Sun フレームバッファー使用の手引き

第 4 章 Creator グラフィックスアクセラレータにおける XIL の高速化

この章では、Creator または Creator3D グラフィックスアクセラレータに固有の XIL 関数について説明します。

XIL はサンの画像イメージとビデオのライブラリです。主要な XIL 関数では、UltraSPARC Visual Instruction Set (VIS) と Creator グラフィックスアクセラレータを使用する Ultra シリーズにおける動作が高速化されています。

XIL データの種類

XIL は一般的な画像構造をサポートしていますが、VIS や Creator を使用した XIL の画像がすべて高速化されるわけではありません。VIS ポートがサポートする XIL データの種類を以下に示します。

高速化された関数

VIS を使用して高速化された XIL 関数を以下に示します。画像分子は、1 バンドと 3 バンド XIL_BYTE イメージに定義されています。

表 4-1 高速化された XIL 関数

関数 

VIS 高速化 8 ビット 

16 ビット 

画像分子の表示 

その他 

コメント 

xil_absolute

 

1 - 4 バンド 

 

 

 

xil_add

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_add_constant

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_affine

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

注 6 参照 

xil_and

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_and_constant

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_band_combine

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

 

xil_blend

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

 

xil_cast

8 x 16

16 x 8

 

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_convolve

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

注 1 参照 

xil_copy

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_decompress

 

 

 

 

注 2、5 参照 

xil_get_pixel

 

 

 

 

注 4 参照 

xil_lookup

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

x  

注 5 参照 

xil_max

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_min

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_multiply

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_multiply_constant

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_not

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_or

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_or_constant

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_rescale

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

注 3、5 参照 

xil_rotate

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

注 6 参照 

xil_scale

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

注 5、6 参照 

xil_set_pixel

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

注 4 参照 

xil_set_value

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_subtract

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_subtract_const

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_subtract_from_const

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_tablewarp

 

 

 

注 4 参照 

xil_threshold

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

注 3、5 参照 

xil_transpose

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_xor

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

xil_xor_const

1 - 4 バンド 

1 - 4 バンド 

 

 

に対する注意事項

注 1 - xil-convolve は、3 × 3、5 × 5、7 × 7 のカーネルにより高速化されています。

注 2 - xil_decompress は、以下の場合に高速化されます。

このデコーダは、最高精度 24 ビット CCIR 601 YCC → RGB709 カラー空間変換に付着します。

以下の場合には、ストリームの伸張処理が高速化されません。

注 3 - xil_rescale + xil_threshold + xil_threshold + 画像分子は、Creator のデプスキューイングハードウェアを使用して高速化されますが、以下の制限が適用されます。

図 4-1 Creator のデプスキューイング

Graphic

この分子を呼び出す、正しいコードの例を以下に示します。


float scale[1] = 1.5;

float offset[1] = -10;

float t1_lo[1] = 255;

float t1_hi[1] = 240;

float t1_map[1] = 240;

float t2_lo[1] = 0;

float t2_hi[1] = 15;

float t2_map[1] = 15;

xil_rescale(src,tmp1,scale,offset);

xil_threshold(tmp1,tmp2,t1_lo,t1_hi,t1_map);

xil_threshold(tmp2,tmp3,t2_lo,t2_hi,t2_map);

xil_display(tmp3,display);

同一の呼出しシーケンスが scale[1] = .40 で行われた場合、y = 0.40* x - 10 では、y =-10 〜 y = (255*0.40) - 10 = 92、x = 0 〜 x = 255 の範囲にしか及ばないため、この分子は呼び出されません。この分子を実行するためには、x = 0 〜 x = 255 に対してy = 15 〜 y = 240 である必要があります。

注 4 - xil_get_pixelxil_set_pixelxil_tablewarp は、画像分子として扱われた場合のみ高速化されます。xil_tablewarp では、interpolation = "nearest" だけが高速化されます。

注 5 - 以下の分子は、すべて 高速化されます (単一 xil 機能 + 表示を除く)。

注 6 - xil_affinexil_scalexil_rotate の高速化には、いくつかの制限があります。xil_affinexil_rotate は、最近傍補間処理をされた 1、3、4 バンドの画像およびバイリニア補間処理またはバイキュービック補間処理をされた 1 バンドと 3 バンドの画像に対してのみ高速化されます。interpolation = "general" と設定した場合の xil_scale では、再サンプリングカーネルのサイズは、8 ビット画像に対して 8 × 8、16 ビット画像に対して 8 × 4 に制限されます。

ダブルバッファーのサポート

XIL 関数は、(Creator シリーズなど) ダブルバッファーが搭載されているハードウェア上でのダブルバッファーをサポートします。この節では、ダブルバッファーのサポート機能と使用法について説明します。

機能:

表示画像をダブルバッファーの表示画像として使用する場合は、xil_create_from_window を使用するかわりに xil_create_double_buffered_window を使用して画像を作成してください。ダブルバッファーをサポートしていないハードウェア上で xil_create_double_buffer_window を実行すると、無効なデバイスが返されます。開発者は、このことを理解して xil_create_from_window を呼び出す必要があります。

ダブルバッファーをサポートするハードウェア上で xil_create_double_buffered_window を実行して画像を作成した場合は、XilBufferId が有効となり、XIL_BACK_BUFFERXIL_FRONT_BUFFER の 2 つの値を選択することができます。このようなウィンドウでは、バッファーのひとつが常時アクティブで、画像に書き込みをするすべての機能が、アクティブなバッファーに書き込みます (たとえば、画像へのコピーは画像のアクティブなバッファーへピクセルをコピーします)。一方、前面にあるバッファーが画面に表示される部分ですが、作成時に実際にアクティブなバッファーは XIL_BACK_BUFFER です。

xil_create_double_buffered_window でダブルバッファーの画像を作成した後に、その画像を表示画像として使用する場合には、実際にアクティブなバッファーが XIL_BACK_BUFFER であるため、特に必要な作業はありません。アクティブなバッファーが XIL_FRONT_BUFFER である場合には、画像処理操作は失敗しませんが、その画像をダブルバッファーの画像として使用することはできません。この画像を再びダブルバッファーの画像として使用する場合は、以下のように呼び出してください。


# xil_set_active_buffer(dest,XIL_BACK_BUFFER)

これにより、フロントバッファーからバックバッファーへの変換が実行されます。この場合、ユーザーによる以下の呼び出しなしでは、画像の内容は表示されません。


# xil_swap_buffers(dest)

この操作により、画像の内容を見ることができるようになります。ダブルバッファーの画像が不要になった場合には、以下のように呼び出してください。


# xil_set_active_buffer(dest,XIL_FRONT_BUFFER)

この操作により、ハードウェアの書き込みおよび表示バッファーはデフォルト値にリセットされます。

以下にダブルバッファーを使用する場合の、一般的なプログラム例を示します。


dest = xil_create_double_buffered_window(state,display,dwindow);
...
for (i=0; i<repeat; i++) {
...
xil_lookup(src,dest,lut);
xil_swap_buffers(dest);
}
xil_set_active_buffer(dest,XIL_FRONT_BUFFER);