Solaris 8 のインストール (追補)

第 8 章 フラッシュアーカイブのインストール

この章では、フラッシュアーカイブをクローンマシンにインストールする手順を説明します。フラッシュアーカイブは、任意の Solaris のインストール方法でインストールできます。

Solaris Web Start 3.0 によるフラッシュアーカイブのインストール

この節では、Solaris 8 INSTALLATION CD (Multilingual) に含まれている Solaris Web Start 3.0 を使用してフラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。この節の情報は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』と『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』に記載されている情報を補足するものです。

Solaris 8 INSTALLATION CD (Multilingual) に含まれている Solaris Web Start 3.0 では、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。

Web Start 3.0 によりフラッシュアーカイブをインストールするには

  1. Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』および『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』に記述されている手順に従って、Solaris Web Start 3.0 インストールを開始します。

  2. 「媒体の指定」画面で、フラッシュアーカイブのロケーションを選択します。

    選択された媒体に応じて、Solaris Web Start 3.0 インストールが続行するためのプロンプトを表示します。

    選択された媒体 

    プロンプト 

    CD 

    フラッシュアーカイブを含む CD を挿入してください。 

    ネットワークファイルシステム 

    フラッシュアーカイブを含むネットワークファイルシステムへのパスを指定してください。 

    HTTP 

    フラッシュアーカイブにアクセスするための URL とプロキシ情報を指定してください。 

    ローカルテープ 

    フラッシュアーカイブを含むローカルテープデバイスとその位置を指定してください。 

  3. 「フラッシュアーカイブの選択」画面で、インストールするフラッシュアーカイブを選択します (1 つでも複数でも可)。

  4. 「追加するフラッシュアーカイブ」画面で、別のアーカイブを含む媒体を指定して、階層化されたフラッシュアーカイブのインストールを選択することができます。アーカイブをそれ以上インストールしない場合は、「なし - アーカイブの選択が完了しました」を選択してください。

  5. 「フラッシュアーカイブの一覧」画面で選択されたアーカイブを確認し、インストールを完了させるために「次へ」をクリックします。

対話式インストールプログラムによるフラッシュアーカイブのインストール

この節では、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれる対話式インストールプログラムを使用してフラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。フラッシュをインストールできるのは、対話式インストールプログラムではキャラクタベースのインストールのみです。この節の情報は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』に記載されている情報を補足するものです。

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれているキャラクタベースの対話式インストールプログラムでは、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。

対話式インストールプログラムによりフラッシュアーカイブをインストールするには

  1. Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD またはネットワーク上の Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD イメージからブートして、キャラクタベースの Solaris 対話式インストールプログラムを開始します。

    SPARC システムの場合 : キャラクタベースの Solaris 対話式インストールプログラムの開始には、- w 引数を使用します。

    • CD からブートする場合:


      ok boot cdrom - w
      
    • SOLARIS 8 SOFTWARE 1 of 2 イメージからブートする場合:


      ok boot net - w
      

    IA システムの場合 : kdmconfig の構成をバイパスします。

  2. 「Flash Archive Retrieval Method」画面で、フラッシュアーカイブのロケーションを選択します。

    選択された媒体に応じて、Solaris Web Start 3.0 インストールが続行するためのプロンプトを表示します。

    選択された媒体 

    プロンプト 

    HTTP 

    フラッシュアーカイブへのアクセスに必要な URL とプロキシ情報を指定してください。 

    ネットワークファイルシステム 

    フラッシュアーカイブを含むネットワークファイルシステムへのパスを指定してください。 

    ローカルファイル 

    フラッシュアーカイブを含むローカルファイルシステムへのパスを指定してください。 

    ローカルテープ 

    フラッシュアーカイブを含むローカルテープデバイスとテープ上の位置を指定してください。 

    ローカルデバイス 

    フラッシュアーカイブを含むローカルデバイスとパス、ファイルシステムのタイプを指定してください。 

  3. 「Flash Archive Selection」画面で、「New」を選択すると、階層化されたフラッシュアーカイブのインストールを選択することができます。アーカイブをそれ以上インストールしない場合は、インストールを完了させるために「Continue」を選択します。


    注 -

    キャラクタベースの対話式インストールでは、デフォルトロケールに日本語ロケールを指定しても、インストール画面の表示言語は英語になります。


カスタム JumpStart インストールによるフラッシュアーカイブのインストール

この節では、カスタム JumpStart インストールを使用してフラッシュアーカイブをインストールする手順を説明します。この節の情報は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』に記載されている情報を補足するものです。

カスタム JumpStart インストールでは、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。

カスタム JumpStart インストールによりフラッシュアーカイブをインストールするには

  1. インストールサーバーで、カスタム JumpStart の rules ファイルを作成します。

    カスタム JumpStart ファイルの作成手順の詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』の「カスタム JumpStart インストールの準備」を参照してください。

  2. インストールサーバーで、カスタム JumpStart のプロファイルを作成します。

    1. install_type プロファイルキーワードの値を、flash_install と設定します。

    2. 新しい archive_location プロファイルキーワードを使用して、フラッシュアーカイブへのパスを追加します。

      archive_location プロファイルキーワードの詳細は、archive_location プロファイルキーワード」を参照してください。

    3. ファイルシステム構成を指定します。

      フラッシュアーカイブの抽出プロセスでは、パーティションの自動配置はサポートされません。

    4. (オプション) クローンマシンに階層化されたフラッシュアーカイブをインストールしたい場合は、インストールしたいアーカイブごとに archive_location 行を指定してください。


    注 -

    Solaris 8 のインストール (上級編)』の「カスタム JumpStart インストールの準備」に記載されているカスタム JumpStart のプロファイルキーワードのリストの中で、フラッシュアーカイブをインストールする時に有効なキーワードは、以下のもののみです。

    • fdisk (IA のみ)

    • filesys - filesys プロファイルキーワードに値 auto は設定できません。

    • install_type (必須)

    • partitioning - partitioning プロファイルキーワードに、値 explicit または existing のみ設定できます。


  3. インストールサーバーで、フラッシュアーカイブをインストールするクライアントを追加します。

    手順の詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』の「ネットワーク上で Solaris ソフトウェアをインストールする準備」を参照してください。

  4. クローンマシンへのカスタム JumpStart インストールを実行します。

    手順の詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』の「カスタム JumpStart インストールの実行」を参照してください。

archive_location プロファイルキーワード

カスタム JumpStart インストールを使用してフラッシュアーカイブをインストールする場合、プロファイルに新しいカスタム JumpStart のプロファイルキーワード、archive_location を含める必要があります。このキーワードの構文は次のとおりです。


archive_location retrieval_type location

retrieval_typelocation の値は、フラッシュアーカイブの格納場所によって異なります。

ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー

アーカイブがネットワークファイルシステム (NFS) サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location nfs server_name:/path/filename

このコマンド行では :

例:


archive_location nfs golden:/archives/usrarchive

または


archive_location nfs://golden/archives/usrarchive

HTTP サーバー

アーカイブが HTTP サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location http server_name:port path/filename optional_keywords

このコマンド行では :

HTTP サーバーからフラッシュアーカイブを取得する場合は、いくつかのオプションのキーワードを使用することができます。

表 8-1 optional_keywords で使用可能なオプションのキーワード

キーワード 

値の定義 

auth basic username password

アーカイブがパスワード保護された HTTP サーバーに格納されている場合は、その HTTP サーバーへのアクセスに必要なユーザー名とパスワードをプロファイルに含める必要があります。 


注 -

カスタム JumpStart での使用を意図したプロファイルにおけるこの認証方法の使用は、リスクを伴います。これは、承認されていないユーザーが、パスワードが入ったプロファイルにアクセスできる可能性があるためです。


timeout min

timeout キーワードには、HTTP サーバーからのデータ受信を待機する最長の時間を分単位で指定できます。この時間に達すると、接続が切断されて、再接続が行われ、タイムアウトが発生した地点から再開されます。timeout 値として 0 (ゼロ) を指定すると、何も起きないため再接続はなされません。

タイムアウトによる再接続が発生すると、フラッシュインストールユーティリティはアーカイブを取得した最後の位置から、再開を試みます。この位置での再開が不可能な場合、取得はアーカイブの初めから再度行われ、タイムアウト前に取得されたデータは破棄されます。 

proxy host:port

proxy キーワードを使用して、プロキシホストとプロキシポートを指定できます。プロキシホストを使用すると、ファイアウォール越しにフラッシュアーカイブを取得できます。proxy キーワードを指定する場合は、プロキシポートを指定する必要があります。

例:


archive_location http silver /archives/usrarchive auth basic user1 secret timeout 5

または


archive_location http://user1:secret@silver/archives/usrarchive timeout 5 

ローカルテープ

アーカイブがテープに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location local_tape device  position

このコマンド行では :

例:


archive_location local_tape /dev/rmt/0n 5

または


archive_location local_tape 0n 5

ローカルデバイス

ファイルシステム指向のランダムアクセスデバイス (フロッピーディスクや CD-ROM など) にフラッシュアーカイブを格納した場合は、ローカルデバイスからフラッシュアーカイブを取得できます。archive_location プロファイルキーワードに以下の構文を使用してください。


注 -

ローカルテープ用の構文を使用すると、ストリーム指向のデバイス (テープなど) からアーカイブを取得できます。



archive_location local_device device path/filename file_system_type

このコマンド行では :

例:

UFS ファイルシステムとしてフォーマットされているローカルハードドライブからアーカイブを取得するには :


archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/$HOST

HSFS ファイルシステムを持つローカル CD-ROM からアーカイブを取得するには :


archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/usrarchive

ローカルファイル

クローンシステムをブートしたミニルートに格納したローカルファイルのアーカイブを取得できます。カスタム JumpStart インストールを実施する時に、CD-ROM または NFS ベースのミニルートからシステムをブートします。このミニルートからインストールソフトウェアがロードされ、実行されます。したがって、CD-ROM または NFS ベースのミニルートに格納したフラッシュアーカイブは、ローカルファイルとしてアクセスできます。archive_location プロファイルキーワードには次の構文を使用します。


archive_location local_file path/filename

このコマンド行では :

例:


archive_location local_file /archives/usrarchive

または


archive_location local_file:/archives/usrarchive