次の節では、Solaris 環境における USB について知っておく必要のある情報を説明します。
Solaris 環境では複数の USB キーボードとマウスをサポートしていないため、USB キーボードとマウスは常に 1 つだけシステムに接続するようにしてください。詳細は、次の説明を参照してください。
バス上に接続されたキーボードおよびマウスは、コンソールキーボードおよびマウスとして構成されます。キーボードとマウスがルートハブにない場合、システムのブートが遅くなります。
コンソールキーボードおよびマウスは、システムのリブート後であればいつでも別のハブへ移動することができます。ただし、リブート中や ok プロンプトが出ている間は移動できません。キーボードおよびマウスは、プラグインした後は再び完全に機能します。
SPARC のみ – USB キーボードの電源キーと Sun タイプ 5 キーボードの電源キーの動作は異なります。USB キーボードでは、「SUSPEND/SHUTDOWN」キーを使用してシステムを中断またはシャットダウンすることができますが、システムの電源を入れることはできません。
Sun 社製以外の USB キーボードでは、キーパッドの左側にある機能は使用できません。
複数のキーボードはサポートされません。
キーボードは認識され、使用できますが、コンソールキーボードとしては認識されません。
ブート時に最初に認識されたキーボードがコンソールキーボードとなります。このため、複数のキーボードが接続されていると、ブート時に混乱の原因となります。
コンソールキーボードを取り外した場合、次に利用可能な USB キーボードはコンソールキーボードにはなりません。次にホットプラグされるキーボードがコンソールキーボードになります。
複数のマウスはサポートされません。
マウスは認識され、使用できますが、コンソールマウスとしては認識されません。
ブート時に最初に認識されたマウスがコンソールマウスとなります。このため、複数のマウスが差し込まれていると、ブート時に混乱の原因となります。
コンソールマウスを取り外した場合、次に利用可能な USB マウスはコンソールマウスにはなりません。次にホットプラグされるマウスがコンソールマウスになります。
Sun 社製以外のキーボードを PS/2 マウスと合成して使用する場合、このキーボードがブート時に最初に認識されると、PS/2 マウスが差し込まれていなくても、このキーボードとマウスがコンソールキーボードとマウスになります。このため、別の USB マウスがシステムに差し込まれていても、コンソールマウスとして構成されないので機能しません。
2 ボタンと 3 ボタンのマウスだけがサポートされます。ホイール付きマウスは動作しません。3 ボタンよりも多いマウスは 3 ボタンのマウスのように動作します。
USB ハブは次のことを行います。
ポートにおけるデバイスの取り付けと取り外しの監視
ポートにおける個々のデバイスの電源管理
ポートへの電源の制御
USB ホストコントローラにはルートハブという組み込みハブがあります。背面パネルに見えるポートはルートハブのポートです。USB ホストコントローラは次のことを行います。
USB バスの管理。個々のデバイスはバスの調整はできません。
デバイスによって決定されるポーリング間隔による、デバイスのポーリング。ポーリング間隔 (時間) を考慮してデバイスに十分なバッファがあることを前提とします。
USB ホストコントローラとそれに接続されているデバイス間でのデータの送信。ピアツーピア通信はサポートされません。
SPARC システムと IA システムのどちらにおいても、ハブを 4 段を超えて多段接続しないでください。SPARC システムでは、Open Boot PROM (OBP) は 4 段を超えるデバイスを正確に認識できません。
バス電源供給方式のハブは多段接続しないでください。つまり、バス電源供給方式のハブを別のバス電源供給方式のハブに接続することはできません。バス電源供給方式のハブは独自の電源を持っていません。USB フロッピーディスクデバイスはすべての電源をバスから取り入れるため、バス電源供給方式のハブ上では機能しない可能性があります。
Solaris 8 10/00 リリースから、USB の Zip、Jaz、Clik!、SmartMedia、CompactFlash、および ORB などのリムーバブル大容量ストレージデバイスがサポートされるようになりました。Solaris 環境でサポートされるデバイスの完全なリストについては、scsa2usb(7D) のマニュアルページを参照してください。
これらのデバイスは、ボリューム管理を使用してもしなくても管理することができます。ボリューム管理を実行している状態でのデバイス管理についての情報は、 vold(1M) のマニュアルページを参照してください。
システムが電源管理を有効にしている場合、USB のフレームワークはすべてのデバイスの電源管理を最大限に試みます。USB デバイスの電源管理により、ハブドライバはデバイスが接続されているポートの中断も行います。リモートウェイクアップ (呼び起こし) をサポートするかしないかは、デバイスによって異なります。デバイスがリモートウェイクアップをサポートしている場合は、イベントの発生時 (たとえばマウスが移動したときなど) に、接続されているハブを呼び起こします。アプリケーションが入出力を送信した場合も、ホストシステムはデバイスを呼び起こすことができます。
リモートウェイクアップ機能がサポートされている場合、すべての HID (キーボードやマウスなど)、ハブ、およびストレージデバイスは、デフォルトで電源管理されます。USB プリンタが電源管理されるのは、2 つの印刷ジョブ間だけです。
電源消費を削減するために電源管理を行う場合、まず、USB 末端デバイスの電源が切断され、しばらくしてから親ハブの電源が切断されます。また、ポートに接続されているすべてのデバイスの電源が切断されると、しばらくしてからハブの電源が切断されます。最も効率的に電源管理をするためには、あまり多くのハブを多段接続しないでください。
USB デバイスは、プラグインするとすぐにシステムのデバイス階層に表示されます (prtconf(1M) コマンドで確認できます)。また、デバイスが使用中でない限り、USB デバイスを取り外すとシステムのデバイス階層から消えます。
使用中の USB デバイスを取り外した場合、ホットプラグの動作は若干異なります。使用中の USB デバイスを取り外した場合、デバイスノードは残り、このデバイスを制御しているドライバはデバイス上のすべての動作を停止します。それ以降、このデバイスに発行される新しい入出力動作はエラーで戻されます。
このような場合、システムは元のデバイスを接続するようにプロンプトを表示します。使用中の USB デバイスを誤って取り外してしまった場合は、次のようにして回復します。
元のデバイスを同じポートに接続します。
そのデバイスを使用しているアプリケーションを停止します。
デバイスを取り外します。
元のデバイスが再びプラグインされるまで、USB ポートは使用できません。デバイスが使用できない場合は、USB ポートは次にリブートするまで使用できません。
動作中の、つまり開いているデバイスを削除すると、データの整合性が損なわれる可能性があります。デバイスを取り外す前には、必ずデバイスを閉じるようにしてください。ただし、コンソールキーボードとマウスは例外で、動作中でも移動することができます。
市販されている USB ケーブル延長機器は絶対に使用しないでください。デバイスを接続するときは、必ずハブと充分な長さのあるケーブルを使用してください。USB デバイスを接続するときは、必ずフルレイト (12M ビット/秒) の 20/28 AWG ケーブルを使用してください。