Sun NFS サーバーの調整

SPEC System File Server 2.0

SPEC System File Server (SFS) 2.0 は、NFS ファイルサーバーのスループットと応答時間を計測します。これは、097.LADDIS から成るテストベンチマーク群です。異なるアプリケーション環境下の 1,000 以上の NFS サーバーの調査結果に基づいて開発された、更新された作業負荷情報が含まれます。サーバーの技術進歩により、SFS 1.1 で使用されていたときよりも、作業負荷はより大きく、応答時間のしきい値はより低くなっています。このような変更と、その他の変更により、 SPEC SFS 2.0 の結果と SFS 1.1 や SFS 1 の結果とを比較することはできません。

また、一般的なコードの改善により、SPEC SFS 2.0 には以下の機能が追加されました。

097.LADDIS では、以下の基準ポイントが考慮されます。

LADDIS は、テスト対象のサーバーの性能が、あるレベル以下になるまで徐々に作業負荷を大きくできるように設計されています。そのレベルは、50ms を超える平均応答時間と定義されています。この制限は、NFS 操作において、応答時間が 50ms 以下のときの 1 秒あたりの最高のスループットを導出するときに適用されます。

作業負荷とともにスループットが高くなり続けるかぎり、50ms 時のスループットが報告されます。しかし、多くの場合、スループットは、応答時間が制限の 50ms を下回ったときから低下し始め、この後に示すような形式の表によって、最高のスループット時の応答時間が報告されます。

097. LADDIS ベンチマーク

SPEC SFS 1 (097.LADDIS) ベンチマークは、アプリケーションの抽象化と NFS の操作群、NFS 操作要求率に基づく総合的な NFS の作業負荷テストです。このベンチマークによって生成される作業負荷は、NFS プロトコルレベルで集中的なソフトウェア開発環境をエミュレートします。LADDIS は、サーバーに対して直接 RPC 呼び出しを行い、実際に使用されている NFS クライアントの差を排除します。結果として、操作群や作業負荷の制御が簡単になるため、ベンダー同士の結果比較の際に有用です。ただし、この方法は同時に、キャッシュファイルシステムクライアントのように、個々のクライアントの持つ特長を隠すという側面もあります。

NFS 操作群の各操作の割合を以下にまとめます。示した値は、各操作の呼び出し数の相対値です。

表 A-4 呼び出し別の NFS 操作群

NFS 操作 

割合 

Lookup

34 

Read

22 

Write

15 

GetAttr

13 

ReadLink

ReadDir

Create

Remove

Statfs

SetAttr

NFS ファイルシステム用の LADDIS ベンチマークでは、書き込み操作が 15 % の操作群が使用されています。このため、実際の NFS クライアントが 1 〜 2 % の書き込み操作しか行わない場合は、性能は低く見積もられることになります。実際の操作が、操作群の割合に近いほど、NFS 操作の最大スループットは基準としてより信頼性が高くなります。

LADDIS ベンチマークを行うには、NFS 負荷ジェネレータとして、テスト対象のサーバーに少なくとも 2 台のクライアントが、独立したネットワークで接続されている必要があります。1 つのネットワークでは、サーバーの最高の性能に達する前に飽和することがあるため、複数のネットワークをサポートすることは非常に重要です。1 台のクライアントを、LADDIS 第 1 負荷ジェネレータとして指定し、そのクライアントによって、すべての負荷生成クライアントでの LADDIS 負荷生成コードの実行を制御します。一般的に、ベンチマークも、第 1 負荷ジェネレータが制御します。また、第 1 負荷ジェネレータは、作業負荷のそれぞれのポイントでスループットと応答時間データを収集し、結果を生成することもできます。

応答時間を短くするには、NFS サーバーに NVRAM-NVSIMM Prestoserve NFS アクセラレータを追加してください。NVSIMMは、直接高速のメモリーサブシステムに記憶領域を確保しますから、待ち時間が大幅に短くなり、より少ないディスク入出力で、求めるレベルの性能を得ることができます。

NVSIMM との間では、余分なデータコピーがやりとりされるため、最高のスループットは抑えられます。しかし、NFS の負荷によって最高のスループットが維持されることはないため、NVSIMM を使用して応答時間を短くすることをお勧めします。Prestoserve NFS アクセラレータについての詳細は、Prestoserve NFS アクセラレータを参照してください。