この章では、Solaris Live Upgrade のインストールと使用を開始する前に考慮すべきガイドラインと要件を説明します。『Solaris 8 のインストール (上級編)』の「アップグレード用のチェックリスト」に挙げられている一般的なアップグレード情報も併せて参照してください。この章では、次の内容について説明します。
SPARC ベースのシステムの場合、Solaris 2.6、Solaris 7、または Solaris 8 オペレーティング環境を、Solaris 8 Update オペレーティング環境にアップグレードできます。
IA ベースのシステムの場合、Solaris 7 または Solaris 8 オペレーティング環境を、Solaris 8 Update オペレーティング環境にアップグレードできます。
Solaris 7 オペレーティング環境にはアップグレードできません。
Solaris Live Upgrade ソフトウェアを含む同じリリースにアップグレードする必要があります。たとえば、現在のオペレーティング環境で Solaris 8 10/01 リリースから Solaris Live Upgrade をインストールした場合、オペレーティング環境も Solaris 8 10/01 リリースにアップグレードする必要があります。
Solaris Live Upgrade は Solaris 8 ソフトウェアに含まれますが、以前のリリースからアップグレードしたい場合は、現在のオペレーティング環境に Solaris Live Upgrade のパッケージをインストールする必要があります。Solaris Live Upgrade のパッケージは、Solaris 8 Software 2 of 2 CD のインストーラからインストールできます。
パッケージのインストール方法については、Solaris Live Upgrade をインストールするを参照してください。
通常、システムソフトウェアの構成に応じて、ブート環境ごとに 350M バイト (最小) から 800M バイトのディスク容量を必要とします。リソース要件は、Solaris Live Upgrade ユーザーインタフェースで使用されるユーティリティによって決まります。
ブート環境の作成に必要なファイルシステムのサイズを見積もるには、新しいブート環境の作成を開始してください。サイズが計算されたところで、処理を中断できます。
ブート環境は、ブートデバイスとして機能できるディスク上にだけ作成できます。 システムの中には、ブートデバイスとして機能するディスクを限定するものがあります。ブート制限が適用されるかどうかを確認するには、各システムのマニュアルを参照してください。
次の表は、Solaris Live Upgrade を使用する上で必要なパッケージを示しています。この表で、現在のオペレーティング環境に必要なパッケージを確認してください。使用しているリリースのパッケージがない場合は、pkgadd コマンドを使用してそれらを追加してください。
表 2–1 必要なパッケージ
Solaris 2.6 リリース |
Solaris 7 リリース |
Solaris 8 リリース |
---|---|---|
SUNWadmap |
SUNWadmap |
SUNWadmap |
SUNWadmfw |
SUNWadmap |
SUNWadmap |
SUNWadmc |
SUNWadmc |
SUNWadmc |
SUNWmfrun |
SUNWadmc |
SUNWadmc |
SUNWmfrun |
SUNWlibC |
SUNWlibC |
SUNWloc |
|
SUNWbzip |
Solaris Live Upgrade ソフトウェアは、複数の Solaris オペレーティング環境バージョンでインストールと実行ができるように設計されています。Solaris Live Upgrade の処理が正しく行われるようにするためには、各 OS バージョン用に提供されている最新の推奨パッチとセキュリティパッチを適用する必要があります。パッチクラスタの正確なリビジョンレベルは、http://sunsolve.sun.com で確認してください。
次に示すように、ファイルシステムにはいくつかの制限事項があります。
ブート環境用のファイルシステムを作成する場合の規則は、Solaris オペレーティング環境用のファイルシステムを作成する場合と同じです。Solaris Live Upgrade では、クリティカルファイルシステムに無効な構成を作成できてしまいます。たとえば、lucreate コマンドを入力して、ルート (/) と /kernel を別々のファイルシステム上に作成することができます。これは、ルート (/) にとって無効な分割です。
非アクティブブート環境を作成する場合は、ルート (/) ファイルシステムがコピーされるスライスを確認する必要があります。ルート (/) ファイルシステムのスライスを選択する場合は、次のガイドラインに従ってください。スライスは、次の条件を満たしていなければなりません。
システムをブートできるスライスである
推奨されている最小サイズ以上である
Veritas VxVM ボリュームや Solstice DiskSuiteTM メタデバイスではない
アクティブなルート ファイルシステムとは異なる物理ディスクでも同じディスクでもかまわない
(sun4u UltraSPARCTM システムではなく) sun4c システムと sun4m システムを使用している場合は、ルート (/) ファイルシステム を 2G バイトを超えるサイズにはできない
「Choices」メニューは、非アクティブブート環境の作成に使用できるほとんどの空きスライスを表示します。スライスの中には、Veritas VxVM ボリュームや Solstice DiskSuite メタデバイスのように、未使用であるが「Choices」メニューに表示されないというものがあります。
スワップスライスは、現在のブート環境 (-s オプションが使用される場合はソースブート環境) 以外のブート環境で使用中であってはなりません。スライスにスワップや ufs などのファイルシステムが含まれるかどうかにかかわらず、スワップスライスがほかのブート環境で使用されている場合、ブート環境の作成は失敗します。
キャラクタインタフェースを (tip 回線などを介して) リモートで表示する場合は、必要に応じて TERM 環境変数を VT220 に設定してください。 また、共通デスクトップ環境 (CDE) を使用する場合は、 TERM 変数の値を xterm ではなく dtterm に設定してください。
Solstice DiskSuite メタデバイスまたは Veritas ボリュームを備えたシステム上で Solaris Live Upgrade を使用する場合は、ソースブート環境はメタデバイスでもボリュームでも構いません。ただし、ターゲットブート環境はメタデバイスまたはボリュームにはできません。非アクティブブート環境は、通常のスライスである必要があります。
Veritas VxVM のアップグレードで問題が生じる場合は、Veritas VxVm 上でアップグレードする場合にシステムパニックが発生するを参照してください。