Solaris 8 のインストール (上級編)

ルールキーワードと値の説明

表 28–1で、rules ファイルで使用できるルールキーワードとルール値について説明します。rules ファイルの作成方法の詳細は、rules ファイルの作成を参照してください。

表 28–1 ルールキーワードとルール値の説明

ルールキーワード 

値 

説明 

any

マイナス記号 (-)

あらゆるもの。常に一致する。 

arch

processor_type

processor_type に有効な値:

  • SPARC:sparc

  • IA:i386

システムのプロセッサタイプを照合する。 

システムのプロセッサタイプは、uname -p コマンドで調べることができる

disksize

actual_disk_name size_range

actual_disk_name - cxtydz 形式 (たとえば、c0t3d0c0d0) のディスク名または rootdiskrootdisk を使用する場合、照合するディスクは次の順番で決定される。

  • SPARC: インストール済みのブートイメージを持つディスク (出荷時に JumpStart がインストールされている新しい SPARC システム)

  • c0t3d0s0 ディスク (存在する場合)

  • 最初に利用可能なディスク (カーネルのプローブ順で検索される)

size_range - ディスクのサイズ。M バイト単位の範囲 (x-x) で指定する必要がある

システムのディスクの名前とサイズを照合する (M バイト単位)。 

例:

disksize c0t3d0 250-300

この例では、JumpStart プログラムは c0t3d0 というシステムディスクの照合を試みる。このディスクは、250 - 300M バイトの情報を保持できる。

例:

disksize rootdisk 750-1000

この例では、JumpStart プログラムはまず事前にインストールされたブートイメージが入ったシステムディスクを照合し、続いて c0t3d0s0 ディスク (存在する場合) を照合し、最後に 750M - 1G バイトの情報を保持できるディスクの中で利用可能な最初のディスクを照合する。


注 –

size_range を計算するときは、1M バイトが 1,048,576 バイトであることに注意してください。「535M バイト」ディスクと明記されているディスクでも、ディスク空間が 510M バイトしかない場合があります。535,000,000/1,048,576=510 により、JumpStart プログラムは「535M バイト」ディスクを実際には 510M バイトのディスクと見なします。したがって、この「535M バイト」ディスクは 530-550 の size_range には一致しません。


domainname

actual_domain_name

システムのドメイン名を照合する。ドメイン名でネームサービスが情報を判別する方法を制御する。 

システムがインストール済みの場合、domainname コマンドによりシステムのドメイン名を表示できる

hostaddress

actual_IP_address

システムの IP アドレスを照合する 

hostname

actual_host_name

システムのホスト名を照合する。 

システムがインストール済みの場合、uname -n コマンドによりシステムのホスト名を表示できる

installed

slice version

slice - cwtxdysz 形式 (たとえば、c0t3d0s5) のディスクスライス名、または anyrootdiskany を使用すると、システムに接続されたどのディスクも照合する (カーネルのプローブ順)。rootdisk を使用する場合、照合するディスクは次の順番で決定される。

  • SPARC: インストール済みのブートイメージを持つディスク (出荷時に JumpStart がインストールされている新しい SPARC システム)

  • c0t3d0s0 ディスク (存在する場合)

  • 最初に利用可能なディスク (カーネルのプローブ順で検索される)

version - バージョン名、あるいは any または upgradeany を使用すると、Solaris または SunOS リリースのどれとでも照合する。upgrade を使用すると、アップグレード可能な Solaris 2.1 以降の互換リリースのどれとでも照合する。

Solaris リリースが見つかるがバージョンが不明な場合は、SystemV がバージョンとして返される。

Solaris ソフトウェアの特定バージョンに対応するルートファイルシステムが存在するディスクを照合する。 

例:

installed c0t3d0s1 Solaris_8

この例では、c0t3d0s1 に Solaris 8 のルートファイルシステムを持つシステムを照合している

karch

actual_platform_group

有効な値は、sun4msun4ui86pc、prep。システムおよび対応するプラットフォームグループの一覧は、『Solaris 8 Sun ハードウェアマニュアル』に記載されています。

システムのプラットフォームグループを照合する。 

システムがインストール済みの場合は、arch -k コマンドまたは uname -m コマンドにより、システムのプラットフォームグループを表示できる

memsize

physical_mem

値は M バイト単位の範囲 (<x-x) または 1 つの M バイト値で指定する

システムの物理メモリーサイズを照合する (M バイト単位)。 

例:

memsize 16-32

この例では、16M〜32M バイトの物理メモリーサイズを持つシステムと照合している。 

システムがインストール済みの場合は、prtconf コマンド (2 行目) によりシステムの物理メモリーサイズを表示できる

model

actual_platform_name

システムのプラットフォーム名を照合する。有効なプラットフォーム名については、『Solaris 8 Sun ハードウェアマニュアル』を参照してください。

インストール済みのシステムのプラットフォーム名を見つけるには、uname -i コマンドか prtconf コマンド (5 行目) の出力を使用する。


注 –

actual_platform_name にスペースが含まれている場合は、スペースを下線 (_) で置き換える必要があります。

例:

SUNW,Sun_4_50


network

network_num

システムのネットワーク番号を照合する。これは JumpStart プログラムが、システムの IP アドレスとサブネットマスクの論理積をとって判別する。 

例:

network 193.144.2.8

この例では、IP アドレスが 193.144.2.8 のシステムを照合する (サブネットマスクが 255.255.255.0 の場合) 

osname

Solaris_2.x

システムにすでにインストールされている Solaris のバージョンを照合する。 

例:

osname Solaris_7

この例では、JumpStart プログラムは Solaris 7 オペレーティング環境がすでにインストールされているシステムを照合する。 

probe

probe_keyword

有効なプローブキーワードまたは有効なカスタムプローブキーワード 

例:

probe disks

この例では、システムのディスクサイズ (メガバイト単位) をカーネル検索順 (例: SPARC システムでは c0t3d0s1c0t4d0s0) に返し、環境変数 SI_DISKLISTSI_DISKSIZESSI_NUMDISKSSI_TOTALDISK を設定する。


注 –

probe キーワードには、属性を照合せず、プロファイルを実行しないという特徴があります。このキーワードは、値を返すだけです。したがって、probe ルールキーワードで、begin スクリプト、プロファイル、および finish スクリプトは指定できません。


プローブキーワードについては、第 25 章「カスタムルールおよびプローブキーワードの作成方法」を参照してください。

表 28–2 ルールキーワードとルール値の説明 (続き)

ルールキーワード 

値 

説明 

totaldisk

size_range

値は M バイト単位の範囲 (x-x) で指定する必要がある

システムのディスク空間の全体量 (M バイト単位) を照合する。ディスク空間の全体量には、システムに接続されている使用可能なディスクがすべて含まれる。 

例:

totaldisk 300-500

この例では、全体として 300M〜500M バイトのディスク空間を持つシステムと照合している。 


注 –

size_range を計算するときは、1M バイトが 1,048,576 バイトであることに注意してください。「535M バイト」ディスクと明記されているディスクでも、ディスク空間が 510M バイトしかない場合があります。535,000,000/1,048,576=510 により、JumpStart は「535M バイト」ディスクを実際には 510M バイトのディスクと見なします。したがって、この「535M バイト」ディスクは 530-550 の size_range には一致しません。