Solaris 8 のシステム管理 (追補)

sendmail の新規および更新された m4 構成マクロとその関連事項

この節では、sendmail の新規および更新された m4 構成マクロと、次の関連事項を記述します。

これ以降の表に示すマクロの宣言には次の構文を使用します。


symbolic_name(`value')

表 21–12 sendmail の新規および更新された m4 構成マクロ

m4 マクロ

説明 

FEATURE() 宣言

詳細は、新規および更新された FEATURE() 宣言を参照してください。

LOCAL_DOMAIN()

このマクロはクラス w ($=w) にエントリを追加します。

MASQUERADE_EXCEPTION()

偽装できないホストまたはサブドメインを定義する新しいマクロ。 

SMART_HOST()

user@[host]などの、括弧付きのアドレスにこのマクロを使用できるようになりました。

TRUST_AUTH_MECH()

SMTP AUTH が使用されている場合、「信頼される」機構として認証されているすべてのユーザーに対し、中継が許可されます。これは、この機構が TRUST_AUTH_MECH('list_of_mechanisms') 宣言で定義されていることを意味します。

VIRTUSER_DOMAIN() または VIRTUSER_DOMAIN_FILE()

これらのマクロを使用する場合は、$={VirtHost}$=R に含めます。$=R は、中継を許可されているホスト名のセットです。

新規および更新された FEATURE() 宣言

次の表では、m4 FEATURE() 宣言の新規のキーワードと更新されたキーワードを示します。.mc ファイルに feature を宣言するには、次の例に示す構文を使用します。


FEATURE(`key_word', `argument')

次の表では、どのキーワードに arguments が必要であるかを示します。

表 21–13 FEATURE() 宣言の新規および更新されたキーワード

キーワード 

説明 

delay_checks

引数: friend (spam-friend テストを有効にする)、または hater (spam-hater テストを有効にする)

すべてのチェックを遅らせる新しいキーワード。FEATURE(‘delay_checks’) を使用すると、クライアントが接続したり MAIL コマンドを発行した時にルールセット check_mailcheck_relay は呼び出されません。その代わりに、これらのルールセットは check_rcpt ルールセットから呼び出されます。詳細は、/usr/lib/mail/README ファイルを参照してください。

dnsbl

引数を最大 2 つまで指定できる新しいキーワード。

    DNS サーバー名


    拒否メッセージ


このキーワードは、複数回含めることができます。 

generics_entire_domain

引数: なし 

genericstable$=G のサブドメインに適用するために使用することもできる新しいキーワード。

ldap_routing

引数: 詳細は、/usr/lib/mail/README の LDAP ROUTING の節を参照してください。

LDAP アドレスルーティングを実装する新しいキーワード。 

local_lmtp

引数: LMTP 対応メールプログラムのパス名。デフォルトは mail.local で、これは Solaris のリリースでは LMTP 対応です。

ローカルメールプログラムの配信ステータス通知 (DSN) 診断コードタイプを SMTP の適切な値に設定するキーワード。

nocanonify

引数: canonify_hosts または、なし

このキーワードには、次の機能が含まれるようになりました。 

CANONIFY_DOMAIN または CANONIFY_DOMAIN_FILE によって指定されたドメインのリストを $[ および $] 演算子に渡し、正規化を依頼することができます。

<user@host> のような 1 つのホスト名だけを持つアドレスの正規化を依頼できる。ただし、そのパラメータとして canonify_hosts が指定されている場合に限ります。

複数のコンポーネントからなるアドレスに後続のドットを付加します。 

no_default_msa

引数: なし 

m4 によって生成された構成ファイルにある sendmail のデフォルト設定をオフにして、いくつかの別のポートで待機する、新しいキーワード。RFC 2476 の実装です。

nouucp

引数: reject (! トークンを許可しない) または nospecial (! トークンを許可する)。

アドレスのローカル部分に ! トークンを許可するかどうかを指定するキーワード 

nullclient

引数: なし 

通常構成のすべてのルールセットを提供するキーワード。これにより、anti-spam チェックを行うことができます。 

relay_mail_from

引数: domain (オプションの引数)

メール送信側がアクセスマップに RELAY としてリストされており、From: ヘッダー行が付加されている場合、中継を許可する、新しいキーワード。オプションの domain 引数が指定されている場合は、メール送信側のドメイン部分もチェックされます。

virtuser_entire_domain

引数: なし 

VIRTUSER_DOMAIN または VIRTUSER_DOMAIN_FILE によって移植できる virtusertable エントリのマッチングのための新しいクラス $={VirtHost} を適用するために使用できるようになったキーワード。

FEATURE(`virtuser_entire_domain') では、クラス $={VirtHost} をサブドメイン全体に適用することもできます。

m4 構成の更新された MAILER() 宣言

MAILER() 宣言は、配信エージェントのサポートを指定します。配信エージェントを宣言するには、次の構文を使用します。


MAILER(`symbolic_name')

sendmail のこの新しいバージョンでは、MAILER(‘smtp’) 宣言に追加のメールプログラム、dsmtp を含むようになりました。dsmtp は、F=% メールプログラムフラグを使用することによって要求に応じて配信を行います。dsmtp メールプログラム定義では、新しい DSMTP_MAILER_ARGS が使用されます。このデフォルトは IPC $h です。