Solaris 8 のインストール (上級編)

第 3 章 Solaris インストール方法の選択

この章では、Solaris をインストールする方法について説明します。Solaris オペレーティング環境では、インストールやアップグレードをいくつかの方法で行うことができます。それぞれのインストール方法には、特定のインストール要件やインストール環境を意図したさまざまな機能があります。したがって、インストール環境に最も適した方法を選択してください。

Solaris Web Start

Solaris 8 DVD または Solaris 8 INSTALLATION CD に含まれる Solaris Web Start インストールプログラムは、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) でも、コマンド行インタフェース (CLI) でも起動できます。Solaris Web Start では、Solaris ソフトウェアや追加ソフトウェアのインストールやアップグレードに必要な手順がステップごとに示されます。システム管理者は、デフォルトオプションを使ってインストールすることも、カスタマイズオプションを使って必要なソフトウェアだけをインストールすることもできます。

Solaris Web Start では、Solaris オペレーティング環境や UNIX の初心者であっても、インストールの際に先に進んだり前に戻って必要な変更を簡単に行うことができます。インストール作業は複数の画面で構成され、各画面ではシステム構成情報を入力するように指示されます。

Solaris Web Start プログラムでは構成情報を入力する必要があるため、ユーザーはインストールプログラムと対話方式で処理を進める必要があります。したがって、システムによってはインストールやアップグレードを行う際には、このインストール方法が最適であるとは限りません。状況に応じて、カスタム JumpStart またはフラッシュインストール機能を使用してください。

詳細は、第 14 章「Solaris Web Start の使用」を参照してください。

Solaris 8 対話式インストールプログラム

Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれる Solaris 8 対話式インストールプログラムは、GUI でも CLI でも起動できます。Solaris 8 対話式インストールプログラムでは、Solaris 8 ソフトウェアのインストールやアップグレードに必要な手順がステップごとに示されます。このインストール方法は、64M バイト以上のメモリーがあり、国際ロケールを使用している場合に便利です。

Solaris 8 対話式インストールプログラムは、Solaris オペレーティング環境ソフトウェアをインストールするだけです。このプログラムは、サードパーティアップグレードやネットワーク上でダウンロードできるソフトウェアなどを認識できません。したがって、Solaris オペレーティング環境をインストールした後にサードパーティアプリケーションをインストールする必要があります。また、インストール時にはシステム構成情報を入力するように求められます。このため、複数のシステムにインストールする場合は、Solaris 8 対話式インストールプログラムによるインストールは最適とは言えません。サードパーティアプリケーションのインストールには Solaris Web Start プログラムを使用できます。多数のシステムを対象としたバッチインストールには、カスタム JumpStart かフラッシュインストール機能を使用してください。

詳細は、第 15 章「Solaris 8 対話式インストールプログラムの使用」を参照してください。

カスタム JumpStart

カスタム JumpStart では、あらかじめ作成したプロファイルを使って、複数のシステムのインストールやアップグレードを自動的にかつ同時に行うことができます。プロファイルには、どのようにソフトウェアをインストールするかを定義します。さらに、インストール前とインストール後に実行する作業を、シェルスクリプトを使用して指定することができます。カスタム JumpStart は、指定されたプロファイルとスクリプトに従ってシステムのインストールやアップグレードを行います。

Solaris オペレーティング環境とシェルに関する知識を持っていて、複数のシステムをインストールする必要がある場合には、カスタム JumpStart が最適であるかもしれません。

インストールするシステムが 2、3 台だけの場合には、このインストール方法が最適であるとは限りません。カスタム JumpStart インストールの準備に時間がかかるため、このインストール方法が時間の節約にならない可能性があるからです。

詳細は、第 23 章「カスタム JumpStart インストールの準備」を参照してください。

フラッシュインストール機能

フラッシュインストール機能では、マスターシステムにインストールする構成を使用して、多数のシステムにインストールすることができます。それには、マスターシステムのインストールと構成を行なったあとに、マスターシステムからフラッシュアーカイブを作成する必要があります。フラッシュアーカイブは、必要に応じていくつでも作成できます。それぞれのシステムにインストールする際に、使用するフラッシュアーカイブを選択します。このインストール方法では、同じソフトウェアと構成を持つ多数のシステムを効率的にインストールできます。

フラッシュアーカイブを使用しない Solaris インストール方法では、各 Solaris パッケージが個別にインストールされます。パッケージベースのインストールではパッケージごとにパッケージマップの更新が必要になるため、時間がかかります。フラッシュアーカイブによるインストールは、個々の Solaris パッケージをインストールする場合よりもずっと早く終わります。

フラッシュアーカイブを使用するインストールは、どの Solaris インストール方法でも指定できます。Solaris Web Start と Solaris 8 対話式インストールプログラムでは、インストールするフラッシュアーカイブを選択するように指示されます。カスタム JumpStart では、インストールするフラッシュアーカイブをプロファイルに指定します。

複数のシステムに多くの異なる構成でインストールしたい場合には、システムごとにフラッシュアーカイブが必要になります。フラッシュアーカイブはファイルサイズが大きいため、大量のディスク容量が必要です。さらに、フラッシュアーカイブをいったん作成したら、アーカイブを変更することはできません。多数の異なるインストール構成が必要であったり、インストール構成を変更する柔軟性を残しておきたい場合には、カスタム JumpStart インストールを使用することを検討してください。

詳細は、第 17 章「フラッシュの概要と計画」を参照してください。

SPARC: ファクトリ JumpStart

ファクトリ JumpStart インストールでは、Solaris 8 DVD または Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD を CD-ROM ドライブに挿入して、システムの電源を入れるだけで、新しい SPARC システムに Solaris ソフトウェアを自動的にインストールできます。その際、システムの機種とディスクサイズにもとづいてデフォルトのプロファイルが選択されます。システムにどのソフトウェアコンポーネントをインストールするかは、このプロファイルで決まります。システム構成情報を入力するように求められることはなく、インストールするソフトウェアを選択することはできません。

SPARC ベースの新しいシステムには、このインストール方法を使用する場合に欠かせない JumpStart ブートイメージがあらかじめインストールされています。これより古い SPARC ベースシステムの場合は、re-preinstall(1M) コマンドを使用すれば、JumpStart ブートイメージをシステムにインストールできます。IA ベースのシステムでは、ファクトリ JumpStart インストールを使用することはできません。