Solstice DiskSuite 4.2.1 ご使用にあたって

Solstice DiskSuite 4.2.1 へのアップグレード

使用システムで稼働している Solstice DiskSuite の動作レベルとバージョンによって、アップグレード手順が異なります。

Solstice DiskSuite 4.2.1 に変換する場合、使用システムは次の 3 つのカテゴリに分類されます。

次の節で、Solstice DiskSuite 4.2.1 へシステムをアップグレードする手順について、カテゴリ別に説明します。

Solaris 2.3 または Solaris 2.4 上で Online: DiskSuite 2.0 または Online: Disk Suite 3.0 が稼働しているシステムで DiskSuite 4.2.1 に変換する方法

最初に、『DiskSuite 4.0 Installation notes』で説明されている手順に従って、Solstice DiskSuite 4.0 と Solaris 2.5 にシステムをアップグレードしなければなりません。その後に、次に説明する手順で、Solstice DiskSuite 4.2.1 にアップグレードします。Solaris 2.5 および Solstice DiskSuite 4.0 のプロダクトノートで説明されているアップグレード手順に従ってください。

DiskSuite 4.0、4.1 または 4.2 が稼働している SPARC システムで DiskSuite 4.2.1 に変換する方法

この節で説明する手順が該当するのは、Solaris 2.5、2.5.1、2.6 または 7 上で、Solstice DiskSuite 4.0、4.1 または 4.2 が稼働している SPARC マシンを、Solaris 8 にアップグレードする場合に限られます。


注意 - 注意 -

作業を始める前に、すべてのファイルシステムのバックアップを作成してください。詳細については、ufsdump(1M) のマニュアルページを参照してください。


  1. エラーの起きたミラーがある場合は修復する。

  2. メタデバイス状態データベースの構成、メタデバイスの構成、デバイスの割り当て、および /etc/vfstab をリモートディスクまたはフロッピーディスクに保存する。

    マシンの再起動時や、オペレーティングシステムのアップグレード時、新バージョンの DiskSuite のインストール時に、上記のうち 1 つ以上のファイルが上書きされることがあります。以下に、メタデバイス状態データベースの構成、メタデバイスの構成、および /etc/vfstab をローカルフロッピーディスクに保存するコマンド例を紹介します。


    # /usr/sbin/metadb > /floppy/floppy0/metadb.cfg
    # /usr/sbin/metastat -p > /dev/fd/metadevice.cfg
    # cp /etc/vfstab /dev/fd/meta_vfstab
    # ls -l /dev/rdsk/*s0 > /dev/fd/binding
    # cp /etc/path_to_inst /dev/fd/path_to_inst
    

    次のコマンド例では、アップグレード対象のシステムと接続しているネットワーク上の other_machine という別のマシンに、メタデバイス状態データベースの構成、メタデバイスの構成、および /etc/vfstab を保存します。


    # /usr/sbin/metadb -i > /net/other_machine/save/metadb.cfg
    # /usr/sbin/metastat -p > /net/other_machine/save/metadevice.cfg
    # cp /etc/vfstab /net/other_machine/save/meta_vfstab
    # ls -l /dev/rdsk/*s0 > /net/other_machine/save/bindings
    # cp /etc/path_to_inst /net/other_machine/dev/fd/path_to_inst 
    

    注意 - 注意 -

    必ず、メタデバイス状態データベースの構成、メタデバイスの構成、および /etc/vfstab を保存してから、次の手順に進んでください。アップグレード後に、メタデバイス状態データベースの構成、メタデバイスの構成、および /etc/vfstab を復元できないと、データが失われ、場合によってはシステムが完全に停止します。


  3. Solaris のアップグレード時に使用される可能性のあるトランスメタデバイスを消去する (/usr/var/opt など)。

    トランスメタデバイスの消去 (ログの削除) 方法については、『Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド』を参照してください。消去すべきトランスメタデバイスを特定できない場合は、すべてのトランスメタデバイスを消去してください。

  4. /etc/vfstab で、メタデバイスにマウントされているファイルシステムのうち、単純メタデバイスまたは単純ミラー以外のファイルシステムをコメントにする。

    単純メタデバイスは、開始ブロック (Start Block) が 0 の単純コンポーネントで構成されます。単純ミラーはサブミラーで構成され、このサブミラーはすべて単純メタデバイスです。

  5. metadetach コマンドを使用して、残りの (単純) ミラーを 1 面ミラーに変換する。

    アップグレードは、ミラーごとに 1 つのサブミラーについて行われます。アップグレード後に、metattach を使用して、他のサブミラーを同期させます。

  6. ルート (/) をメタデバイスまたはミラーにマウントしている場合は、メタデバイスの基礎となっているコンポーネント、または残っている接続サブミラーの基礎となっているコンポーネントにマウントするルートファイルシステムを設定する。

    metaroot コマンドを使用すると、安全にこの作業を実行できます。

  7. /etc/vfstab ファイルを編集して、手順 3 以後もメタデバイスまたはミラーにマウントされているすべてのファイルシステムまたは swap デバイスを変更する。

    メタデバイスの基礎となっているコンポーネント、または残っている接続サブミラーの基礎となっているコンポーネントに、ファイルシステムをマウントします。

  8. DiskSuite の起動ファイルに対するシンボリックリンクを削除して、起動時に DiskSuite の起動ファイルが初期化されないようにする。


    # rm /etc/rcS.d/S35lvm.init /etc/rc2.d/S95lvm.sync
    

    これらのリンクは、Solaris をアップグレードした後に、DiskSuite を再インストールすると、元どおりに追加されます。

  9. マシンを停止し、Solaris 8 をアップグレードした後に、マシンを再起動する。


    注意 - 注意 -

    必ず、適切なスライスをアップグレードしてください。ミラー型ルートファイルシステムを使用しているマシンでは、Solaris インストールソフトウェアによって、ルートミラーで使用されているすべてのスライスが、アップグレードで使用可能として表示されます。システムの起動元スライスを選択してください。起動スライスの特定方法については、「Solaris オペレーティングシステムのアップグレード時にシステム起動スライスを検索する方法」を参照してください。



    注 -

    システムで別製品のソフトウェアを実行している場合、Solaris 8 オペレーティング環境および Solstice DiskSuite 4.2.1 にアップグレードする前に、その製品のアップグレード情報を参照してください。


  10. 「Solstice DiskSuite の初期インストール」で説明する手順に従って、Solstice DiskSuite 4.2.1 ソフトウェアをインストールする。

    手順 8 で削除したシンボリックリンクが再び設定されます。

  11. ルート (/) がメタデバイスまたはミラーにマウントされていた場合は、元のメタデバイスまたはミラーに再びマウントするルート (/) ファイルシステムを設定する。

    metaroot コマンドを使用すると、この作業を安全に行うことができます。

  12. /etc/vfstab ファイルを編集して、手順 7 で変更したすべてのファイルシステムまたは swap デバイスが、元のメタデバイスまたはミラーに再びマウントされるようにする。

  13. /etc/vfstab ファイルを編集して、手順 4 でコメント扱いにしたファイルシステムを元に戻す。

  14. マシンを再起動して、ファイルシステムを再びマウントする。

  15. metattach コマンドを使用して、手順 5 で切り離したサブミラーを再度接続して同期させる。

  16. 消去したトランスメタデバイスを再作成する。トランスメタデバイスの作成方法については、『Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド』を参照してください。

Solaris 2.5、2.5.1、2.6 または 7 上で DiskSuite 4.0 または 4.1 が稼働している x86 システムで DiskSuite 4.2.1 と Solaris 8 に変換する方法

x86 マシン上で、Solaris 2.5、2.5.1、2.6 または 7 が稼働していて、Solstice DiskSuite 4.0 または 4.1 を使用している場合は、ここで説明する手順で、Solaris 8 と DiskSuite 4.2.1 にアップグレードしてください。

  1. DiskSuite 4.2.1 配布用ソフトウェアに組み込まれている metacvt(1M) コマンドを実行する。

    metacvt コマンドは、Solaris 8 Software CD (2 of 2) の /Tools サブディレクトリにあります。/Tools ディレクトリの実際のパスは、たとえば次のようになります。

    /cdrom/cdrom0/Solaris_8/EA/products/DiskSuite_4.2.1/sparc/Tools

    生成される S94SUNWmd.cvt を必ず保存してください。

    このコマンドの使用方法と、コマンドによって実行されるステップのリストについては、metacvt のマニュアルページを参照してください。


    注意 - 注意 -

    metacvt コマンドは、S94SUNWmd.cvt というスクリプトを生成します。ソフトウェアのアップグレード中に上書きされるのことのない場所に、このスクリプトを必ず保存してください。


  2. システムを再起動し、オペレーティングシステムを新しいバージョンにアップグレードする。

    新しいシステムファイルが収まるように、ミラー化システムのパーティションのサイズを変更しなければならない場合は、新しいパーティションのサイズに合わせてパーティションをミラー化する個々のサブミラーのサイズを変更してください。


    注意 - 注意 -

    初期インストールは実行しないでください。初期インストールを実行すると、システムディスクが再フォーマットされ、ディスク上のデータが破壊されます。また、ディスクのデバイス割り当てが変更され、S94SUNmd.cvt 出力に保存されているメタデバイス構成が無効になることがあります。



    注意 - 注意 -

    必ず、適切なスライスをアップグレードしてください。ミラー型ルートファイルシステムを使用しているマシンでは、Solaris インストールソフトウェアによって、ルートミラーで使用されているすべてのスライスが、アップグレードで使用可能として表示されます。システムの起動元スライスを選択してください。起動スライスの特定方法については、「Solaris オペレーティングシステムのアップグレード時にシステム起動スライスを検索する方法」を参照してください。


  3. システム上の古い Solstice DiskSuite パッケージをすべて削除する。

  4. 「Solstice DiskSuite の初期インストール」で説明する手順に従って、Solstice DiskSuite 4.2.1 ソフトウェアをインストールする。

  5. S94SUNmd.cvt スクリプトを実行する。

    スクリプトの詳細については、S94SUNmd.cvt(1M) のマニュアルページを参照してください。

  6. システムを再起動する。