Sun 周辺機器使用の手引き

Solaris 環境での DVD-ROM、CD-ROM およびフロッピーディスク装置の管理方法

ここでは、Solaris オペレーティング環境を使用して、CD-ROM およびフロッピーディスク装置の情報を管理する方法を説明します。

ボリューム管理

ボリューム管理は、DVD-ROM、CD-ROM およびフロッピーディスクの管理を自動化するプログラムで、システムの一部です。たとえば、以前のリリースの Solaris (Solaris 2.1 以前) では、CD-ROM などのドライブをマウントして、そのデータにアクセスするには、多くの管理作業を行う必要がありました (自動マウントと手動マウントの比較を参照)。

Solaris 操作環境では、ボリューム管理機能によって、CD-ROM とフロッピーディスクが、それぞれ /cdrom/CD-ROM名/floppy/フロッピー名というファイルシステムとして、自動的にマウントされます。また、ワークステーションの使用中にも CD-ROM とフロッピーディスクのファイルシステムの情報は保持されます (再起動すると、メモリー中のデータベースは消去されます)。ワークステーションの使用中に挿入された媒体を確認するには、以下のようにして /vol/dsk ディレクトリの内容を表示します。


% ls /vol/dsk
supp_sol_2_7_smcc
unnamed_cdrom
unnamed_floppy

ボリューム管理は、構成ファイル /etc/vold.conf を使用して、どのデバイスを管理するか判断します。デフォルトの /etc/vold.conf ファイルには、以下の内容が含まれています。


# @(#)vold.conf 2.21 	 	 	 96/05/10 SMI
#
# Volume Daemon Configuration file
#

# Database to use (must be first)
db db_mem.so

# Labels supported
label dos label_dos.so floppy
label cdrom label_cdrom.so cdrom
label sun label_sun.so floppy 

# Devices to use
use cdrom drive /dev/rdsk/c*s2 dev_cdrom.so cdrom%d
use floppy drive /dev/rdiskette[0-9] dev_floppy.so floppy%d
use pcmem drive /dev/rdsk/c*s2 dev_pcmem.so pcmem%d 
forceload=true

# Actions
insert /vol*/dev/fd[0-9]/* user=root /usr/sbin/rmm
insert /vol*/dev/dsk/* user=root /usr/sbin/rmm
eject /vol*/dev/fd[0-9]/* user=root /usr/sbin/rmm
eject /vol*/dev/dsk/* user=root /usr/sbin/rmm
notify /vol*/rdsk/* group=tty /usr/lib/vold/volmissing -c

# List of file system types unsafe to eject
unsafe ufs hsfs pcfs

システムに 2 台目の DVD-ROM、CD-ROM およびフロッピーディスク装置を追加する前に、新しいデバイスを "Device to use" の一覧に加えて、/etc/vold.conf ファイルを変更します。"Device to use" エントリの構文は、以下のとおりです。


use デバイス タイプ 特殊ファイル名  共用オブジェクト 記号名 オプション

デバイス制御行の各可変項目の説明を、表 4–3 に示します。

表 4-3 デバイス制御構文の説明

構文 

説明 

使用可能な値とデフォルトの値 

デバイス

使用するリムーバブルメディアデバイスの種類。 

cdrom, diskette

タイプ

デバイスのクラス。 複数または単一媒体のサポート。 

drive

特殊ファイル名

使用するデバイスのパス名。 パスは、通常 /dev で始まります。

デフォルトで使用可能なデバイスは、/dev/dsk/c0t6/dev/rdiskette です。

共用オブジェクト

デバイスを管理するプログラムの場所。 

デフォルトの位置は、/usr/lib/vold/ 共用オブジェクト名です。

記号名

このデバイスの記号名。 記号名は、デバイスディレクトリ /cdrom または /floppy に置かれます。

既定値は、以下のとおりです。 

cdrom0, floppy0

オプション

挿入された媒体のユーザー、 グループ、モード。 

既定値は、以下のとおりです。user=nobody, group=nobody, mode=0666

/etc/vold.conf ファイルを変更した後に、ドライブを接続して、再構成をするためにシステムを再起動します。


注 -

各モードでのシステムの起動についての詳細は、周辺機器の接続後に起動するを参照してください。



注 -

ボリューム管理は、パス名 /dev/dsk/c0t6d0s2 を介して CD-ROM ドライブを制御し、パス名 /dev/diskette を介してフロッピーディスクドライブを制御します。これらのパスを使用して DVD-ROM、CD-ROM またはフロッピーディスクにアクセスしようとすると、エラーメッセージが表示されます。



注 -

ボリューム管理についての詳細は、マニュアルページのファイル形式 (4) と『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。


自動マウントと手動マウントの比較

図 4–1 は、手動マウント (ボリューム管理なし) と自動マウント (ボリューム管理あり) の手順の比較です。以前は、CD-ROM やフロッピーディスクのマウントなどの作業を手動で行う必要がありました。ボリューム管理によって、ほとんどの作業が自動化されました。

図 4-1 自動マウントと手動マウントの比較

Graphic

CD-ROM とフロッピーディスクのマウント先

CD-ROM とフロッピーディスクのファイルシステムは、媒体が挿入されると、ボリューム管理によってデフォルトの位置にマウントされます。詳細は、表 4–4 を参照してください。これらのマウント先は、ファイルシステムがディスク上にある場合にだけ作成されマウントされます。

表 4-4 CD-ROM およびフロッピーディスクのファイルシステムのマウントポイント

媒体の種類 

マウント先 

媒体の状態 

フロッピー ディスク 

/floppy/floppy0

ローカルのフロッピーディスクドライブのマウントされたフロッピーディスクへのシンボリックリンク 

 

/floppy/フロッピーディスク名

マウントされた名前付きフロッピーディスク 

 

/floppy/unnamed_floppy

マウントされた名前なしフロッピーディスク 

CD-ROM 

/cdrom/cdrom0

ローカルにマウントされた DVD-ROM または CD-ROM ドライブへのシンボリックリンク 

 

/cdrom/CD-ROM名

マウントされた名前付き DVD-ROM、または CD-ROM  

 

/cdrom/CD-ROM名/パーティション

マウントされた名前付き DVD-ROM、または CD-ROM (パーティションあり) 

 

/cdrom/unnamed_cdrom

マウントされた名前なし DVD-ROM、または CD-ROM (パーティションあり) 

ファイルシステムが格納されているフロッピーディスクをドライブに挿入したことを、ボリューム管理に通知するには、volcheck(1) コマンドを使用します。fdformat(1) コマンドや eject(1) コマンドを使用する場合には、このコマンドを使用する必要はありません。


注 -

コマンドについての詳細は、マニュアルページの (1) ユーザーコマンドと『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。


媒体にファイルシステムが存在しない場合には、ボリューム管理は /vol ファイルシステム内にブロック型デバイスと文字型デバイスを用意します。/vol ファイルシステムのフロッピーディスクと DVD-ROM、CD-ROM の媒体位置については、表 4–5 を参照してください。


注 -

すべてのリリースには、/vol/dev/aliases 内にシンボリックリンクがあります。


表 4-5 ファイルシステムの存在しない CD-ROM とフロッピーディスクの /vol における位置

媒体の種類 

デバイスの位置 

媒体の状態 

フロッピー ディスク 

/vol/dev/diskette0/unnamed_floppy

フォーマットされた名前なしフロッピーディスク (ブロック型デバイスアクセス) 

 

/vol/dev/rdiskette0/unnamed_floppy

フォーマットされた名前なしフロッピ ーディスク (raw デバイスアクセス) 

 

/vol/dev/diskette0/unlabeled

ラベルなしフロッピーディスク (ブロック型デバイスアクセス) 

 

/vol/dev/rdiskette0/unlabeled

ラベルなしフロッピーディスク (raw デバイスアクセス) 

CD-ROM 

/vol/dev/dsk/c0t6d0/ \ unnamed_cdrom

CD-ROM (ブロック型デバイスアクセス) 

 

/vol/dev/rdsk/c0t6d0/ \ unnamed_cdrom

CD-ROM (raw デバイスアクセス) 

DVD-ROM 

/vol/dev/dsk/c0t6d0/ \ unnamed_cdrom

DVD-ROM (ブロック型デバイス アクセス) 

 

/vol/dev/rdsk/c0t6d0/ \ unnamed_cdrom

DVD-ROM (raw デバイスアクセス) 

CD-ROM とフロッピーディスクの使用

表 4–6 は、CD-ROM やフロッピーディスクを使用して行う作業を示しています。詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。

表 4-6 CD-ROM およびフロッピーディスクの使用

媒体 

作業 

ファイルマネージャーでの利用 

コマンド行による利用 

CD-ROM 

CD-ROM を読み込む 

○ 

○ 

CD-ROM の内容を調べる 

○ 

○ 

CD-ROM の情報をコピーする 

○ 

○ 

CD-ROM が使用中かどうか確認する 

 

○ 

CD-ROM を取り出す 

○ 

○ 

他のシステムの CD-ROM ドライブにアクセスする 

 

○ 

ローカルの CD-ROM ドライブを他のシステムから使用可能にする 

 

○ 

フロッピーディスク 

UFS フロッピーディスクをフォーマットする 

○ 

○ 

UFS ファイルシステムをフロッピーディスクに作成する 

○ 

○ 

DOS 用フロッピーディスクをフォーマットする 

○ 

○ 

フロッピーディスクを読み込む 

○ 

○ 

フロッピーディスクの内容を調べる 

○ 

○ 

フロッピーディスクの情報をコピーまたは移動する 

○ 

○ 

データをフロッピーディスクにコピーまたは移動する 

○ 

○ 

フロッピーディスクがまだ使用中であるか確かめる 

 

○ 

フロッピーディスクを取り出す 

○ 

○ 

他のシステムのフロッピーディスクにアクセスする 

 

○ 

ローカルのフロッピーディスクドライブを他のシステムから使用可能にする 

 

○ 

DVD-ROM 

DVD-ROM を読み込む 

○ 

○ 

DVD-ROM の内容を調べる 

○ 

○ 

DVD-ROM の情報をコピーする 

 

○ 

DVD-ROM が使用中かどうか確認する 

 

○ 

DVD-ROM を取り出す 

○ 

○ 

他のシステムの DVD-ROM ドライブにアクセスする 

 

○ 

DVD-ROM の再生ができるようにシステムを設定する 

 

○ 

すべてのデバイス 

ボリューム管理を停止する 

 

○ 

ボリューム管理を再起動する 

 

○