Solaris 8 のインストール (上級編)

第 19 章 カスタム JumpStart オプション機能の使用

この章では、カスタム JumpStart インストールのオプション機能について説明します。


注 -

この章の手順は、カスタム JumpStart ファイルを提供するために使用している SPARC サーバーと IA サーバーの両方で有効です (「プロファイルサーバー」と呼びます)。プロファイルサーバーは、異なるプラットフォームタイプのシステムにカスタム JumpStart ファイルを提供できます。たとえば、SPARC サーバーは、SPARC 搭載システムと IA 搭載システムの両方に、カスタム JumpStart ファイルを提供できます。


begin スクリプトの作成

begin スクリプトとは

「begin スクリプト」とは、ユーザーが定義する Bourne シェルスクリプトで、rules ファイル内で指定し、Solaris ソフトウェアがシステムにインストールされる前に作業を実行します。begin スクリプトは、カスタム JumpStart インストールで Solaris をインストールするときのみ使用できます。

begin スクリプトの使用目的

begin スクリプトに関する注意事項

begin スクリプトによる動的プロファイルの作成

「動的プロファイル」とは、カスタム JumpStart インストール時に begin スクリプトが動的に作成するプロファイルです。動的プロファイルは、特定のシステムを 1 つのプロファイルに一致させる rules ファイルを設定できないとき (rules ファイルが持つ柔軟性では十分ではない場合) に必要です。たとえば、異なるハードウェア構成要素を持つ同一システムモデル (たとえば、異なるフレームバッファを持つシステム) に対しては動的プロファイルを使用しなければならない場合があります。

動的プロファイルを使用するルールの設定手順は、次のとおりです。

システムが、プロファイルフィールドに等号 (=) があるルールと一致すると、begin スクリプトは、システムに Solaris ソフトウェアをインストールするのに使用する動的プロファイルを作成します。

毎回同じ動的プロファイルを作成する begin スクリプトの例を次に示します。もちろん、ルールの評価に応じて異なる動的プロファイルを生成する begin スクリプトを作成することもできます。

#!/bin/sh
echo "install_type        initial_install"    > ${SI_PROFILE}
echo "system_type         standalone"        >> ${SI_PROFILE}
echo "partitioning        default"           >> ${SI_PROFILE}
echo "cluster             SUNWCprog"         >> ${SI_PROFILE}
echo "package       SUNWman     delete"      >> ${SI_PROFILE}
echo "package       SUNWolman   delete"      >> ${SI_PROFILE}
echo "package       SUNWxwman   delete"      >> ${SI_PROFILE}

上記のように begin スクリプトは、デフォルトで /tmp/install.input に設定されている動的プロファイル名に SI_PROFILE 環境変数を使用する必要があります。この動的プロファイルは、デフォルトでは /tmp/install.input に設定されます。


注 -

begin スクリプトを使用して動的プロファイルを作成する場合は、スクリプトにエラーがないことを確認してください。動的プロファイルは、begin スクリプトが実行されてから作成されるため、check スクリプトでは妥当性は検査されません。


finish スクリプトの作成

finish スクリプトとは

「finish スクリプト」とは、ユーザーが定義する Bourne シェルスクリプトで、rules ファイル内で指定し、Solaris ソフトウェアがシステムにインストールされた後、システムがリブートする前に作業を実行します。finish スクリプトは、カスタム JumpStart インストールで Solaris をインストールするときのみ使用できます。

finish スクリプトの使用目的

finish スクリプトに関する注意事項

finish スクリプトによるファイルの追加

finish スクリプトにより、JumpStart ディレクトリにあるファイルをインストールされたシステムへ追加できます。JumpStart ディレクトリは、SI_CONFIG_DIR 変数によって指定されたディレクトリ (デフォルトでは /tmp/install_config に設定される) にマウントされるため、このようなスクリプトを作成できます。


注 -

インストールされたシステムにすでに存在するファイルに、JumpStart ディレクトリからファイルをコピーして、ファイルを置換することもできます。


次の手順により、Solaris ソフトウェアがインストールされた後、システムにファイルを追加する finish スクリプトを作成できます。

finish スクリプトでファイルを追加する方法

  1. インストールされたシステムに追加したいすべてのファイルを JumpStart ディレクトリにコピーします。

  2. 新しくインストールされたファイルシステムの階層にコピーしたいファイルの finish スクリプトごとに次の行を挿入します。

    cp ${SI_CONFIG_DIR}/file_name /a/path_name
    

たとえば、自分のサイトのすべてのユーザーを対象に開発された特別なアプリケーション site_prog があると仮定します。site_prog のコピーを JumpStart ディレクトリにおいた場合、次の finish スクリプトは、カスタム JumpStart インストール時に、JumpStart ディレクトリからシステムの /usr/bin ディレクトリに site_prog をコピーします。

cp ${SI_CONFIG_DIR}/site_prog  /a/usr/bin

finish スクリプトによるパッケージとパッチの追加

finish スクリプトを作成すると、Solaris をシステムにインストールした後に、パッケージやパッチを自動的に追加できます。これは時間を節約するだけでなく、どのパッケージやパッチがユーザーのサイトにあるさまざまなシステムにインストールされているかについての整合性を確保できます。

pkgadd(1M) コマンドや patchadd(1M) コマンドを finish スクリプトで使用するときは、-R オプションを使用して、/a をルートパスとして指定する必要があります。

例 19-1 はパッケージを追加する finish スクリプトの例を示します。


例 19-1 finish スクリプトでパッケージを追加する

  #!/bin/sh
 
  BASE=/a
  MNT=/a/mnt
  ADMIN_FILE=/a/tmp/admin
 
  mkdir ${MNT}
  mount -f nfs sherlock:/export/package ${MNT}  [インストールするパッケージを含むサーバー上にディレクトリをマウントします。 ] 
  cat >${ADMIN_FILE} <<DONT_ASK  [一時的なパッケージ管理ファイル admin を作成し、パッケージのインストール時に pkgadd(1M) コマンドがチェックを行わない (および、質問を表示しない) ようにします。これにより、パッケージ追加時に自動インストールを実行できます。] 
  mail=root
  instance=overwrite
  partial=nocheck
  runlevel=nocheck
  idepend=nocheck
  rdepend=nocheck
  space=ask
  setuid=nocheck
  conflict=nocheck
  action=nocheck
  basedir=default
  DONT_ASK
 
  /usr/sbin/pkgadd -a ${ADMIN_FILE} -d ${MNT} -R ${BASE} SUNWxyz  [-a オプション (パッケージ管理ファイルを指定) と -R オプション (ルートパスを指定) を使用してパッケージを追加します。  ] 
 
  umount ${MNT}
  rmdir ${MNT}


注 -

以前は finish スクリプト環境では、pkgadd コマンドや patchadd コマンドとともに chroot(1M) コマンドが使用されていました。これは推奨する方法ではありませんが、一部のパッケージやパッチには、-R オプションが正しく動作しないものもあります。このような状況では、chroot コマンドを使用する前に、仮の /etc/mnttab ファイルを /a ルートパスに作成する必要があります。

/etc/mnttab ダミーファイルを作成するには、次の行を finish スクリプトに追加します。

cp /etc/mnttab /a/etc/mnttab

finish スクリプトによるルート環境のカスタマイズ

finish スクリプトを使って、システムにインストールされたファイルをカスタマイズできます。たとえば、例 19-2 の finish スクリプトは、ルートディレクトリ内の .cshrc ファイルに情報を追加することによって、ルート環境をカスタマイズします。


例 19-2 finish スクリプトによるルート環境のカスタマイズ

#!/bin/sh
#
# Customize root's environment
#
echo "***adding customizations in /.cshrc"
test -f a/.cshrc || {
cat >> a/.cshrc <<EOF
set history=100 savehist=200 filec ignoreeof prompt="¥$user@`uname -n`> "
alias cp cp -i
alias mv mv -i
alias rm rm -i
alias ls ls -FC
alias h history
alias c clear
unset autologout
EOF
}

finish スクリプトによるシステムのルートパスワードの設定

Solaris ソフトウェアがシステムにインストールされると、そのシステムはリブートします。ブートプロセス終了前に、システムはルートパスワードを入力するように求めてきます。パスワードを入力するまで、システムはブート処理を終了できません。

例 19-3 に、auto_install_sample ディレクトリにルートパスワードを自動設定する set_root_pw という名前の finish スクリプトを示します。このスクリプトを使えば、ルートパスワードの入力を待たずに、システムの最初のブートを終了できます。


例 19-3 finish スクリプトによるシステムのルートパスワードの設定

	 #!/bin/sh
	 #
	 #       @(#)set_root_pw 1.4 93/12/23 SMI
	 #
	 # This is an example Bourne shell script to be run after installation.
	 # It sets the system's root password to the entry defined in PASSWD.
	 # The encrypted password is obtained from an existing root password entry
	 # in /etc/shadow from an installed machine.
 
	 echo "setting password for root"
 
	 # set the root password
     PASSWD=dKO5IBkSF42lw
	 #create a temporary input file  [PASSWD 変数に、システムの /etc/shadow ファイルの既存のエントリから取得した暗号化されたルートパスワードを設定します。] 
     cp /a/etc/shadow /a/etc/shadow.orig  [/a/etc/shadow の一時入力ファイルを作成します。] 
 
	 mv /a/etc/shadow /a/etc/shadow.orig
 	nawk -F: '{
              if ( $1 == "root" )  [$PASSWD をパスワードフィールドとして使用して、新しくインストールしたシステム用の /etc/shadow ファイルにあるルートエントリを変更します。] 
              printf"%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s¥n",$1,passwd,$3,$4,$5,$6,$7,$8,$9
          else
              printf"%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s:%s¥n",$1,$2,$3,$4,$5,$6,$7,$8,$9
          }' passwd="$PASSWD" /a/etc/shadow.orig > /a/etc/shadow
     #remove the temporary file
     rm -f /a/etc/shadow.orig  [一時的な /a/etc/shadow ファイルを削除します。] 
     # set the flag so sysidroot won't prompt for the root password
     sed -e 's/0 # root/1 # root/' ${SI_SYS_STATE} > /tmp/state.$$  [状態ファイルのエントリを 0 から 1 へ変更します。これによりユーザーはルートパスワードの入力を求められません。この状態ファイルには、SI_SYS_STATE 変数 (現在の値は /a/etc/.sysIDtool.state) を使用してアクセスします。(この値を変更することによってスクリプトで問題が発生しないようにするには、このファイルを参照するのに必ず $SI_SYS_STATE を使用してください。) ここで示す sed コマンドには、0 の後と 1 の後にタブ文字が入っています。] 
     mv /tmp/state.$$ ${SI_SYS_STATE}


注 -

finish スクリプトを使用してルートパスワードを設定した場合は、finish スクリプトの暗号化されたパスワードからルートパスワードを解読されないようにしてください。


SPARC: ディスク構成ファイルの作成

この節では、SPARC 搭載システム用の単一ディスク構成ファイルまたは複数ディスク構成ファイルを作成する方法について説明します。ディスク構成ファイルを使用すると、実際に Solaris ソフトウェアをインストールする前に、異なるディスク構成に対してプロファイルをテストできます。

SPARC: ディスク構成ファイルを作成する方法

ディスク構成ファイルを作成すると、単一のシステムから pfinstall(1M) を使用して、異なるディスク構成に対してプロファイルをテストできます。単一ディスク構成ファイルまたは複数ディスク構成ファイルを作成するには、次の手順に従ってください。

  1. テストするディスクを持つ SPARC 搭載システムを決定します。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. 単一ディスク構成ファイルを作成するには、prtvtoc(1M) コマンドの出力をファイルに保存します。


    # prtvtoc /dev/rdsk/device_name >disk_config
    

    /dev/rdsk/device_name はシステムディスクのデバイス名です。device_namecwtxdys2 または cxdys2 の形式にしてください。disk_config は、ディスク構成ファイル名です。

  4. Solaris ソフトウェアを複数のディスクにインストールするテストを

    • 実行しない場合は、ここで作業は終了です。

    • 実行する場合は、各ディスク構成ファイルを結合し、その出力を新しいファイルに保存します。


      # cat disk_file1 disk_file2 >multi_disk_config
      

      新しいファイルは、複数ディスク構成ファイルになります。たとえば、次のように入力します。


      # cat 104_disk2 104_disk3 104_disk5 >multi_disk_test
      
  5. 前の手順で作成した複数のディスク構成ファイルにおいて、ディスクデバイス名のターゲット番号がそれぞれ

    • 固有な場合は、ここで作業は終了です。

    • 固有でない場合は、テキストエディタでファイルを開き、固有にします。

      たとえば、次に示すように、異なるディスクデバイス名について同じターゲット番号 (t0) がファイルに含まれているとします。

      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map
      ...
      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map

      この場合は次のように、2 番目のターゲット番号を t2 に設定します。

      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map
      ...
      * /dev/rdsk/c0t2d0s2 partition map

SPARC: 例

次の例では、104M バイトのディスクを持つ SPARC 搭載システムで、単一ディスク構成ファイル 104_test を作成します。

prtvtoc コマンドの出力を 104_test という単一ディスク構成ファイルに保存します。


# prtvtoc /dev/rdsk/c0t3d0s2 >104_test

104_test ファイルは、次のようになります。

* /dev/rdsk/c0t3d0s2 partition map
*
* Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      72 sectors/track
*      14 tracks/cylinder
*    1008 sectors/cylinder
*    2038 cylinders*    2036 accessible cylinders
* Flags:
*   1: unmountable
*  10: read-only
*
*                          First     Sector    Last
* Partition  Tag  Flags    Sector     Count    Sector  Mount Directory
       1      2    00          0     164304   164303   /
       2      5    00          0    2052288  2052287  
       3      0    00     164304     823536   987839   /disk2/b298
       5      0    00     987840     614880  1602719   /install/298/sparc/work
       7      0    00    1602720     449568  2052287   /space

これで SPARC システム用のディスク構成ファイルの作成が終了しました。ディスク構成ファイルを使用してプロファイルをテストする詳細は、「プロファイルのテスト」を参照してください。

IA: ディスク構成ファイルの作成

この節では、Intel 32 ビットプロセッサアーキテクチャ (IA) 搭載システム用の単一ディスク構成ファイルまたは複数ディスク構成ファイルを作成する方法について説明します。ディスク構成ファイルを使用すると、実際に Solaris ソフトウェアをインストールする前に、異なるディスク構成に対してプロファイルをテストできます。

IA: ディスク構成ファイルを作成する方法

ディスク構成ファイルを作成すると、単一のシステムから pfinstall(1M) を使用して、異なるディスク構成に対してプロファイルをテストできます。単一ディスク構成ファイルまたは複数ディスク構成ファイルを作成するには、次の手順に従ってください。

  1. テストするディスクを持つ IA 搭載システムを決定します。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. 単一ディスク構成ファイルを作成するには、fdisk(1M) コマンドの出力をファイルに保存します。


    # fdisk -R -W disk_config-h /dev/rdsk/device_name
    

    disk_config は、ディスク構成ファイル名です。/dev/rdsk/device_name は、ディスク全体の fdisk レイアウトのデバイス名です。device_namecwtxdyp0 または cxdyp0 の形式にしてください。

  4. prtvtoc(1M) コマンドの出力をディスク構成ファイルに追加します。


    # prtvtoc /dev/rdsk/device_name >>disk_config
    

    /dev/rdsk/device_name は、システムディスクのデバイス名です。device_namecwtxdys2 または cxdys2 の形式にしてください。disk_config は、ディスク構成ファイル名です。

  5. 複数のディスクで Solaris ソフトウェアのインストールテストを

    • 実行しない場合は、作業はここで終了です。

    • 実行する場合は、各ディスク構成ファイルを結合し、その出力を新しいファイルに保存します。


      # cat disk_file1 disk_file2 >multi_disk_config
      

      新しいファイルは、複数ディスク構成ファイルになります。たとえば、次のように入力します。


      # cat 104_disk2 104_disk3 104_disk5 >multi_disk_test
      
  6. 前の手順で作成した複数のディスク構成ファイルにおいて、ディスクデバイス名のターゲット番号がそれぞれ

    • 固有な場合は、ここで作業は終了です。

    • 固有でない場合は、テキストエディタでファイルを開き、固有にします。

      たとえば、次に示すように、異なるディスクデバイス名について同じターゲット番号 (t0) がファイルに含まれているとします。


      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map
      ...
      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map

      この場合は次のように、2 番目のターゲット番号を t2 に設定します。

      * /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map
      ...
      * /dev/rdsk/c0t2d0s2 partition map

IA: 例

次の例では、500M バイトのディスクを持つ IA 搭載システムで、単一ディスク構成ファイル 500_test を作成します。

最初に、fdisk コマンドの出力を 500_test という名前のファイルに保存します。


# fdisk -R -W 500_test -h /dev/rdsk/c0t0d0p0

500_test ファイルは、次のようになります。

 * /dev/rdsk/c0t0d0p0 default fdisk table
* Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      94 sectors/track
*      15 tracks/cylinder
*    1455 cylinders
*
*  HBA Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      94 sectors/track
*      15 tracks/cylinder
*    1455 cylinders
*
* systid:
*  1:    DOSOS12
*  2:    PCIXOS
*  4:    DOSOS16
*  5:    EXTDOS
*  6:    DOSBIG
*  86:   DOSDATA
*  98:   OTHEROS
*  99:   UNIXOS
* 130:   SUNIXOS
*
* Id  Act Bhead Bsect   Bcyl  Ehead  Esect  Ecyl Rsect  Numsect
 130  128 44    3       0     46    30     1001 1410   2050140

次に、prtvtoc コマンドの出力を 500_test ファイルに追加します。


# prtvtoc /dev/rdsk/c0t0d0s2 >>500_test

これで 500_test ファイルは、完全なディスク構成ファイルになりました。

* /dev/rdsk/c0t0d0p0 default fdisk table	
* Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      94 sectors/track
*      15 tracks/cylinder
*    1455 cylinders
*
*  HBA Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      94 sectors/track
*      15 tracks/cylinder
*    1455 cylinders
*
* systid:
*  1:    DOSOS12
*  2:    PCIXOS
*  4:    DOSOS16
*  5:    EXTDOS
*  6:    DOSBIG
*  86:   DOSDATA
*  98:   OTHEROS
*  99:   UNIXOS
*  130:  SUNIXOS
*
* Id  Act Bhead Bsect Bcyl  Ehead  Esec  Ecyl Rsect  Numsect
 130  128 44    3     0     46    30    1001 1410   2050140
* /dev/rdsk/c0t0d0s2 partition map
*
* Dimensions:
*      512 bytes/sector
*       94 sectors/track
*       15 tracks/cylinder
*     1110 sectors/cylinder
*     1454 cylinders
*     1452 accessible cylinders
*
* Flags:
*   1: unmountable
*  10: read-only
*                          First    Sector    Last
* Partition  Tag  Flags    Sector     Count    Sector  Mount Directory
       2      5    01       1410   2045910   2047319
       7      6    00       4230   2043090   2047319  /space
       8      1    01          0      1410     1409
       9      9    01       1410      2820     422987

これで IA システム用のディスク構成ファイルの作成が終了しました。ディスク構成ファイルを使用してプロファイルをテストする詳細は、「プロファイルのテスト」を参照してください。

サイト固有のインストールプログラムの使用

begin スクリプトと finish スクリプトを使用すると、独自のインストールプログラムにより Solaris ソフトウェアをインストールできます。

プロファイルフィールドにマイナス記号 (-) が指定されているときには、begin スクリプトと finish スクリプトが、プロファイルや Solaris 8 対話式インストールプログラムの代わりに、システムのインストール方法を制御します。

たとえば次のルールに一致した場合は、begin スクリプト x_install.beg と finish スクリプト x_install.fin が、sherlock という名前のシステムに Solaris ソフトウェアをインストールします。

hostname sherlock x_install.beg - x_install.fin

カスタム JumpStart の環境変数

begin および finish スクリプトには、いくつかの便利な環境変数を使用できます。たとえば、begin スクリプトは、ディスクサイズ (SI_DISKSIZES) を抽出して、実際のディスクサイズに基づいてシステムに特定のパッケージをインストールするか、またはインストールしないでおくことができます。

システムについて収集された情報は、これらの環境変数に格納されます。これらの変数は、通常、rules ファイルに使用するルールキーワードと値によって設定するかどうかが決まります。

たとえば、システムにすでにインストールされているオペレーティングシステムについての情報は、installed キーワードを使用した後でのみ (SI_INSTALLED で) 入手できます。

表 19-1 は、これらの変数とその値を説明しています。

表 19-1 インストール環境変数

環境変数 

説明 

CHECK_INPUT

JumpStart ディレクトリ内の rules ファイルへのパス。ファイルは /tmp/install_config/rules にマウントされます。

HOME

インストール時のスーパーユーザーのホームディレクトリ (/tmp/root)

PATH

インストール時のシェル検索パス (/sbin:/usr/sbin/install.d:/usr/openwin/bin:/usr/sbin:/usr/bin)

SI_ARCH

インストールクライアントのハードウェアアーキテクチャー。この変数は、rules ファイルで arch キーワードを使用する場合に設定します。

SI_BEGIN

begin スクリプトを使用している場合は、その名前 

SI_CLASS

インストールクライアントをインストールするために使用されるプロファイルの名前 

SI_CONFIG_DIR

JumpStart ディレクトリへのパス。ディレクトリは /tmp/instal_config にマウントされます。

SI_CONFIG_FILE

JumpStart ディレクトリ内の rules ファイルへのパス。ファイルは /tmp/install_config/rules にマウントされます。

SI_CONFIG_PROG

rules ファイル

SI_CUSTOM_PROBES_FILE

custom_probes.ok ファイル。ここには、独自のルールキーワードやプローブキーワードを定義できます。custom_probes.ok ファイルを作成すれば、これを使ってデフォルトのルールキーワードのリストを拡張することができます。デフォルトのルールキーワードについては表 18-3 を、デフォルトのプローブキーワードについては表 20-1 をそれぞれ参照してください。

SI_DISKLIST

コンマで区切られた、インストールクライアント上のディスク名のリスト。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_DISKLIST および SI_NUMDISKS 変数は、rootdisk (「システムのルートディスクを決定する方法」を参照) に使用する物理ディスクを判断するために使用します。

SI_DISKSIZES

コンマで区切られた、インストールクライアント上のディスクサイズのリスト。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_DOMAINNAME

ドメイン名。この変数は、rules ファイルで dommainname キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_FINISH

finish スクリプトを使用する場合は、その名前 

SI_HOSTADDRESS

インストールクライアントの IP アドレス 

SI_HOSTID

インストールクライアントの Ethernet アドレス 

SI_HOSTNAME

インストールクライアントのホスト名。この変数は、rules ファイルで hostname キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_INSTALLED

特定のオペレーティングシステムが入っているディスクのデバイス名 (Solaris、SunOS、または System V)。この変数は、rules ファイルで installed キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_INST_OS

オペレーティングシステムの名前。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_INST_VER

オペレーティングシステムのバージョン。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_KARCH

インストールクライアントのカーネルアーキテクチャー。この変数は、rules ファイルで karch キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_MEMSIZE

インストールクライアントの物理メモリーの量。この変数は、rules ファイルで memsize キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_MODEL

インストールクライアントのモデル名。この変数は、rules ファイルで model キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_NETWORK

インストールクライアントのネットワーク番号。この変数は、rules ファイルで network キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_NUMDISKS

インストールクライアントのディスク数。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_NUMDISKS および SI_DISKLIST 変数は、rootdisk に使用する物理ディスクを決定するために使用します (「システムのルートディスクを決定する方法」)。

SI_OSNAME

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC) または Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) イメージのオペレーティングシステムのリリース。この変数は、たとえば、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC) または Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) のオペレーティングシステムのバージョンに基づいてシステムに Solaris をインストールする場合に使用できます。 

SI_PROFILE

マウントされた JumStart ディレクトリ内のプロファイルへのパス。このパスは /tmp/install_config/profile_name です。派生プロファイルを作成する場合は、SI_PROFILE/tmp/install.input ファイルが設定されます。

SI_ROOTDISK

論理名 rootdisk によって表されるディスクのデバイス名。この変数は、rules ファイルで disksize または installed キーワードを rootdisk に設定した場合に設定します。

SI_ROOTDISKSIZE

論理名 rootdisk によって表されるディスクのサイズ。この変数は、rules ファイルで disksize または installed キーワードを rootdisk に設定した場合に設定します。

SI_SYS_STATE

/a/etc/.sysIDtool.state ファイル。finish スクリプトにこのファイルを指定すれば、システムのリブート時に sysidroot プログラムからスーパーユーザーのパスワードを入力するように求めるプロンプトを表示しないようにすることができます。

SI_TOTALDISK

インストールクライアント上のディスク容量の合計。この変数は、rules ファイルで totaldisk キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SHELL

インストール時のデフォルトシェル (/sbin/sh)

TERM

インストールクライアントの端末タイプ 

TZ

NIS または NIS+ ネームサービスに指定されているデフォルトの時間帯