID_QUALIFIER_NAME 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは空の修飾子名を表す MOF (Managed Object Format) の表記に置換されています。

INVALID_QUALIFIER_NAME = Invalid qualifier name " "

プロパティの修飾子が作成されましたが、修飾子の名前が指定されませんでした。

修飾子の定義文に修飾子の名前を含めます。


KEY_OVERRIDE

KEY_OVERRIDE 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • オーバーライドするプロパティ

  • オーバーライドされるプロパティ

KEY_OVERRIDE = Non-key Qualifier SolarisCard cannot override key Qualifier SolarisLock.

原因

クライアントは、非キープロパティがキープロパティをオーバーライドするクラスを定義しています。CIM では、すべての非 abstract クラスは 1 つ以上のキー修飾子を必要とし、キークラス以外のクラスはキーを持つクラスをオーバーライドできません。

解決方法

CIM 仕様に指定されているように、この操作はできません。


KEY_REQUIRED

KEY_REQUIRED 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータはキーを必要とするクラスの名前に置換されています。

KEY_REQUIRED = Concrete (non-abstract) class ClassName needs at least one key.

非 abstract であるクラスにキー修飾子が指定されませんでした。CIM では、非 abstract クラスはすべて、1 つ以上の修飾子を必要とします。

クラスにキー修飾子を作成します。


METHOD_OVERRIDDEN

METHOD_OVERRIDDEN コマンドは、次の 3 つのパラメータを使用します。

  • オーバーライドするメソッドの名前

  • オーバーライドされるメソッドの名前

  • 2 つめのパラメータをすでにオーバーライドしているメソッドの名前

METHOD_OVERRIDDEN = Method Resume () cannot override Stop() which is already overridden by Start()

原因

別のメソッドによってすでにオーバーライドされているメソッドのオーバーライドを試みるメソッドが指定されました。オーバーライド済みのメソッドを再度オーバーライドすることはできません。

解決方法

この操作は正しくありません。


NEW_KEY

NEW KEY 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • キーの名前

  • 新しいキーの定義を試みているクラスの名前

NEW_KEY = Class CIM_PhysicalPackage cannot define new key [Key]

原因

あるクラスが新しいキーの定義を試みていますが、スーパークラス内にキーがすでに定義されています。スーパークラスにいったんキーが定義されると、サブクラスに新しいキーを設定することはできません。

解決方法

そのようなクラスの作成をやめます。


NO_CIMOM

NO_CIMOM 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは CIM Object Manager の実行ホストに指定されたホストの名前に置換されています。

NO_CIMOM = CIMOM molly not detected.

CIM Object Manager が指定されたホストで動作していません。

/etc/init.d/init.wbem start コマンドを使って CIM Object Manager を起動するか、CIM Object Manager が動作しているホストに接続します。


NO_INSTANCE_PROVIDER

NO_INSTANCE_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • インスタンスプロバイダが見つからないクラスの名前

  • 指定されたインスタンスプロバイダの名前

NO_INSTANCE_PROVIDER = Instance provider RPC_prop for class RPC_Agent not found.

原因

指定されたインスタンスプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに以下のすべてが適切であるクラスが含まれていないことを示します。

  • プロバイダクラスの名前

  • プロバイダクラスのパラメータ

  • プロバイダが定義される CIM クラス

解決方法

インスタンスプロバイダが CIM Object Manager のクラスパスにあるか確認します。


NO_METHOD_PROVIDER

NO_METHOD_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • メソッドプロバイダが見つからないクラスの名前

  • 指定されたメソッドプロバイダの名前

NO_METHOD_PROVIDER = Method provider Start_prop for class RPC_Agent not found.

原因

指定されたメソッドプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに以下のすべてが適切であるクラスが含まれていないことを示します。

  • プロバイダクラスの名前

  • プロバイダクラスのパラメータ

  • プロバイダが定義される CIM クラス

解決方法

メソッドプロバイダが CIM Object Manager のクラスパスにあるか確認します。


NO_OVERRIDDEN_METHOD

NO_OVERRIDDEN_METHOD 例外は、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • オーバーライドしたメソッドの名前

  • オーバーライドされたメソッドの名前

NO_OVERRIDDEN_METHOD = Method Write overridden by Read does not exist in class hierarchy.

原因

サブクラスのメソッドがスーパークラスのメソッドのオーバーライドを試みていますが、スーパークラスのメソッドはクラス階層内に存在しません。

解決方法

上位のクラス階層内にそのメソッドが存在することを確認します。


NO_OVERRIDDEN_PROPERTY

NO_OVERRIDDEN_PROPERTY 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • オーバーライドされるプロパティの名前

  • プロパティをオーバーライドする名前

NO_OVERRIDDEN_PROPERTY = Property A overridden by B does not exist in class hierarchy.

原因

サブクラスのプロパティがスーパークラスのプロパティのオーバーライドを試みていますが、スーパークラスのプロパティはクラス階層内に存在しません。

解決方法

上位のクラス階層内にそのプロパティが存在することを確認します。


NO_PROPERTY_PROVIDER

NO_PROPERTY_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • プロパティプロバイダが見つからないクラスの名前

  • 指定されたプロパティプロバイダの名前

NO_PROPERTY_PROVIDER = Property provider Write_prop for class RPC_Agent not found.

原因

指定されたプロパティプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに、2 番目に指定されたクラスを含んでいないことを示します。

解決方法

CIM Object Manager のクラスパスを設定します。


NO_QUALIFIER_VALUE

NO_QUALIFIER_VALUE 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • エラーを引き起こした修飾子の名前

  • 修飾子が参照する要素。修飾子により、2 つめのパラメータはクラス、プロパティ、メソッド、参照のどれかになります。

NO_QUALIFIER_VALUE = Qualifier [SOURCE] for Solaris_ComputerSystem has no value.

原因

プロパティまたはメソッドに修飾子が指定されましたが、修飾子に値が含まれていません。たとえば、修飾子 VALUES には文字列配列を指定する必要があります。必要な文字列配列なしで VALUES 修飾子が指定されると、NO_QUALIFIER_VALUE エラーメッセージが表示されます。

解決方法

修飾子に必要なパラメータを指定します。各修飾子に必要な属性については、Distributed Management Task Force 作成の CIM Specification (URL: http://dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。


NO_SUCH_METHOD

NO_SUCH_METHOD 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 指定されたメソッドの名前

  • 指定されたクラスの名前

NO_SUCH_METHOD = Method Configure() does not exist in class Solaris_ComputerSystem

原因

指定されたクラスにメソッドが定義されなかったことが考えられます。指定されたクラスにメソッドが定義されている場合には、定義の際にスペルミスにより別のメソッドが指定されたか、入力ミスの可能性があります。

解決方法

指定されたクラスにメソッドを定義するか、あるいはメソッド名とクラス名が正しく入力されているか確認します。


NO_SUCH_PRINCIPAL

NO_SUCH_PRINCIPAL 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータはプリンシパル (ユーザーアカウント) の名前です。

NO_SUCH_PRINCIPAL = Principal molly not found.

指定されたユーザーアカウントが見つかりません。ログイン時にユーザー名の入力が正しく行われなかったか、あるいはそのユーザーにユーザーアカウントが設定されていません。

ログイン時にユーザー名を正しく入力します。そのユーザーにユーザーアカウントが設定されていることを確認します。


NO_SUCH_QUALIFIER1

NO_SUCH_QUALIFIER1 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは未定義の修飾子の名前です。

NO_SUCH_QUALIFIER1 = Qualifier [LOCAL] not found.

その修飾子はネームスペースに存在しません。

この修飾子を定義します。標準の CIM 修飾子と CIM スキーマの修飾子の使用法については、Distributed Management Task Force 作成の CIM Specification (URL: http://www.dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。


NO_SUCH_QUALIFIER2

NO_SUCH_QUALIFIER2 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 定義されていない修飾子の名前

  • 修飾子が変更するクラス、プロパティ、またはメソッドの名前

NO_SUCH_QUALIFIER2 = Qualifier [LOCAL] not found for CIM_LogicalElement

原因

特定のクラスのプロパティまたはメソッドを変更するために新しい修飾子が指定されましたが、その修飾子はいくつかのスキーマの一部として定義されていません。有効な修飾子として認識されるように、この修飾子を CIM スキーマまたは拡張スキーマの一部として定義する必要があります。

解決方法

この修飾子を拡張スキーマの一部として定義するか、あるいは標準の CIM 修飾子を使用します。標準の CIM 修飾子と CIM スキーマの修飾子の使用法については、Distributed Management Task Force 作成の CIM Specification (URL: http://www.dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。


NO_SUCH_SESSION

NO_SUCH_SESSION 例外は 1 つのパラメータ を使用しますが、このパラメータはセッション識別子です。

NO_SUCH_SESSION = No such session 4002.

クライアントセッションが見つからないと、この例外が表示されます。CIM Object Manager は、セキュリティ上の理由でそのセッションを削除します。第 3 章「セキュリティの管理」を参照してください。

CIM 環境のセキュリティが保護されていることを確認します。


NOT_HELLO

NOT_HELLO 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

NOT_HELLO = Not a Hello message.

このエラーメッセージは、hello メッセージ (CIM Object Manager に送信される最初のメッセージ) 内のデータが破損している場合に表示されます。

セキュリティが侵害されていないことを確認し、再び接続してみてください。


NOT_INSTANCE_PROVIDER

NOT_INSTANCE_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 問題のある Java クラスの名前

  • インスタンスプロバイダを定義しているクラスの名前

NOT_INSTANCE_PROVIDER = device_prop_provider for class Solaris_Provider does not implement InstanceProvider.

プロバイダで指定されている Java クラスへのパスに、InstanceProvider インタフェースが実装されていません。

1 つめのパラメータの Java クラスに InstanceProvider インタフェースが実装されているか確認します。


NOT_METHOD_PROVIDER

NOT_METHOD_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 問題のある Java クラスの名前

  • メソッドプロバイダを定義しているクラスの名前

NOT_METHOD_PROVIDER = Provider device_method_provider for class Solaris_Provider does not implement MethodProvider.

原因

1 つめのパラメータに指定された Java クラスに MethodProvider インタフェースが実装されていません。

解決方法

1 つめのパラメータの Java クラスに MethodProvider インタフェースが実装されているか確認します。


NOT_PROPERTY_PROVIDER

NOT_PROPERTY_PROVIDER 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • 問題のある Java クラスの名前

  • プロパティプロバイダの定義が試みられているクラスの名前

NOT_PROPERTY_PROVIDER = Provider device_property_provider for class Solaris_Provider does not implement PropertyProvider.

原因

1 つめのパラメータの Java クラスに PropertyProvider インタフェースが実装されていません。

解決方法

1 つめのパラメータの Java クラスに PropertyProvider インタフェースが実装されているか確認します。


NOT_RESPONSE

NOT_RESPONSE 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

NOT_RESPONSE = Not a response message.

この例外メッセージは、CIM Object Manager からの最初の応答メッセージが壊れている場合に表示されます。

再び接続してみてください。


PROPERTY_OVERRIDDEN

PROPERTY_OVERRIDDEN 例外メッセージは、次の 3 つのパラメータを使用します。

  • オーバーライドするプロパティの名前

  • オーバーライドされるプロパティの名前

  • 2 つめのパラメータをすでにオーバーライドしているメソッドの名前

PROPERTY_OVERRIDDEN = Property Volume cannot override MaxCapacity which is already overridden by RawCapacity

原因

別のプロパティによってすでにオーバーライドされているプロパティのオーバーライドを試みるプロパティが指定されました。オーバーライド済みのプロパティを再度オーバーライドすることはできません。

解決方法

オーバーライドする別のプロパティを指定します。


PS_UNAVAILABLE

PS_UNAVAILABLE 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは固定記憶域 (CIM レポジトリ) が使用できなくなった理由を説明するメッセージです。

PS_UNAVAILABLE = The persistent store is unavailable.

リポジトリが使用できなくなった場合は、原因についてこれより詳しい情報が最初のパラメータに示されます。

この例外は一般的なエラー条件なので、記述の内容からエラーの原因を判断してください。


QUALIFIER_UNOVERRIDABLE

QUALIFIER_UNOVERRIDABLE 例外メッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。

  • DisableOverride フレーバが設定されている修飾子の名前に置換されます。

  • 上記のパラメータによってオーバーライドしようとしている修飾子の名前に置換されます。

QUALIFIER_UNOVERRIDABLE = Test cannot override qualifier Standard because it has DisableOverride flavor.

原因

指定された修飾子のフレーバが DisableOverride または Override=False に設定されているため、この修飾子は別の修飾子をオーバーライドできません。

解決方法

この修飾子の特性を、EnableOverride または Override=True に設定し直します。


REF_REQUIRED

REF_REQUIRED 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータは関連を持つクラスの名前です。

REF_REQUIRED = Association class CIM_Chassis needs at least two references.

関連が定義されたが、必要な参照が指定されていません。Common Information Model では、関連は 2 つ以上の参照を含む必要があります。

最初のパラメータの関連に、必要な参照を追加します。


SCOPE_ERROR

SCOPE_ERROR 例外は、次の 3 つのパラメータを使用します。

  • 指定された修飾子が変更する要素の名前

  • 指定された修飾子の名前

  • 最初のパラメータの Meta 要素型

SCOPE_ERROR = Qualifier [UNITS] for CIM_Container does not have a Property scope.

原因

修飾子の指定方法がスコープ定義の要件と矛盾しています。たとえば、CIM Specification では、[READ] 修飾子の定義にはプロパティのスコープが使用されます。したがって、[READ] を使ってクラスを修飾すると、スコープ例外になります。


注 -

CIM Specification は、CIM 修飾子が変更できる CIM 要素の種類を定義しています。修飾子の使用方法についてのこの定義は、修飾子のスコープと呼ばれます。ほとんどの修飾子は、プロパティまたはメソッド、あるいはこの両方の変更を指示するスコープを持ちます。また、ほとんどの修飾子は、パラメータ、クラス、関連、インジケーション、またはスキーマの変更を指示するスコープを持ちます。


解決方法

指定された修飾子のスコープを確認します。CIM 修飾子の標準の定義については、Distributed Management Task Force により提供されている CIM Specification の「1. Qualifiers」(URL: http://www.dmtf.org/spec/cim_spec_v20) を参照してください。別の修飾子を使用するか、あるいは CIM 定義に従って修飾子を使用するようにプログラムを変更します。


SIGNATURE_ERROR

SIGNATURE_ERROR 例外メッセージは、パラメータを使用しません。

SIGNATURE_ERROR = Signature not verified

この例外メッセージは、メッセージが偶然に、または故意に壊された場合に表示されます。このメッセージは、メッセージが有効なチェックサムを持つチェックサムエラーとは異なりますが、署名はクライアントの公開鍵では検証できません。この保護により、セッションキーが解読され、第 3 者が使用しようとしても、セッションを作成した最初のクライアントだけが認証されます。

セッションが不正侵入者によって侵害される場合に表示されるこのメッセージに対しての解決方法はありません。Solaris WBEM Services のセキュリティ機能の詳細は、第 3 章「セキュリティの管理」を参照してください。


TYPE_ERROR

TYPE_ERROR 例外メッセージは、次の 5 つのパラメータを使用します。

  • 指定された要素 (プロパティ、メソッド、修飾子など) の名前

  • 指定された要素が属するクラスの名前

  • 要素に定義されたデータ型

  • 割り当てられた値のデータ型

  • 割り当てられた実際の値

TYPE_ERROR = Cannot convert sint16 4 to a string for VolumeLabel in class Solaris_DiskPartition

原因

プロパティまたはメソッドのパラメータ値と、定義されたそのデータ型が一致しません。

解決方法

プロパティまたはメソッドの値を、定義されたそのデータ型に一致させます。


UNKNOWNHOST

UNKNOWNHOST 例外メッセージは 1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータはホストの名前です。

UNKNOWNHOST = Unknown host molly

クライアントが接続しようとしたホストはありません。

ホスト名のスペルを確認し、正しい場合は、管理者に連絡します。


VER_ERROR

VER_ERROR 例外は、1 つのパラメータを使用しますが、このパラメータはクライアントが接続しようとした CIM Object Manager のバージョン番号を示します。

VER_ERROR = Unsupported version 0.

クライアントが接続しようとした CIM Object Manager は、このクライアントバージョンをサポートしていません。

クライアント API か CIM Object Manager をアップグレードします。