Solaris 8 のインストール (上級編)

第 22 章 カスタム JumpStart による Solaris ソフトウェアのインストール例

この章では、カスタム JumpStart を使用して Solaris ソフトウェアをインストールするための設定およびインストールの例を示します。この例には、SPARC 搭載システムと IA 搭載システムの両方が含まれています。


注 -

製品名は Solaris 8 ですが、コードと、パス名またはパッケージのパス名は、Solaris_2.8 または SunOS_5.8 と示される場合があります。必ず記述どおりのコードまたはパスを使用してください。


サイトの設定例

この例で使用するサイトの設定を図 22-1 に示します。

図 22-1 サイトの設定例

Graphic

このサイトの状況を次に説明します。


注 -

マーケティングシステムの周辺装置は、sysidcfg ファイルに事前設定されています。


インストールサーバーの作成

これらのグループは Solaris ソフトウェアをネットワーク上でインストールする必要があるため、server-1 を両方のグループのインストールサーバーにします。setup_install_server(1M) コマンドを使用して、Solaris 8 SOFTWARE CD (SPARC)、Solaris 8 SOFTWARE CD (Intel)、Solaris 8 LANGUAGES CD (SPARC)、および Solaris 8 LANGUAGES CD (Intel) を (/export/install ディレクトリの) server-1 のローカルディスクにコピーします。

なお、Solaris 8 CD イメージは空のディレクトリにコピーしなければならないため、SPARC 版と Intel 版のイメージは別のディレクトリ (sparc_8 ディレクトリと ia_8 ディレクトリ) にコピーします。

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC) を server-1 の CD-ROM ドライブに挿入します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/sparc_8

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) を server-1 の CD-ROM ドライブに挿入します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/ia_8

マーケティングシステム用のブートサーバーの作成

システムは、異なるサブネット上のインストールサーバーからはブートできません。したがって、server-2 をマーケティンググループのサブネット上のブートサーバーにします。setup_install_server(1M) コマンドを使用して、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) から (/export/boot ディレクトリの) server-2 のローカルディスクにブートソフトウェアをコピーします。

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) を server-2 の CD-ROM ドライブに挿入します。


server-2# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-2# ./setup_install_server -b /export/boot

setup_install_server コマンドの -b オプションは、setup_install_server が Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) から /export/boot ディレクトリにブート情報をコピーするよう指定します。

JumpStart ディレクトリの作成

これでインストールサーバーとブートサーバーを設定しました。次に、JumpStart ディレクトリを server-1 に設定します (ネットワーク上の任意のシステムを使用できます)。このディレクトリには、Solaris ソフトウェアのカスタム JumpStart インストールに必要なファイルが入っています。このディレクトリを設定するには、/export/install にある Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD イメージの 1 つからサンプルディレクトリをコピーします。


server-1# mkdir /jumpstart
server-1# cp -r /export/install/sparc_8/Solaris_8/Misc/jumpstart_sample  /jumpstart

JumpStart ディレクトリの共有

ネットワーク上のシステムが rules ファイルやプロファイルをアクセスできるようにするために、/jumpstart ディレクトリを共有します。このためには、/etc/dfs/dfstab ファイルに次の行を追加します。

share -F nfs -o ro,anon=0 /jumpstart

次に、コマンド行で shareall コマンドを使用します。


server-1# shareall

SPARC: エンジニアリンググループのプロファイルの作成

エンジニアリングシステムの場合、eng_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。eng_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、エンジニアリンググループのシステムにインストールされる Solaris 8 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install  [アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定します。] 
	system_type   standalone  [エンジニアリングシステムが、スタンドアロンシステムであることを指定します。] 
	partitioning  default  [JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、エンジニアリングシステムに Solaris をインストールするよう指定します。] 
	cluster       SUNWCprog  [開発者システムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定します。] 
	filesys       any 50 swap  [エンジニアリンググループの各システムが、50M バイトのスワップ領域を持つよう指定します。] 

IA: マーケティンググループのプロファイルの作成

マーケティングシステムの場合、marketing_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。marketing_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、マーケティンググループのシステムにインストールされる Solaris 8 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install  [アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定します。] 
	system_type   standalone  [マーケティングシステムが、スタンドアロンであることを指定します。] 
	partitioning  default  [JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、マーケティングシステムに Solaris をインストールするよう指定します。] 
	cluster       SUNWCuser  [エンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定します。] 
	package       SUNWaudio  [オーディオツールのデモソフトウェアパッケージを各システムに追加するよう指定します。] 

rules ファイルの更新

次に、rules ファイルにルールを追加する必要があります。Solaris インストールプログラムは、カスタム JumpStart インストール中、これらのルールを使用して、各システムに正しいインストール (プロファイル) を選択します。

このサイトでは、各部署は独自のサブネットとネットワークアドレスを持っています。エンジニアリング部はサブネット 255.222.43.0、マーケティング部はサブネット 255.222.44.0 にあります。この情報を使用すれば、エンジニアリングシステムとマーケティングシステムのインストール方法を制御できます。/jumpstart ディレクトリ中の rules ファイルを編集して、サンプルのルールをすべて削除し、次のように入力します。


network 255.222.43.0 - eng_prof -
network 255.222.44.0 - marketing_prof -

これらのルールは、基本的に、255.222.43.0 ネットワーク上のシステムが eng_prof プロファイルを使用してインストールされることと、255.222.44.0 ネットワーク上のシステムが marketing_prof プロファイルを使用してインストールされることを示しています。


注 -

サンプルのルールでは、どのシステムが eng_prof または marketing_prof を使用してインストールされるかをネットワークアドレスを使用して識別できます。この他にも、ホスト名、メモリーサイズ、またはモデルタイプをルールのキーワードとして使用できます。rules ファイルで使用できるキーワードのリストについては、表 18-3 を参照してください。


rules ファイルのチェック

rules ファイルとプロファイルを適切に設定した後は、check スクリプトを実行して、これらのファイルを確認します。


server-1# cd /jumpstart
server-1# ./check

エラーが見つからなければ、check スクリプトは rules.ok ファイルを作成します。

SPARC: ネットワーク上でインストールするためのエンジニアリングシステムの設定

/jumpstart ディレクトリと必要なファイルを設定した後は、インストールサーバー (server-1、エンジニアリンググループのサブネットにとってはブートサーバー) で add_install_client コマンドを使用して、インストールサーバーから Solaris 8 をインストールできるようにエンジニアリングシステムを設定します。


server-1# cd /export/install/sparc_8/Solaris_8/Tools
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng1 sun4m
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng2 sun4m
.
.
.
.

add_install_client コマンドの指定項目

-c

サーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定する

host-eng1

エンジニアリンググループのシステム名 

host-eng2

エンジニアリンググループの別のシステム名 

sun4m

server-1 をインストールサーバーとして使用するシステムのアーキテクチャを指定する (この場合は、SPARCstation 5 システム用のプラットフォームグループ)

IA: ネットワーク上でインストールするためのマーケティングシステムの設定

次に、ブートサーバー (server-2) で add_install_client コマンドを使用して、ブートサーバーからブートして、インストールサーバー (server-1) から Solaris 8 をインストールするようにマーケティングシステムを設定します。


server-2# cd /marketing/boot-dir/Solaris_8/Tools
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/ia_8 ¥
-c server-1:/jumpstart host-mkt1 i86pc
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/ia_8 ¥
-c server-1:/jumpstart host-mkt2 i86pc
.
.
.

add_install_client コマンドの指定項目

-s

インストールサーバー (server-1) と Solaris ソフトウェアへのパス (/export/install/ia_8) を指定する

-c

サーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定する

host-mkt1

マーケティンググループのシステム名 

host-mkt2

マーケティンググループの別のシステム名 

i86pc

このブートサーバーを使用するシステムのプラットフォームグループを指定する (この場合は IA システムのプラットフォーム名)

SPARC: エンジニアリングシステムのブートと Solaris 8 ソフトウェアのインストール

サーバーとファイルの設定が完了した後は、各システムの ok (PROM) プロンプトで次の boot コマンドを使用して、エンジニアリングシステムをブートできます。


ok boot net

システムは自動的に Solaris オペレーティング環境をエンジニアリンググループのシステムにインストールします。

IA: マーケティングシステムのブートと Solaris 8 ソフトウェアのインストール

CD-ROM からシステムをブートできない場合、Solaris 8 Device Configuration Assistant フロッピーディスクを挿入し、各システムの電源を入れることによってマーケティングのシステムをブートできます。Solaris 8 はマーケティンググループのシステムに自動的にインストールされます。