特記事項: hme FastEthernet デバイスドライバ

第 2 章 Sun hme FastEthernet デバイスドライバに対するドライバソフトウェアの構成

この章では、Sun hme FastEthernet アダプタが使用するドライバソフトウェアの構成に関する情報と手順について説明します。特に明記しない限り、手順はすべて、Sun hme FastEthernet PCI アダプタとSun hme FastEthernet SBus アダプタの両方に適用されます。

この章には、以下の節が含まれます。

ドライバソフトウェアのインストール

Solaris CD には、Sun hme FastEthernet アダプタを使用するためにインストールする必要があるソフトウェアが含まれています。


注 -

Sun hme FastEthernet アダプタに添付されているインストール用 CD-ROM は使用しないでください。Solaris CD に入っているソフトウェアは最新版で、旧バージョンのドライバに代わるものです。


ネットワークインタフェースとして hme を使用する前に、以下の説明に従って、システムのホストファイルを作成・編集する必要があります。

ホストファイルの構成

ホストファイルを構成する
  1. コマンド行で、grep コマンドを使用して hme デバイスの /etc/path_to_inst ファイルを検索します。

    Sun hme FastEthernet PCI アダプタの場合:


    # grep hme /etc/path_to_inst
    "/pci@1f,4000/network@1,1" 0 "hme" 
    "/pci@1f,4000/pci@4/SUNW,hme@0,1" 1 "hme"

    Sun hme FastEthernet SBus アダプタの場合:


    # grep hme /etc/path_to_inst
    "/sbus@1f,4000/network@1,1" 0 "hme" 
    "/sbus@1f,4000/pci@4/SUNW,hme@0,1" 1 "hme"
  2. /etc/hostname.hmenum ファイルを作成します。ここで、num は使用するインタフェースに対するインスタンス番号です。

    手順 1 の例の場合、ネットワークインタフェースを使用するには、以下のファイルを作成する必要があります。

    ファイル名 

    インスタンス番号 

    /etc/hostname.hme0

    • 未使用のまま残したい Sun hme FastEthernet ネットワークインタフェースに対して、/etc/hostname.hmenum ファイルは作成しないでください。

    • /etc/hostname.hmenum ファイルには、該当するネットワークインタフェースに対するホスト名を入れる必要があります。

    • ホスト名には IP アドレスを割り当てる必要があります。これは /etc/hosts ファイルに入力する必要があります。

    • ホスト名は他のどのインタフェースの他のどのホスト名とも異なる名前にしてください。たとえば、/etc/hostname.hme0 /etc/hostname.eri0 では同じホスト名を共有できません。

    以下に例として、手順 1 のインスタンスの例を使用した2 つの /etc/hostname. hmenum ファイル (zardoz、zardoz-11) を示します。これらのファイルは、Sun hme FastEthernet が実装された zardoz という名前のシステムに必要です。


    # cat /etc/hostname.hme0
    zardoz
    # cat /etc/hostname.eri0
    zardoz-11

  3. 有効となっているそれぞれの hme ネットワークインタフェースについて、/etc/hosts ファイルに適切なエントリを作成します。

    上記の例を使用すると、以下のようになります。


    # cat /etc/hosts
    #
    # Internet host table
    #
    127.0.0.1     localhost
    129.144.10.57 zardoz    loghost
    129.144.11.83 zardoz-11


    注 -

    IPv6 (インターネットプロトコル バージョン 6) は、現在使用されている IPv4 の機能を拡張したものです。Solaris オペレーティング環境の今回のリリースに含まれる Sun hme FastEthernet デバイスドライバは、IPv4 と IPv6 の両方をサポートしています。IPv4では、/etc/hosts 構成ファイルを使用しますが、IPv6 では異なる構成ファイルを使用します。IPv6 への移行、管理、実装については、『Solaris 8 のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。


  4. システムを再起動します。

ネットワークからの起動

Sun hme FastEthernet インタフェースを起動デバイスとして使用するには、以下の作業を実行します。

ネットワークから起動する
  1. ok プロンプトで以下のように入力します。


    ok show-nets
    

    show-nets コマンドはシステムデバイスの一覧を示します。以下の例のように、hme デバイスのフルパス名が表示されます。

    Sun hme FastEthernet PCI アダプタの場合:


    /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,hme@0,1

    Sun hme FastEthernet SBus アダプタの場合:


    /sbus@1f,0/SUNW,hme@1,8c3000


    注 -

    これらの hme デバイスから起動用のデバイスを 1 つだけ選択する必要があります。


  2. ok プロンプトで以下のように入力します。


    ok boot full_path_name_of_the_hme_device
    

インストール後の作業 (オプション)

Sun hme FastEthernet の性能をカスタマイズするには、以下の作業を実行します。

ドライバパラメタの設定

hme デバイスドライバは、SUNW,hme Ethernet デバイスを制御します。デバイスドライバは、接続相手との間で自動ネゴシエーションプロトコルを使用して、接続の速度を選択します(自動ネゴシエーションを参照)。

以下の 3 通りの方法のうちいずれかを使用して、hme デバイスドライバパラメタを手動で設定し、システムの各 SUNW,hme デバイスをカスタマイズすることができます。

詳細は、第 4 章「パラメタの設定」を参照してください。


注 -

将来的には、/etc/systemファイルは利用できなくなります。このファイルは動的再構成に対応していません。


ネットワーク速度を 10 Mbps または 100 Mbps にする
  1. ok プロンプトで show-nets コマンドを入力し、システムデバイスの一覧を表示します。

    以下の例のように、hme デバイスのフルパス名が表示されます。

    Sun hme FastEthernet PCI アダプタの場合:


    /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,hme@0,1
    /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,hme@1,1
    /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,hme@2,1
    /pci@1f,2000/pci@2/SUNW,hme@3,1

    Sun hme FastEthernet SBus アダプタの場合:


    /sbus@1f,0/SUNW,hme@1,8c30000
    /sbus@1f,0/SUNW,hme@1,8c20000
    /sbus@1f,0/SUNW,hme@1,8c10000
    /sbus@1f,0/SUNW,hme@1,8c00000

  2. 以下のように入力します。


    ok nvedit
    

  3. 0: 行の終わりでリターンキーを押し、以下のように入力します。


    0: probe-all install-console banner
    1: apply transfer-speed=10 full_ path_name_of_a_hme_device
    


    注 -

    すでに NVRAM にコマンドが使える場合は、ファイルの最後にこれらの行を追加してください。


  4. full_path_name_of_a_hme_device を入力してから、Control-C を押します。

    手順 2 から 4 の手順を行って、それぞれの hme ネットワークインタフェースのネットワーク速度を設定します。


    注 -

    前の例では、速度が10 Mbps に設定されています。速度を 100 Mbps に設定する場合は、10 を 100 に置き換えてください。


  5. ok プロンプトで、以下のように入力します。


    ok nvstore
    ok setenv use-nvramrc? true
    

  6. システムを再起動します。

    ネットワーク速度の設定についての詳細は、強制モードの設定を参照してください。

local-mac-address プロパティ

Sun hme FastEthernet の各ネットワークインタフェースには、一意の MAC (Media Access Control) アドレスが割り当てられています。このアドレスは、ネットワークインタフェースに対する 48 ビット の Ethernet アドレスを表します。OpenBootTM ファームウェアは、ネットワークインタフェースに対応するデバイスノードの Local-mac-address プロパティを経由して、この MAC アドレスを通知します。

システム共通の MAC アドレスが存在する場合には、割り当てられたこの MAC アドレスを必ずしも使用する必要はありません。このような場合は、システム上のすべてのネットワークインタフェースに対してシステム共通の MAC アドレスが適用されます。

hme デバイスドライバ、または他のアダプタユーティリティーでは、構成の際にネットワークデバイスの MAC アドレス (local-mac-address) が使用できます。ネットワークインタフェースの MAC アドレスは、ネットワーク上で起動する際に使用できます。

ネットワークデバイスの mac-address プロパティは、システムを起動するために使用するネットワークアドレス (システム共通または local-mac-address) を指定します。Sun hme FastEthernet のネットワークインタフェースに割り当てられた MAC アドレスを使用できるようにするには、NVRAM の構成変数 local-mac-address?true に設定します。


ok setenv local-mac-address? true