Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド

メタデバイス名の切り替え

DiskSuite の metarename コマンドは、メタデバイスのリネーム機能に加えて、「階層化」メタデバイスの切り替え機能を提供します。metarename-x オプションを付けて使用すると、既存の階層化メタデバイスとそのサブデバイスの 1 つの名前を切り替え (交換) ます。この操作には、ミラーとそのサブミラーの 1 つ、またはトランスメタデバイスとそのマスターデバイスを含みます。


注 -

メタデバイスを交換するにはコマンド行を使用しなければなりません。この機能は DiskSuite ツールでは現在使用できませんが、コマンド行や DiskSuite ツールを使用して、メタデバイスをリネームすることはできます。


メタデバイス名の切り替えを使用するための前提条件

名前切り替えを使用したメタデバイスの作成

既存のストライプがある場合、metarename -x コマンドを使用して複合メタデバイスを作成することができます。これには、マスターデバイスとしてメタデバイスをもつトランスデバイス、または連結方式からのミラー作成が含まれます。

既存の連結方式からミラーを作成する方法 (コマンド行)

この例は、マウントされたファイルシステムをもつ連結 d1 で始まり、d1 という名前の 2 面のミラーにマウントされたファイルシステムで終わります。


# metastat d1
d1: Concat/Stripe
    Size: 5600 blocks
    Stripe 0:
        Device              Start Block  Dbase
        c0t0d0s1                   0     No
# metainit d2 1 1 c1t3d0s1
d2: Concat/Stripe is setup
# metainit -f d20 -m d1
d20: Mirror is setup
# umount /fs2
# metarename -x d20 d1
d20 and d1 have exchanged identities
# metastat d1
d1: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay
... 
 
d20: Submirror of d1
    State: Okay
...
# metattach d1 d2
d1: submirror d2 is attached
# metastat d1
d1: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay
    Submirror 1: d2
      State: Okay
...
# mount /fs2

metastat コマンドは、連結 d1 が「Okay (正常)」状態であることを確認します。metainit コマンドを使用して 2 番目の連結 (d2) を作成し、さらに d1 からミラー d20 を強制的に (-f) 作成します。metarename -x を使用して d20d1 を切り替える前に、ファイルシステムをマウント解除しなければなりません。d1 はトップレベルのデバイス (ミラー) となり、metastat がそのことを確認します。d2 を 2 番目のサブミラーとして接続し、metastat でミラーの状態を確認してから、ファイルシステムを再マウントします。なお、/fs2 用のマウントデバイスは変化していないため、/etc/vfstab ファイルを編集する必要はありません。

既存のメタデバイスからトランスメタデバイスを作成する方法 (コマンド行)

この例は、マウントされたファイルシステムをもつミラー d1 から始まり、d1 という名前のトランスデバイスにマウントされたファイルシステムで終わります。


# metastat d1
d1: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay        
    Submirror 1: d2
      State: Okay        
...
# umount /fs2
# metainit d21 -t d1
d21: Trans is setup
# metarename -f -x d21 d1
d21 and d1 have exchanged identities
# metastat d1
d1: Trans
    State: Detached
    Size: 5600 blocks
    Master Device: d21
...
# metattach d1 d0
d1: logging device d0 is attached
# mount /fs2

metastat コマンドは、ミラー d1 が「Okay (正常)」状態であることを確認します。metainit コマンドを使用して、マスターとして d1 をもつトランスデバイス d21 を作成する前に、ファイルシステムをマウント解除しなければなりません。metarename -f -x コマンドは、d21d1 を強制的に切り替えます。d1 は現在トップレベルのトランスメタデバイスであり、そのことは metastat コマンドによって確認されます。ロギングデバイス d0 は、metattach コマンドによって接続されます。それから /fs2 を再マウントします。なお、/fs2 用のマウントデバイスは変化していないため (まだ d1 です)、/etc/vfstab ファイルを編集する必要はありません。

名前切り替えを使用したメタデバイスの除去

既存のミラーやトランスメタデバイスがある場合、metarename -x コマンドを使用してミラーやトランスメタデバイスを除去し、配下のメタデバイスにデータを保持できます。トランスメタデバイスの場合、マスターデバイスがメタデバイス (ストライプ / 連結、ミラー、または RAID5 メタデバイス) である限り、そのメタデバイス上にデータを保持できます。

このプロセスの一部として metarename -x を使用する場合、ファイルシステムのマウント先には変化がありません。

ファイルシステムをミラー化解除し、マウントデバイスを保持する方法 (コマンド行)

この例は、マウントされたファイルシステムを含むミラー d1 で始まり、d1 という名前のストライプにマウントされたファイルシステムで終わります。


# metastat d1
d1: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay        
    Submirror 1: d2
      State: Okay        
    Pass: 1
...
# umount /fs2
# metarename -x d1 d20
d1 and d20 have exchanged identities
# metastat d20
d20: Mirror
    Submirror 0: d1
      State: Okay        
    Submirror 1: d2
      State: Okay        
...
 
# metadetach d20 d1
d20: submirror d1 is detached
# metaclear -r d20
d20: Mirror is cleared
d2: Concat/Stripe is cleared
# mount /fs2

metastat コマンドは、ミラー d1 が「Okay (正常)」状態であることを確認します。このファイルシステムは、ミラー d1 とそのサブミラー d20 を交換する前に、マウント解除されます。これによってミラーは d20 となり、そのことは metastat で確認されます。次に、d1d20 から切断され、ミラー d20 ともう一方のサブミラー d2 が削除されます。最後に、/fs2 が再マウントされます。なお、/fs2 用のマウントデバイスは変化していないため、/etc/vfstab ファイルを編集する必要はありません。

トランスメタデバイスを除去し、マウントデバイスを保持する方法 (コマンド行)

この例は、マウントされたファイルシステムを含むトランスメタデバイス d1 で始まり、トランスメタデバイスの配下のマスターデバイス (d1 となる) 上にマウントされたファイルシステムで終わります。


# metastat d1
d1: Trans
    State: Okay        
    Size: 5600 blocks
    Master Device: d21
    Logging Device: d0
 
d21: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay        
    Submirror 1: d2
      State: Okay        
...
 
d0: Logging device for d1
    State: Okay        
    Size: 5350 blocks
# umount /fs2
# metadetach d1
d1: logging device d0 is detached
# metarename -f -x d1 d21
d1 and d21 have exchanged identities
# metastat d21
d21: Trans
    State: Detached    
    Size: 5600 blocks
    Master Device: d1
 
d1: Mirror
    Submirror 0: d20
      State: Okay        
    Submirror 1: d2
      State: Okay
# metaclear 21
# fsck /dev/md/dsk/d1
** /dev/md/dsk/d1
** Last Mounted on /fs2
** Phase 1 - Check Blocks and Sizes
** Phase 2 - Check Pathnames
** Phase 3 - Check Connectivity
** Phase 4 - Check Reference Counts
** Phase 5 - Check Cyl groups
 
FILE SYSTEM STATE IN SUPERBLOCK IS WRONG; FIX? y
 
3 files, 10 used, 2493 free (13 frags, 310 blocks, 0.5%
fragmentation)
# mount /fs2

metastat コマンドは、トランスメタデバイス d1 が「Okay (正常)」状態にあることを確認します。ファイルシステムは、トランスメタデバイスのロギングデバイスを切断する前に、マウント解除されます。トランスメタデバイスとそのミラー化されたマスターデバイスは、-f (強制) フラグを使用して交換されます。metastat を再実行すると、交換が行われたことを確認できます。必要ならば、トランスメタデバイスとロギングデバイス (この場合は、それぞれ d21d0) が除去されます。次に、ミラー d1 上で fsck コマンドを実行し、入力要求に対して y と応答します。fsck コマンドが終了すると、ファイルシステムが再マウントされます。なお、/fs2 用のマウントデバイスは変化していないため、/etc/vfstab ファイルを編集する必要はありません。