Solaris 8 のインストール (上級編)

第 27 章 カスタム JumpStart による Solaris ソフトウェアのインストール例

この章では、カスタム JumpStart を使用して SPARC システムとIA システムに Solaris ソフトウェアをインストールするための設定と実際のインストールを行う例を示します。

サイトの設定例

この例で使用するサイトの設定を図 27–1 に示します。

図 27–1 サイトの設定例

Graphic

この例におけるサイトの状況は次のとおりです。


注 –

マーケティングシステムの周辺装置は、sysidcfg ファイルに事前設定されています。


インストールサーバーの作成

これらのグループは Solaris ソフトウェアをネットワーク上でインストールする必要があるため、server-1 を両方のグループのインストールサーバーにします。server-1 ローカルディスク (/export/install ディレクトリ内) にイメージをコピーするには、setup_install_server(1M) コマンドを使用します。これらのイメージは、Solaris 8 SOFTWARE CD と Solaris 8 LANGUAGES CD からコピーするか、あるいは Solaris 8 DVD からコピーしてください。

コピー先は、空のディレクトリ (これらの例では sparc_8ia_8) でなければなりません。


例 27–1 Solaris 8 CD のコピー

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1#  mkdir -p /export/install/sparc_8
server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/sparc_8

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD (SPARC) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/sparc_8

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 LANGUAGES CD (SPARC) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/sparc_8

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1#  mkdir -p /export/install/ia_8
server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/ia_8

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD (Intel) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/ia_8

server-1 に接続されている CD-ROM ドライブに Solaris 8 LANGUAGES CD (Intel) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/ia_8


例 27–2 Solaris 8 DVD のコピー

server-1 に接続されている DVD-ROM ドライブに Solaris 8 DVD (SPARC) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# mkdir -p /export/install/sparc_8
server-1# cd /DVD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/sparc_8

server-1 に接続されている DVD-ROM ドライブに Solaris 8 DVD (Intel) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1#  mkdir -p /export/install/ia_8
server-1# cd /DVD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/ia_8

マーケティングシステム用のブートサーバーの作成

システムは、異なるサブネット上のインストールサーバーからはブートできません。したがって、server-2 をマーケティンググループのサブネット上のブートサーバーにします。Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) または Solaris 8 DVD (Intel) から server-2 ローカルディスク (/export/boot ディレクトリ内) にブートソフトウェアをコピーするには、setup_install_server(1M) コマンドを使用します。

server-2 の CD-ROM ドライブに Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) を挿入する場合は、次のコマンドを入力してください。


server-2# cd /CD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-2# ./setup_install_server -b /export/boot

server-2 の DVD-ROM ドライブに Solaris 8 DVD (Intel) を挿入する場合は、次のコマンドを入力してください。


server-2# cd /DVD_mount_point/Solaris_8/Tools
server-2# ./setup_install_server -b /export/boot

setup_install_server コマンドの -b は、setup_install_server/export/boot というディレクトリにブート情報をコピーすることを指定します。

JumpStart ディレクトリの作成

インストールサーバーとブートサーバーの設定が終了したところで、次は server-1 に JumpStart ディレクトリを作成します (ネットワーク上の任意のシステムを利用できます)。このディレクトリには、Solaris ソフトウェアのカスタム JumpStart インストールに必要なファイルが入っています。このディレクトリを設定するには、/export/install にコピーされている Solaris 8 DVD イメージまたは Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD イメージからサンプルディレクトリをコピーします。


server-1# mkdir /jumpstart
server-1# cp -r /export/install/sparc_8/Solaris_8/Misc/jumpstart_sample  /jumpstart

JumpStart ディレクトリの共有

ネットワーク上のシステムが rules ファイルやプロファイルをアクセスできるようにするために、/jumpstart ディレクトリを共有します。このためには、/etc/dfs/dfstab ファイルに次の行を追加します。

share -F nfs -o ro,anon=0 /jumpstart

次に、コマンド行で shareall コマンドを使用します。


server-1# shareall

SPARC: エンジニアリンググループのプロファイルの作成

エンジニアリングシステムの場合、eng_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。eng_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、エンジニアリンググループのシステムにインストールされる Solaris 8 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install1
system_type   standalone2
partitioning  default3
cluster       SUNWCprog4
filesys       any 512 swap5
  1. アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定します。

  2. エンジニアリングシステムが、スタンドアロンシステムであることを指定します。

  3. JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、エンジニアリングシステムに Solaris をインストールするよう指定します。

  4. 開発者システムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定します。

  5. エンジニアリンググループの各システムが、512M バイトのスワップ領域を持つよう指定します。

x86: マーケティンググループのプロファイルの作成

マーケティングシステムの場合、marketing_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。marketing_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、マーケティンググループのシステムにインストールされる Solaris 8 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install1
system_type   standalone2
partitioning  default3
cluster       SUNWCuser4
package       SUNWaudio5
  1. アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定します。

  2. マーケティングシステムが、スタンドアロンであることを指定します。

  3. JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、マーケティングシステムに Solaris をインストールするよう指定します。

  4. エンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定します。

  5. オーディオツールのデモソフトウェアパッケージを各システムに追加するよう指定します。

rules ファイルの更新

次に、rules ファイルにルールを追加する必要があります。Solaris インストールプログラムは、カスタム JumpStart インストール中、これらのルールを使用して、各システムに正しいインストール (プロファイル) を選択します。

このサイトでは、各部署は独自のサブネットとネットワークアドレスを持っています。エンジニアリング部はサブネット 255.222.43.0 にあり、マーケティング部はサブネット 255.222.44.0 にあります。この情報を使用すれば、エンジニアリングシステムとマーケティングシステムのインストール方法を制御できます。/jumpstart ディレクトリ内の rules ファイルを編集して、サンプルのルールをすべて削除し、次の行をファイルに追加します。


network 255.222.43.0 - eng_prof -
network 255.222.44.0 - marketing_prof -

これらのルールは、基本的に、255.222.43.0 ネットワーク上のシステムが eng_prof プロファイルを使用してインストールされることと、255.222.44.0 ネットワーク上のシステムが marketing_prof プロファイルを使用してインストールされることを示しています。


注 –

サンプルのルールでは、どのシステムが eng_prof または marketing_prof を使用してインストールされるかをネットワークアドレスを使用して識別できます。この他にも、ホスト名、メモリーサイズ、またはモデルタイプをルールのキーワードとして使用できます。rules ファイルで使用できるキーワードのリストについては、表 28–1 を参照してください。


rules ファイルの妥当性を検査する

rules ファイルとプロファイルを適切に設定した後は、check スクリプトを実行して、これらのファイルを確認します。


server-1# cd /jumpstart
server-1# ./check

check スクリプトによってエラーが検出されない場合は、rules.ok ファイルが作成されます。

SPARC: ネットワーク上でインストールするためのエンジニアリングシステムの設定

/jumpstart ディレクトリおよび必要なファイルを設定した後は、インストールサーバー (server-1) で add_install_client コマンドを使用して、インストールサーバーから Solaris 8 ソフトウェアをインストールできるようにエンジニアリングシステムを設定します。server-1 は、エンジニアリンググループのサブネットにとってはブートサーバーにも相当します。


server-1# cd /export/install/sparc_8/Solaris_8/Tools
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng1 sun4m
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng2 sun4m
.
.
.
.

add_install_client コマンドで使用されるオプションの意味は次のとおりです。

-c

サーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定する

host-eng1

エンジニアリンググループのシステム名 

host-eng2

エンジニアリンググループの別のシステム名 

sun4m

server-1 をインストールサーバーとして使用するシステムのアーキテクチャを指定する(プラットフォームグループは SPARCstation 5 システム用)

x86: ネットワーク上でインストールするためのマーケティングシステムの設定

次に、ブートサーバー (server-2) で add_install_client コマンドを使用して、ブートサーバーからブートして、インストールサーバー (server-1) から Solaris 8 ソフトウェアをインストールするようにマーケティングシステムを設定します。


server-2# cd /marketing/boot-dir/Solaris_8/Tools
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/ia_8 \
-c server-1:/jumpstart host-mkt1 i86pc
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/ia_8 \
-c server-1:/jumpstart host-mkt2 i86pc
server-2# ./add_install_client -d -s server-1:/export/install/ia_8 \
-c server-1:/jumpstart SUNW.i86pc i86pc
.
.
.

add_install_client コマンドで使用されるオプションの意味は次のとおりです。

-d

ネットワークインストールパラメータの取得にクライアントが DHCP を使用することを指定する。このオプションは PXE ネットワークブートを使用してネットワークからブートするクライアントには必ず指定する必要がありますが、PXE ネットワークブートを使用しないクライアントには省略できる。 

-s

インストールサーバー (server-1) と Solaris ソフトウェアへのパス (/export/install/ia_8) を指定する

-c

サーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定する

host-mkt1

マーケティンググループのシステム名 

host-mkt2

マーケティンググループの別のシステム名 

SUNW.i86pc 

すべての Solaris IA クライアントの DHCP クラス名。1 回のコマンド実行ですべての Solaris IA DHCP クライアントを構成したい場合は、このクラス名を使用してください。 

i86pc

このブートサーバーを使用するシステムのプラットフォームグループを指定する。このプラットフォーム名は IA システムを意味する

SPARC: エンジニアリングシステムのブートと Solaris 8 ソフトウェアのインストール

サーバーとファイルの設定が完了した後は、各システムの ok (PROM) プロンプトで次の boot コマンドを使用して、エンジニアリングシステムをブートできます。


ok boot net - install

システムは自動的に Solaris オペレーティング環境をエンジニアリンググループのシステムにインストールします。

x86: マーケティングシステムのブートと Solaris 8 ソフトウェアのインストール

次に示す方法のどれか 1 つを使用してシステムをブートできます。

Solaris 8 はマーケティンググループのシステムに自動的にインストールされます。