Sun Enterprise サーバー Alternate Pathing 2.3 ユーザーマニュアル

第 6 章 AP と DR の相互処理

この章では、Alternate Pathing (AP) と Dynamic Reconfiguration (DR) の関係について説明します。

AP と DR の同時利用

Dynamic Reconfiguration (DR) と Alternate Pathing (AP) は、密接に連携して動作するように設計されています。DR を使うと、『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』で説明しているように、オペレーティングシステムを停止しないでシステムボードの接続や切り離しを実行できます。AP は、切り離すボードのコントローラの使用を切り替えて、可能であれば接続されているボードのコントローラが使用されるようにします。

Sun Enterprise 10000 サーバーでは、切り離すボード上に有効なコントローラを持っているディスクやネットワークメタデバイスを、AP が「自動的に」切り替えます (ただし、使用可能な代替パスがもう 1 つのボード上にあると想定した場合)。また、 Sun Enterprise 10000 サーバーでは、DR Detach 操作のドレイン状態にあるボード上のコントローラへの手動切り替えを、AP が防止します。

Sun Enterprise 10000 以外の Sun Enterprise サーバーでは、ボードを切り離す前に必要に応じて手動でディスクとネットワークメタデバイスを切り替える必要があります。

以下の例では、DE フラグが表示されていることから pln:1 のコントローラが切り離されたボード上にあることが分かります。したがって、そのコントローラには切り替えることができません。


# apconfig -S

c1      pln:0  P A
c2      pln:1  DE  
        メタディスク名:
                mc1t5d0   
                mc1t4d0   
                mc1t3d0   
                mc1t2d0   
                mc1t1d0 

同様に、以下の例では DR フラグが表示されていることから pln:1 のコントローラがドレイン状態のボード上にあることが分かります。したがって、そのコントローラには切り替えることができません。


# apconfig -S

c1      pln:0  P A
c2      pln:1  DR 
        メタディスク名:
                mc1t5d0   
                mc1t4d0   
                mc1t3d0   
                mc1t2d0   
                mc1t1d0 

ドレイン状態にあるかどうかが AP に通知されるのは、Sun Enterprise 10000 サーバー上にあるボードに関してだけです。

パスグループの有効なコントローラを持つボードを切り離す場合は、DR の切り離し操作の前か実行中に、手動でもう 1 つのボードのコントローラに切り替えることができます。

しかし、Sun Enterprise 10000 サーバー以外のマシンでは、切り離し操作が完了するか、切り離し操作が失敗する前に切り替える必要があります。そうでないと DR 切り離し操作が失敗します。DR 切り離し操作が失敗した場合は、切り替え作業を終了させてから、DR 切り離し操作を再実行できます。


注 -

ボードを直ちに AP にアクセスできる状態にしなくても、DR Attach 操作を完了させることができます。apconfig(1M) を使用して新しいボードに切り替える前に、物理デバイスが存在することを確認する必要があります。


DR についての詳細は、『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』または『Sun Enterprise 6x00, 5x00, 4x00, 3x00 システム Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。

AP 状態の維持

Sun Enterprise 10000 サーバー以外のマシンで、ディスクまたはネットワークパスグループ用の入出力コントローラのホストになっているボードを接続あるいは切り離す場合は、apconfig -F コマンドを実行する必要があります。このコマンドは、ボードに対する切り離しフラグ (DE) を設定あるいはクリアして、ボードが接続されているかどうかを正しく示します。

Sun Enterprise 10000 サーバーでは、接続や切り離しの操作の後に apconfig -F を実行する必要はありません。DR 操作の完了後、DE フラグは自動的に設定またはクリアされます。

ネットワークコントローラをホストするボードを切り離す場合で、ネットワークデバイスが前回の起動から使用されていないときは、apconfig -F コマンドを実行して、システムにネットワークデバイスが無効であることを通知します。

apconfig -N コマンドは、対応する AP メタドライバが読み込まれていない場合、切り離されたはずのボードにネットワークコントローラが常駐している、または、ないはずのコントローラがボード上にあるといった誤った情報を表示することがあります。apconfig -F を実行して、apconfig -N が正しい情報を表示するようにしてください。