Solaris WBEM Services の管理

共通モデルスキーマ

共通モデルスキーマは、以下のようなモデルを提供します。

システムモデル

システムモデルは、管理対象の環境を構成する最上位レベルのシステムオブジェクトであるコンピュータ、アプリケーション、およびネットワークシステムを表しています。

デバイスモデル

デバイスモデルは、システムの基本機能 (ストレージ、処理、通信、入出力など) を提供しているシステム上の個々の論理ユニットを表します。システムデバイスはシステムの物理的なコンポーネントそのものと考えがちですが、これは誤りです。これは、管理されるのは実際のコンポーネント自体ではなく、オペレーティングシステム上でのデバイスの記述であるためです。

オペレーティングシステムの記述は、システムの実際のコンポーネントと 1 対 1 では対応していません。たとえば、モデムは個々の実際のコンポーネントに対応できます。モデムは、LAN アダプタとモデムをサポートする多機能カードによって提供することも、システム上で動作する通常のプロセスによって提供することもできます。このモデルを使用または拡張するためには、論理的なデバイスと物理的なコンポーネント間の違いを混同することなく理解することが必要です。

アプリケーション管理モデル

CIM アプリケーション管理モデルは、ソフトウェア製品とアプリケーションの管理に通常必要な情報を詳細に記述した情報モデルです。このモデルは、スタンドアロンのデスクトップアプリケーションから、高性能、マルチプラットフォーム、分散型、インターネットベースのアプリケーションなど、多様なアプリケーション構造に使用できます。このモデルは、単一のソフトウェア製品を記述するのにも、ビジネスシステムを形成している相互に依存した複数のアプリケーションを記述するのにも使用できます。

このアプリケーションモデルの主要な特性の 1 つに、アプリケーションのライフサイクルという考えがあります。アプリケーションは、配付可能、インストール可能、実行可能、実行中のいずれかの状態にあります。各種のオブジェクトの解釈と特性は、アプリケーションをある状態から別の状態に変換するために使用される機構と多くの場合関連づけられて、アプリケーションを記述しています。

ネットワークモデル

ネットワークモデルは、ネットワークトポロジ、ネットワークの接続性、ネットワークアクセスの制御と提供に必要な各種のプロトコルとサービスなど、ネットワーク環境のさまざまな側面を表現します。

物理モデル

物理モデルは、実際の物理的な環境を表します。管理される環境のほとんどは、論理オブジェクト (実際のオブジェクトではなく環境の情報面を記述するオブジェクト) で表されます。システム管理のほとんどは、システム状態を表現、制御する情報の操作に関係しています。実際の物理的な環境に対する操作 (物理ドライブの読み取りヘッドの移動やファンの起動など) はすべて、通常、論理的な環境の操作による間接的な結果として発生するにすぎません。そのため、物理的な環境は一般に直接的な重要性はありません。

一般にシステムの物理的な各部には、計測機構は付けられていません。それらの現在の状態 (およびそれらの存在そのもの) は、システムについてのほかの情報から間接的に推測できるだけです。CIM では、物理モデルは環境のこの側面を表します。このモデルは、システムごとに大きく異なり、また技術の進展に伴い劇的に変化すると考えられます。また、管理環境の物理的な側面についての情報提供を具体的な目的として、アプリケーション、ツール、および環境を個別に使用するために、物理的な環境を追跡、計測することは、常に困難を極めると予測されます。