Solaris 8 Maintenance Update 2 ご使用にあたって

第 2 章 Solaris 8 MU2 のインストール

この章では、Solaris 8 MU2 をインストールする方法について説明します。カスタム JumpStartTM インストールの一環として Solaris 8 MU2 をインストールする場合は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

インストール時間について

Solaris 8 MU2 のインストール手順では、MU2 パッチを個別にインストールする場合に比べてかなりの時間を短縮できます。Solaris 8 MU2 のインストール時間は、次の項目によって異なります。

バックアウトオプションを無効にして MU2 をインストールする場合、インストールはさらに速くなります。ただし、MU2 が提供するパッチはバックアウトできません。

必要条件

Solaris 8 MU2 は、Solaris 8 または Solaris 8 6/00 オペレーティング環境が稼動しているシステム上にのみインストールできます。

ファイルシステムごとに必要なディスク容量は次の項目によって異なります。

install_mu スクリプトはファイルシステムごとに必要なディスク容量を算出して、その容量を報告します。可能であれば、バックアウトのディスク容量も報告します。容量の計算には数分かかります。

install_mu スクリプトは、1 つまたは複数のファイルシステムに容量が足りないと判断した場合、それ以上処理しません。パッチのインストールに必要な容量は正確に計算されますが、バックアウトデータに必要な容量は予測したものであり、実際に必要な容量よりも多く報告されることがあります。

パッチセット (および、必要であればバックアウトデータ) を適用するのに十分な容量があり、容量の計算を省略したい場合には、install_mu-f オプションを付けて実行します。

Solaris 8 MU2 のインストール

Solaris 8 MU2 をインストールするには、install_mu を実行するシステムと対象となるシステムで Solaris 8 または Solaris 8 6/00 オペレーティング環境がすでに稼動していなければなりません。

MU2 はシステムライブラリにパッチを適用するため、MU2 をインストールする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU2 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。

シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU2 イメージが CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU2 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。

十分なローカルディスク容量がないため MU2 イメージをローカルにコピーできない場合や CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU2 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。


注 -

必ずオペレーティングシステムのバックアップをとった後、手順を進めてください。



注 -

日本では MU2 CD は提供していません。


Solaris 8 MU2 をインストールするには、次の手順に従います。

  1. 重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。

  2. 現在のセッションを終了します。

    CDE ログイン画面が表示されます。

  3. 「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。

    ログインプロンプトが表示されます。

  4. ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。


    login: root
    password: root password
    
  5. シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。


    # reboot -- -s
    

    注 -

    shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU2 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。


  6. root のパスワードを入力します。

    システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。


    Entering System Maintenance Mode
     
    Sun Microsystems Inc. SunOS 5.8 Generic Feb 2000
    # 
    • CD から install_mu を実行している場合は、手順 7 に進みます。

    • MU2 イメージのローカルコピーから install_mu を実行している場合は、手順 8 に進みます。

  7. MU2 CD をマウントするには、CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。


    # mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom
    

    注 -

    CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者に問い合わせてください。


  8. install_mu を実行します。

    • MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。


      # cd local_directory
      # ./install_mu options
      
    • MU2 CD から実行するには、次のように入力します。


      # cd /cdrom
      # ./install_mu options
      

    以下のオプションがコマンド行で使用できます。

    表 2-1 install_mu のコマンド行オプション

    オプション 

    説明 

    -d

    パッチをバックアップしない。この引数を使うとソフトウェアのインストールに要する時間が短縮される。ただし、個々のパッチをバックアウトできなくなる。-B オプションと組み合わせて使うことはできない

    -p patchdir

    すべてのパッチが含まれているディレクトリを指定する 

    -q

    install_mu の処理状況を示すドットの表示を無効にする

    -B backoutdir

    指定したディレクトリにバックアウトデータを保存する。-d オプションと組み合わせて使うことはできない

    -f

    十分なディスク容量があるかどうかをチェックせずに、パッチセットをインストールする。このオプションを使用すると時間が短縮される。ただし、このオプションを使用するときは、十分な容量があることを確認しておく 

    インストールが終了すると、次のメッセージが表示されます。


    install_mu completed successfully.
  9. 次のように実行してシステムをリブートします。


    # sync ; reboot
    

    ログインプロンプトが表示されます。


    注 -

    ライブラリの衝突を防ぐために、MU2 をインストールした後に必ずシステムをリブートしてください。


  10. ログイン名とパスワードを入力します。


    login: login
    password: password
    

Solaris 8 MU のバージョンの確認

Solaris 8 MU のバージョンを確認するには、次のように実行します。


# cat /etc/release

MU がシステムに適用したパッチを確認するには、次のように実行します。


 # showrev -p


注 -

Solaris 8 MU2 をインストールした場合の showrev -p の出力と、Solaris 8 10/00 オペレーティング環境をインストールした場合の showrev -p の出力を比較すると、次のパッチが MU2 をインストールした環境には適用されていないことがわかります。

これらのパッチは Solaris 8 10/00 オペレーティング環境でのみ必要なパッチです。MU2 のパッチセットには含まれていません。