Solaris DHCP の管理

クライアント指定のホスト名に関連する問題

ここでは、独自のホスト名を指定し、それを DNS に登録する必要がある DHCP クライアントの問題について説明します。

クライアントがホスト名を要求しない

クライアントが Solaris DHCP クライアントでない場合は、そのクライアントのマニュアルを参照して、ホスト名を要求するために必要なクライアントの構成方法を調べてください。Solaris DHCP クライアントの場合は、特定のホスト名に応答するように Solaris クライアントを有効にする方法 を参照してください。

要求されたホスト名を DHCP クライアントが受け取らない

表 5–5 DHCP クライアントのホスト名要求に伴う問題と解決策

起こりうる問題 

情報の収集 

解決法 

クライアントは DHCP サーバーからオファーを受け取るが、サーバーが DNS 更新を行わない 

  1. snoop またはネットワークパケットを獲得するその他のアプリケーションをクライアントで実行する。DHCP サーバー識別子を探し、サーバーの IP アドレスを得る。

  2. DHCP サーバーにログインし、動的更新を行うように構成されているかを確認する。/etc/inet/dhcpsvc.conf ファイルで UPDATE_TIMEOUT のエントリを探す。

  3. DNS サーバーの /etc/named.conf ファイルで、適切なドメインの zone セクションの allow-update キーワードに DHCP サーバーの IP アドレスが指定されているかを確認する

DHCP サーバーと DNS サーバーの構成方法については、DHCP サーバーによる動的 DNS 更新の有効化を参照する

クライアントから 2 つの DHCP サーバーにアクセスできる場合は、両方のサーバーが DNS 更新を行うように構成されている必要がある 

クライアントが FQDN オプション (オプションコード 89) を使ってホスト名を指定している。FQDN オプションは DHCP プロトコルに正式には含まれていないため、現在、DHCP ではサポートされていない 

snoop またはネットワークパケットを獲得するその他のアプリケーションをサーバーで実行し、クライアントからのパケットに FQDN オプションがないかを確認する

Hostname オプション (オプションコード 12) を使ってホスト名を指定するようにクライアントの構成を変更する。 詳細は、クライアントのマニュアルを参照してください。

クライアントにアドレスを提供する DHCP サーバーがクライアントの DNS 名を知らない 

DHCP サーバーで、DNSdmain オプションに有効な値が設定されているかを確認する

このクライアントに対して処理されるマクロの DNSdmain オプションに正しい DNS ドメイン名を設定する。DNSdmain は通常、ネットワークマクロ

クライアントが要求したホスト名が DHCP サーバーが管理していない IP アドレスに対応している。Solaris DHCP は、自らが管理していない IP アドレスに対し DNS 更新を行わない 

syslog を調べて、There is no n.n.n.n dhcp-network table for DHCP client's network.DHCP network record for n.n.n.n is unavailable, ignoring request. のような DHCP サーバーのメッセージを見つける。

対応する IP アドレスがない名前か、DHCP サーバーが管理するアドレスに対応する名前を選択するようにクライアントを構成する 

クライアントが要求したホスト名に対応する IP アドレスは、現在使用中であるか、リースされているか、別のクライアントに提案中である 

syslog を調べて、ICMP ECHO reply to OFFER candidate:n.n.n.n のような DHCP サーバーのメッセージを探す。

異なる IP アドレスに対応する名前を選択するようにクライアントを構成する。あるいは、そのアドレスを使用するクライアントからアドレスを取り返す 

DHCP サーバーからの更新を受け付けるように DNS サーバーが構成されていない 

DNS サーバーの /etc/named.conf ファイルを調べ、DHCP サーバーのドメインに対する適切な zone セクションでallow-update キーワードを持つ DHCP サーバーの IP アドレスを探す

DNS サーバーの構成方法については、DHCP クライアント用に動的 DNS 更新を有効にする方法 を参照する

DHCP サーバーに複数のインタフェースがある場合は、DHCP サーバーのすべてのアドレスからの更新を受け付けるように DNS サーバーを構成する必要DNS サーバーのデバッグ機能を有効にして、更新が DNS サーバーに届いているか確認する。届いている場合は、更新が行われない原因をデバッグ出力で調べる 

DNS 更新が、割り当てられた時間内に行われていない可能性がある。設定された時間内に DNS 完了しないと、DHCP サーバーはホスト名をクライアントに返さない。ただし、DNS 更新を完了する試みは続けられる 

nslookup コマンドを使って、更新が正常に終わっているかを確認する。nslookup(1M) のマニュアルページを参照する

たとえば、DNS ドメインが hills.oneonta.org で、DNS サーバーの IP アドレスが 121.76.178.11、クライアントが登録したいホスト名が cathedral であるとする。次のコマンドを使用すれば、cathedral が DNS に登録されたかどうかを知ることができる。

nslookup cathedral.hills.oneonta.org 121.76.178.11

更新は正常に行われたが、割り当てられた時間を超えている場合は、タイムアウト値を増やす必要があるDNS 更新を有効にする手順の 手順 5 を参照する