SunVTS 4.3 テストリファレンスマニュアル

第 16 章 Sun StorEdge A5000 テスト (enatest)

enatest は、Sun StorEdgeTM A5000 サブシステムの構成の検査、修理後の検査、障害の切り分けに使用します。enatest は、Sun StorEdge A5000 (22 スロットディスクアレイ) をテストします。

Sun StorEdge A5000 は、以下から構成される、可用性に優れた外部記憶装置サブシステムです。


注 -

enatestsocaltest を同時に実行しないでください。テストが失敗する可能性があります。



注 -

Sun StorEdge A5000 の旧製品名は、Sun Enterprise Network ArrayTM です。enatest では、どちらのディスクアレイのサブシステムもテストされます。


enatest は、ホストに接続されているすべての Sun StorEdge A5000 格納装置を検出し、関連する構成情報を収集します。図 16-1 は、構成情報とテストパラメタからなる テストパラメタオプションダイアログボックスの例です。表 16-1 に、enatest のテスト内容と表示される構成情報の例を示します。

表 16-1 enatest の内容

テスト内容 

説明 

Host Connections (ホスト接続) 

ホストと格納装置間の、有効な接続と有効ではない接続をすべて調べ、有効な接続数を報告します。VERBOSE (詳細) モードが有効な場合は、有効な各接続について、ホスト側の socal ポートと格納装置側の GBIC ポートが報告されます。また、有効ではない接続を診断し、考えられる障害の原因を報告します。有効ではない接続がある場合は、テストは失敗します。詳細は、 enatest障害の切り分け」を参照してください。

格納装置が SBus socal カードに接続されている場合の出力例:  

 

SUNWvts.enatest.1010 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 VERBOSE:

"MYBOX: Lower-Right GBIC connected to host via /devices/sbus@1f,0/SUNW,socal@0,0:1"

SUNWvts.enatest.1006 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 VERBOSE:

"MYBOX: Interface Board (Bottom one in the enclosure) detected to be installed

and OK

"SUNWvts.enatest.6023 06/05/97 13:48:53 enatest ses0

ERROR: "MYBOX: Cannot communicate with the enclosure via

/devices/sbus@1f,0/SUNW,socal@0,0:0; possibly connected to Lower-Left

GBIC in the enclosure"

Probable_Cause(s)

(1)Signal too low at the GBIC module in the enclosure

(2)Faulty cable or cable disconnected

(3)Faulty GBIC module on the host side

Recommended_Action(s):

(1)Ensure the cables are properly connected

(2)Please contact your service representative

SUNWvts.enatest.2006 06/05/97 13:48:53 enatest ses0 INFO:

"MYBOX: Number of connections to the host: 1"

Disk Access (ディスクアクセス) 

それぞれの有効な接続を使用して、各ディスクにアクセスします。すなわち、ディスクのパーティション 2 を開いて、512 バイトの raw データを読み取ります。障害がある場合は、格納装置の構成装置、ケーブル、ホストアダプタカード、ホストアダプタの OE モジュールのどこに障害があるのかを切り分けようとします。詳細は、 enatest障害の切り分け」を参照してください。

Enclosure Status (格納装置の状態) 

格納装置内の SCSI 格納装置サービス (SES) デバイスに問い合わせることによって、格納装置の状態情報を取得し、構成装置の状態に関する詳細情報を報告します。格納装置内で危険な状態が検出された場合は、テストは失敗します。報告される状態情報については、表 16-2 を参照してください。

表 16-2 構成装置の状態情報

構成装置 

情報 

ディスク 

  • Fault Sensed-Yes/No

  • Status of ports A and B-Connected or Bypassed

電源装置 

  • Status-ON/OFF

  • Temperature-OK/Critical Overtemp/Abnormal

  • AC Input-OK/Not OK

  • DC Output-OK/Not OK

ファン 

  • Status-On/Off

  • Speed-High/Low/Stopped

バックプレーン 

  • Status-OK/Failed

  • Status of ports A and B-Connected/Bypassed

インタフェースボード 

  • Temperature-OK/Critical Overtemp

  • Loop A status-OK/Failed

  • Loop B status-OK/Failed

GBIC 

  • Status-Disabled/Enabled

  • Signal Level-OK/Too low

  • Transmitter-OK/Failed

enatest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.3 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 16-1 enatest のテストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic

表 16-3 enatest のオプション

オプション 

説明 

Enclosure Services Functional test 

(格納装置サービスに対する機能テスト) (全般的な説明) 

SES デバイスを使用して、格納装置内のデバイスに対していくつか制御動作を行い、それらの動作が正しく行われたかどうかを確認します。この機能テストは、以下の順序で行われます。 

  1. 制御動作を行います。

  2. 制御動作が成功したかどうかを確認します。

  3. 元の状態に戻します。

  4. 正しく元の状態に戻ったかどうかを確認します。

上記の動作のいずれかが失敗した場合は、テストは失敗します。 

 

このテストは、格納装置内のディスクとファンを対象にしています。 

Enclosure Services Functional test 

(格納装置サービスに対する機能テスト) (ディスクテストの詳細) 

  1. Control Operation (制御動作)-ディスクの各ポートを元の状態から切り替えます。すなわち、元々接続されていたポートをバイパスし、バイパスされていたポートを接続します。

  2. Verify Control Operation (制御動作の確認)-これは、2 つの方法で行われます。最初に、SES デバイスを使用して状態を読み取ることによって、ディスクポートの新しい状態を確認します。状態の変更が反映されていない場合は、テストは失敗します。次に、元々接続されていて、現在はバイパスされているポートを使用してディスクアクセスを試みます。この試みが成功した場合は、テストは失敗します。

  3. Restore State (状態の復元)-ポートを制御動作の前の状態に戻します。

  4. Verify Restore Operation (復元の確認)-これは、2 つの方法で行われます。最初に、SES デバイスを使用して状態を読み取ることによって、ディスクポートの新しい状態を確認します。状態の変更が反映されていない場合は、テストは失敗になります。次に再接続されたポートを使用してディスクアクセスを試みます。この試みが失敗した場合は、テストは失敗します。

Enclosure Services Functional Test 

(格納装置サービスに対する機能テスト) (ファンテストの詳細) 

  1. Control Operation (制御動作)-各ファンの速度を切り替えます。切り替えられる速度は、HIGH または LOW です。

  2. Verify Control Operation (制御動作の確認)-SES デバイスを使用して状態を読み取り、速度を比較します。この場合は、速度の切り替えに失敗しても、ファン速度を変更できなかったことを示す情報メッセージが表示されるだけで、テストが失敗することはありません。これは、周囲温度によってファン速度の変更が必要であったとしても、SES が変更要求を無視できるためです。

  3. Restore State (状態の復元)-ファンを元の速度に戻します。

  4. Verify Restore Operation (復元の確認)-これは、上記の Verify Control Operation (制御動作の確認) に似た処理です。

enatest障害の切り分け

enatest は、障害を検出した場合に考えられる原因を報告することによって、障害の切り分けの支援をします。障害の切り分けが行われるかどうかは、障害の内容とシステムの構成に依存します。enatest は、ハード障害を検出して切り分けることができます。表 16-4 は、システム構成別に障害切り分けの有無をまとめたものです。○は、該当する構成では、その部品に対する障害切り分けが行われることを意味します。×は、該当する構成では、その部品に対する障害切り分けが行われないことを意味します。

PCI ベースのファイバチャネルカードには障害切り分け機能がないため、次の表の内容は当てはまりません。

表 16-4 enatest の障害切り分け

格納装置への接続数 

システムアーキテクチャー 

SOC+ ホスト アダプタ 

ホスト側 GBIC またはケーブル 

格納装置の構成装置 

ディスク 

バック プレーン 

IB 

GBIC 

複数 

sun4u 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

複数 

sun4d 

○ 

× 

○ 

○ 

× 

× 

単一 

sun4u 

○ 

× 

× 

× 

× 

× 

単一 

sun4d 

○ 

× 

× 

× 

× 

× 

enatest のテストモード

表 16-5 enatest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

○ 

接続テストモードでは、格納装置のホストとの接続と状態が検査されます。 

接続が切断されているか、格納装置で危険な状態が検出された場合は、テストは失敗します。 

危険ではなくても、エラーが検出された場合は、警告が発行されます。 

以下は、接続テスト時の出力例です。 

Connection test starting....

ses0

Status: Connected

Enclosure:

Product Anemones Enterprise Network Array,

Enclosure Name=MYBOX,

Host Connections:

Number of Active Connections=2,

Enclosure State:

Critical Conditions=None, Non-Critical Conditions=None

Connection test complete

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

すべてのテストオプションを使用できます。 

enatest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/enatest 標準引数 -o dev=デバイス名, disk_access=enable|disable,disks=disk1:disk2:disk3:...diskn,disp=enable|disable, esfunc=enable|disable,conn=enable|disable,delay=delay_in_seconds

表 16-6 enatest コマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

格納装置内の SES デバイス名を指定します。 

disk_access=enable|disable

ディスクへのアクセスを有効または無効にします。 

disks=disk1:disk2:disk3:... diskn

disks_access オプションを有効にしてアクセスしようとする格納装置内のディスクを、コロン (:) で区切って指定します。disks オプションが省略された場合は、格納装置内のすべてのディスクがアクセスされます。

disp=enable|disable

格納装置の構成装置に関する詳細な状態情報を表示するには、このオプションを有効にします。 

esfunc=enable|disable

格納装置サービスに対する機能テストを有効または無効にします。 

conn=enable|disable

ホストへの接続に関する情報を表示します。 

delay=テストパスの間

テストを繰り返す場合は、次のパスまでの最小間隔を指定します。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。