SunVTS 4.0 テストリファレンスマニュアル

第 45 章 テープドライブテスト (tapetest)

tapetest の同期入出力テストは、指定された数のブロック (SCSI テープドライブの場合はテープの最後) にパターンを書き込んでからテープを巻き戻し、書き込んだデータを読み取って照合します。tapetest の非同期入出力テストは、最高 5 つの一連の非同期読み取り・書き込み要求をテープドライブに発行してテープに書き込みを行い、データを読み取って照合します。tapetest のファイルテストは、テープに 4 つのファイルを書き込んで同じファイルを読み取り、データを照合します。テープライブラリのテストでは、ライブラリ内のすべてのテープをテストし終えた後にのみ、パスカウントが増分されます。

tapetest テストの条件

システムにテープドライブがある場合は、SunVTS エクササイザを起動する前に、未使用の書き込み可能なテープ (スクラッチテープ) を読み込みます。読み込まれていない場合は、tapetest のオプションメニューに drive type:unknown と表示されます。

tapetest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.0 ユーザーマニュアル』を参照してください。

tapetest は、4 mm、8 mm、DLT、1/4 インチカートリッジ、フロントロード 1/2 インチテープドライブのテストをサポートしています。選択できるテストオプションは、テープデバイスごとに異なります。一部のデバイスのオプションダイアログボックスの例を図 45-1 に示します。

非同期入出力サブテストは、Solaris テープドライバの非同期読み取り・書き込み機能を使用して、テープドライブをテストします。読み取り専用モードでは、それぞれにランダムなサイズとオフセットを持つ非同期読み取りパケットを、最高 4 つテープドライブに送信し、それに関連する入出力処理がすべて完了するのを待ってから、次回分のパケットの送信に進みます。このプロセスは、テストする領域全体のテストが終えるまで繰り返されます。読み取り・書き込みモードでは、読み取りパケットを 4 つ発行するたびに書き込みパケットを 1 つ発行し、書き込みのスポット検査が行われるようにします。このときテストが正しく行われるよう、テープのテスト対象部分にまず書き込みが行われます。このテストは、Solaris 2.6、Solaris 7 オペレーティング環境、およびそれらの互換リリースでのみ実行することができます。

図 45-1 tapetest のテストパラメタオプションダイアログボックス (4 mm テープドライブ)

Graphic


注 -

このテストは、無効にしてから停止するまでに時間がかかることがあります。


図 45-1 は、4 mm テープドライブのオプションメニューを示しています。


注 -

1/4 インチ 、1/2 インチ、DLT、8 mm テープドライブ用のオプションダイアログボックスは、図 45-1 とは異なります。


表 45-1 tapetest のオプション

オプション 

説明 

Type 

通常のテープドライブまたはテープライブラリ (スタッカ) です。 

# of Tapes 

テープライブラリ内のテープの数です。tapetest は、ライブラリパス内のすべてのテープの後に、単一のテープライブラリパスだけを登録します。

Density 

大部分のテープドライブで以下のいずれかを選択することができます。 

  • Low: l テープデバイスをテストします。

  • Medium: m テープデバイスをテストします。

  • Compression: c テープデバイスをテストします。

  • All: lmc テープデバイスをテストします。

 

1/2 インチテープドライブに対しては、800、1600、6250 BPI (1 インチあたりのブロック数) のいずれかを選択することができます。 

一部の QIC ドライブに対しては、QIC-11 (1 バイトブロック ID) モード、QIC-24 (4 バイトブロック ID) モード、またはその両方を選択してください。 

Mode 

書き込み・読み取りモードを有効にすると、最初にテープに書き込みを行ってから読み戻して比較します。読み取りだけのモードでは、テストは、テープに正しく書き込まれていると見なし、読み取りと比較だけを行います。このモードは、ヘッド位置がずれていないかどうかを調べるときに有効です。 

Length 

以下のいずれかを選択し、テストするテープの長さを指定します。 

  • EOT: (デフォルト) テープ全体をテストします。

  • Long: SCSI テープは 70,000 ブロックをテストします。

  • Short: 先頭の 1,000 ブロックだけがテストされます。

  • Specified: テストするブロック数を、# of blocks フィールドに入力する必要があります。

# of Blocks 

Length オプションで Specified を選択した場合は、このフィールドにテストするブロック数を入力する必要があります。 

Blocksize 

ブロックサイズを指定します。このオプションは、Tangberg QIC テープドライブでのみ使用することができます。512 バイト (転送サイズに制限がある旧式のテープ媒体用) または 64 K バイト (現行の高密度テープ媒体用) のいずれかの値を使用することができます。 

File Test 

テープファイルのテスト順序は、以下のとおりです。 

 

  1. 3 つのファイルを書き込みます。

  2. 巻き戻します。

  3. 先頭ファイルの一部を読み取ります。

  4. 2 番目のファイルの先頭まで順方向に空白を挿入します。

  5. 2 番目のファイルを読み取ります。

  6. 3 番目のファイルの先頭まで順方向に空白を挿入します。

  7. 3 番目のファイルの終わりまで読み取りを試みます。

  8. 3 番目のファイルの終わりまで読み取りを試みてから (SCSI テープのみ)、2 番目のファイルの先頭まで戻り、読み取りを試みます。

Retension 

有効にすると、テープの巻き具合いを均等にします。 

Media Test Method 

Sync I/O - Length で指定したブロック数の読み取り・書き込みをします。 

Async I/O - テープドライブに対して 4 つの非同期読み取り要求を行います。テストは要求が完了した後も継続されます。 

 

注 - Tangberg QIC テープドライブのテスト中は、Async I/O テストは読み取り専用に制限されます。これは、非同期の動作が他のテープドライブと異なるためです。 

tapetest のテストモード

tapetest は、3 つのテストモードをすべてサポートしています。テープデバイスに対しては、選択されたモードに従って、異なるテスト方法が使用されます。

表 45-2 tapetest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テストモード 

○ 

ドライブを開くことができるかどうか、また、ドライブの種類を判定することができるかどうかを調べます。両方の検査に成功するか、ドライブがビジーの場合は、テストは成功です。ビジー以外の何らかの理由でドライブを開くことができない場合は、テストは失敗になります。 

機能テストモード (オフライン) 

○ 

デバイスの状態を調べてテープを巻き戻し、データを消去してテープの巻き具合いを均等にします。デバイスがカートリッジテープの場合は、nblk または eot (デフォルト) にパターンを書き込んでテープを巻き戻し、読み取りを行ってパターンの比較を行います。

機能テストモード (オンライン) 

○ 

デバイスを開いて、そのデバイスから数ブロックを読み取ります。読み取りに成功すれば、テストは成功です。デバイスがビジー、またはドライブにテープカートリッジが存在しなかった場合は、テストは実行できず失敗となります。 

tapetest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/tapetest 標準引数 -o dev=デバイス名,s=ブロック数, d=密度,m=モード,l=長さ,method=method,ft=enables/disables,ret=enables/disables, dat=DATの種類,8mm=8mm の種類,num=マガジンサイズ,blocksize=ブロックサイズ

表 45-3 tapetest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするテープドライブのデバイス名を指定します (必須)。

s=ブロック数

テストするブロック数を指定します。 

d=密度

使用するテープの記録密度を指定します。 

m=モード

write_read または read_only のテストを有効にします。 

l=長さ

テストする長さを指定します。EOT、Specified、Long、Short のうちの 1 つを指定します。 

method=方法

操作のテスト方法として、SyncI/O または AsyncI/O を指定します。 

ft=enables/disables

ファイルテストを有効または無効にします。 

ret=enables/disables

テープの巻き具合いの均等化を、有効または無効にします。 

dat=DAT 種類

DAT (デジタルオーディオテープ) ドライブをテストする場合は、DAT (通常の DAT ドライブ) または DAT_Stacker (DAT スタッカ) を指定します。

8mm=8mm 種類

8 mm テープドライブをテストする場合は、8 mm (通常の 8 mm テープ)、または 8mm_Library (8 mm テープライブラリ) を指定します。

num=マガジンサイズ

テープライブラリをテストする場合は、マガジンサイズを指定します。 

blocksize=ブロックサイズ

Tandberg QIC テープドライブをテストする場合は、使用する転送サイズ (512 バイトまたは 64 K バイト)を指定します。ドライブで旧式のテープ媒体を使用する場合は、512 バイトを選択します。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


tapetest のエラーメッセージ

表 45-4 tapetest のエラーメッセージ

 

エラーメッセージ 

考えられる原因 

対処方法 

6000

Missing device name

デバイス名が指定されていません。 

正しいデバイス名を指定して、テストをやり直してください。 

6001

failed ioctl on unload and load next tape: err_code = 数値!

スタッカまたはライブラリユニットに、自動サイクルオプションがありません。 

シングルパスオプションを有効にして、テストをやり直してください。 

6002

Cannot open デバイス名: エラーメッセージ

ドライブにテープ媒体がありません。 

テープ媒体を挿入して、テストをやり直してください。 

6005

Cannot close デバイス名: エラーメッセージ

ドライブ不良 

テストをやり直してください。エラーがなくならない場合は、ドライブを調べ、ドライブ不良の場合は、交換してください。 

6006

テキスト write failed on エラーメッセージ, block 数値: EOF reached

ファイルの途中で EOF を検出しました。 

ブロックサイズを小さくするか、EOF までテストをやり直してください。 

6007

テキスト write failed on デバイス名, block 数値: エラーメッセージ, sense key(0xvalue) = テキスト

ドライブのアテンション要求です。 

センスキーをリセットするための操作をして、テストをやり直してください。 

6008

テキスト read failed on デバイス名, block 数値: EOF reached

ファイルの途中で EOF を検出しました。 

ブロックサイズを小さくするか、EOF までテストをやり直してください。 

6009

テキスト read failed on デバイス名, block 数値: エラーメッセージ, sense key(0xvalue) = テキスト

アテンション要求です。 

センスキーをリセットするための操作をして、テストをやり直してください。 

6010

テキスト compare failed on デバイス名, block 数値, offset 数値, pattern 0xvalue, data= 0xvalue

ドライブ不良 

テストをやり直してください。エラーがなくならない場合は、ドライブを調べ、ドライブ不良の場合は、交換してください。 

6011

デバイス名 tape MTIOCGETDRIVETYPE ioctl: 数値

ドライブ不良 

テストをやり直してください。エラーがなくならない場合は、ドライブを調べ、ドライブ不良の場合は、交換してください。 

6012

テキスト failed on デバイス名: エラーメッセージ

ドライブ不良 

テストをやり直してください。エラーがなくならない場合は、ドライブを調べ、ドライブ不良の場合は、交換してください。 

6013

Failed Connection test on デバイス名:エラーメッセージ

ケーブルの切断 

ケーブルを調べ、交換してください。 

ドライブ不良 

ドライブを調べ、交換してください。 

6014

Failed Online test:デバイス名

ドライブが使用中です。 

しばらくしてからやり直してください。 

6015

Failed Online test:デバイス名:エラーメッセージ

ドライブにテープ媒体がありません。 

テープ媒体を挿入して、テストをやり直してください。 

6016

Online test was unsuccessful:デバイス名

ドライブにテープ媒体がありません。 

テープ媒体を挿入して、テストをやり直してください。 

6017

Failed Online read test:デバイス名

ドライブ不良 

テストをやり直してください。エラーがなくならない場合は、ドライブを調べ、ドライブ不良の場合は、交換してください。 

6018

Open Failed on デバイス名: エラーメッセージ

ケーブルの切断 

ケーブルを調べ、交換してください。 

ドライブ不良 

ドライブを調べ、交換してください。 

6018

recon: No Corresponding SCSI disk device

 

 

6019

Needs both SCSI disk and SCSI tape to run the test

 

 

6020

Couldn't retension 'デバイス名'

 

 

6021

Couldn't read file 'デバイス名'

 

 

6022

SCSI disconnect/reconnect failed

 

 

6023

Spurious signal received from child

 

 

2005

Tandberg QIC Read/Write media failure.

旧式の QIC テープ媒体用にテストが設定されていない 

ブロックサイズを 512 バイトに設定してテストをやり直してください。 

読み取り専用に設定してテストをやり直してください。 

テープドライブで使用できる最大容量のテープ媒体を使用してください (QIC 媒体の互換性については、テープドライブの取り扱い説明書を参照してください)。