SunVTS 4.5 テストリファレンスマニュアル

第 61 章 S24 フレームバッファーテスト (tcxtest)

tcxtest は、プロトコル、メモリー、高速化、カラーマップの一連のテストによって、SPARCstation 5 の場合は S24 フレームバッファー SBus カードを、SPARCstation 4 の場合はマザーボードの FSV (高速 SBus ビデオ) ASIC をそれぞれ検査します。


注 -

グラフィックスデバイスをテストするときは、あらかじめスクリーンセーバーを終了させておいてください。スクリーンセーバーを終了させるには、UNIX のプロンプトで xset s off と入力します。


フレームバッファーのテストに関する詳細は、「フレームバッファーのテスト」を参照してください。

tcxtest テストグループ

tcxtest は、以下の 4 つのテストグループに分かれます。

AFX プロトコルテスト (8/16/32/64 ビットモード)

フレームバッファーメモリーテスト (8/16/32/64 ビット 14 モード)

高速化テスト (ユーザーモードと Raw モードの両方)

カラーマップテストとカーソルテスト

tcxtest のサブテストの説明

表 61-1 tcxtest のサブテストの説明

サブテスト 

説明 

WRC 

複数回の書き込みと読み取りを行った後に結果を照合し、S24 チップに内蔵されている FIFO を検査します。このテストは、test_afx_alt_wrtest_memafxtest_afx_random の 3 種類のサブテストから構成されます。これらのテストが失敗した場合は、予測データと結果を示すエラーメッセージが表示されます。

Test_afx_alt_wr 

WR (ページ 1)、WR (ページ 2)、WR (ページ 1 + オフ)、WR (ページ 2 + オフ) などの二者択一のページへの書き込みを 16 回行った後に、データを読み戻して、予測データと比較します。また、フレームバッファー空間に 16 回書き込みを行った後に、フレームバッファー空間の別のページに 1 回書き込みを行います。その後でデータを読み戻して、予測データと照合します。 

Test_memafx 

SWIFT チップの CPU は、DRAM および AFX バスとの密結合インタフェースを持っています。このテストは、2 つのアクセス間の調停を検査します。 

 

このテストは、AFX と CPU メモリーに何度も交互書き込みを行います。さまざまな位置に書き込んだ後、データを読み取って照合します。ページ境界にまたがってアクセスすることによって、キャッシュされたアクセスとキャッシュされないアクセスの両方をテストすることができます。 

Test_afx_random 

1 ページを DRAM メモリーに書き込んだ後に、AFX 空間のランダムな位置にランダムな書き込みと読み取りを数回行います。次に、DRAM 空間の別のページに書き込みを行い、ランダムなアクセスを行います。 

 

このテストは、ランダムなアクセスによってタイムアウトが発生したかどうかを検査するだけで、データ照合は行いません。 

Constant 

メモリー全体にデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して予測データと比較します。メモリーへの書き込み操作を完了すると、メモリーを読み直し、読み取った値が正しいことを確認します。 

Address 

メモリー全体にアドレスの値と同じデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して正しい値であることを確認します。 

Random 

メモリー全体にランダムなデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して予測データと比較します。メモリーへの書き込み操作を完了すると、メモリーを読み直し、読み取った値が正しいことを確認します。 

Blit 

ユーザー blit テストは、画面の左上隅に 64 × 64 × 24 ピクセルのイメージを描画します。その後、イメージを画面に blit します。宛先イメージを読み戻して元のイメージと比較し、ユーザー blit 操作が正しく行われたどうかを確認します。ユーザー blit テストは、blit コマンドにユーザーデータ空間を使用すること以外は、raw blit テストと同じです。

Stip 

多くの点描操作を行います。点描操作を使用して様々なデータ値を宛先に書き込んだ後に、宛先データを読み戻して照合します。高速 SBus ビデオ (FSV) の場合には、以下が検査されます。 

  • ピクセルマスク全体を通した 1 の移動

  • ROP ビット全体を通した 1 の移動

  • 宛先バイト全体を通した 1 の移動

  • IDX バイト全体を通した 1 の移動

Cursor (SPARCstation 4 には適用されません) 

データレジスタ回帰を行います。カーソルレジスタに、移動するデータ 1 パターンを書き込みます。その後、データを読み戻して期待される結果と照合します。テストは、移動するデータ 0 パターンを使用して繰り返されます。 

Colormap 

カラーマップのすべての場所に、異なる RGB 値を書き込みます。 

 

注 - テストするシステムのモニターが白黒またはグレースケールの場合は、色の問題を視覚的に検出することはできません。 

tcxtest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.5 ユーザーマニュアル』を参照してください。

tcxtest のテストオプションは、FB Locking だけです。詳細は、「フレームバッファーのテスト」を参照してください。

  1. Enable または Disable をクリックして、フレームバッファーロックを有効または無効にします。

    図 61-1 tcxtest のテストパラメタオプションダイアログボックス

    Graphic

tcxtest のテストモード

表 61-2 tcxtest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

× 

サポートされていません。 

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

テストしているハードウェアプラットフォームに対して適切なサブテストを実行します。 

tcxtest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/tcxtest 標準引数 -o dev=デバイス名, lock=E(nable)|D(isable), X=ビットモード,T=テスト,S=[dfb8, dfb24, dfb32]

表 61-3 tcxtest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするデバイスのファイル名を指定します。 例: dev=tcx0

lock=E(nable)|D(isable)

ウィンドウシステムのロックオプションを有効または無効にします。詳細は、「フレームバッファーのテスト」を参照してください。デバイスがウィンドウシステムのディスプレイの場合は、使用しないでください。

X=ビットモード

データ転送サイズを指定します。有効な値は以下のとおりです。 

  • 8 バイト

  • 16 ショート

  • 32 ロング

  • 64 ダブルワード

T=テスト

特定のテストを指定します。以下の値を使用して、テストを個別に指定します。 

  • a = Address

  • c = Constant

  • r = Random

  • b = Blit

  • s = Stipple

  • h = Cursor

  • w = WRC

 

注 - Blit テストまたは Stipple テストを選択すると、ユーザーモードと raw モード両方のテストが実行されます。

S=[dfb8, dfb24, dfb32]

使用するフレームバッファーメモリーを指定します。 

  • dfb8 ダムフレームバッファーの 8 ビット空間。メモリーは複数バイトだけでアクセスされます。

  • dfb24 ダムフレームバッファーの 24 ビット空間。メモリーは 24 ビットの読み取りと書き込みだけでアクセスされます。

  • fb32 ダムフレームバッファーの 8 ビット空間。メモリーは 8 ビットの読み取りと書き込みでアクセスされます。


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。