RPC 拡張開発ガイド

oneway 属性

1 方向性メッセージングを使用するには、oneway キーワードをサーバー関数の XDR 定義に追加します。oneway キーワードを使用する場合は、rpcgen によって生成されるスタブは clnt_send() を使用します。ユーザーは次のいずれかを行うことができます:

1 方向性メッセージングには、rpcgen コマンドのバージョン 1.1 を使用してください。

oneway キーワードを宣言する際は、次の構文を使用する RPC 言語の仕様に従ってください:

"oneway" function-ident "(" type-ident-list ")" "=" value;
RPC 言語の仕様についての詳細は、『ONC+ 開発ガイド』の「RPC プロトコルおよび言語の仕様」のセクションを参照してください。

オペレーションに oneway 属性を宣言する際は、サーバーサイドには何の結果も作成されず、クライアントには何のメッセージも返されません。

oneway 属性の情報は、表 1–1 に示すように、『ONC+ 開発ガイド』の「RPC 言語の仕様」セクションの「RPC 言語定義」の表に追加されていなければなりません。

表 1–1 RPC 言語定義

用語 

定義 

プロシージャ (手続き) 

type-ident procedure-ident (type-ident) = value

oneway procedure-ident (type-ident) = value


例 1–1 単純なカウンターサービスを使用する、1 方向性コール

この例は、単純なカウンターサービスにおいて 1 方向性のプロシージャを使用する方法を例示しています。このカウンターサービスでは、ADD() 関数が、使用できる唯一の関数です。各リモートコールは整数を送信し、この整数は、サーバーによって管理されるグローバルカウンターに追加されます。このサービスを使用するためには、表 1–1 に記述されているように、RPC 言語定義に oneway 属性を宣言する必要があります。

この例では、-M-N、および -C rpcgen オプションを使用してスタブを生成します。これらのオプションにより確実に、スタブがマルチスレッド-安全で、複数の入力パラメータを受け入れ、生成されたヘッダーが ANSI C++ に適合するようになります。スタブが変わらないので引数を渡すセマンティクスがよりクリアであり、アプリケーションへのスレッドの追加がより簡単になるため、クライアントおよびサーバーアプリケーションがシングルスレッドであっても、これらの rpcgen オプションを使用してください。

  1. counter.x ファイルにサービスの記述を書きます。

       /* counter.x: リモートカウンタープロトコル */
    program COUNTERPROG {
     	version COUNTERVERS {
     	  oneway ADD(int) = 1;
     	} = 1;
    } = 0x20000001;

    このサービスは、プログラム番号 (COUNTERPROG) 0x200000001、バージョン番号 (COUNTERVERS) 1 を持ちます。

  2. counter.x ファイルに rpcgen を呼び出します。

    rpcgen -M -N -C counter.x
    これにより、クライアントおよびサーバーのスタブ counter.hcounter_clnt.ccounter_svc.c が生成されます。

  3. server.c ファイルに示されているように、サーバーサイド用のサービスハンドラ、およびハンドラに割り当てられたメモリー領域を解放するために使用される counterprog_1_freeresult() 関数を記述します。サーバーがクライアントへ応答を送信する時に、RPC ライブラリがこの関数を呼び出します。

    	  #include <stdio.h>
    #include "counter.h"
    
    int counter = 0;
    
      	 bool_t
    add_1_svc(int number, struct svc_req *rqstp)
    {
     	 bool_t retval = TRUE;
    
      	 counter = counter + number;
    
      	 return retval;
    }
     	 int
    counterprog_1_freeresult(SVCXPRT *transp, xdrproc_t xdr_result, caddr_t
                             result)
    {
     	 (void) xdr_free(xdr_result, result);
    
      	 /*
    		  * 必要であれば、ここに解放のための追加コードを挿入する
    		  */
    
      	 return TRUE;
    }

    サービスハンドラ、counter_svc.c スタブをコンパイルおよびリンクして、サーバーを構築します。このスタブには、TI-RPC の初期化および処理に関する情報が含まれています。

  4. クライアントアプリケーション client.c を記述します。

    	  #include <stdio.h>
    #include "counter.h"
    
    main(int argc, char *argv[])
    {
     	 CLIENT *clnt;
     	 enum clnt_stat result;
     	 char *server;
     	 int number;
    
      	 if(argc !=3) {
     		  fprintf(stderr, "usage: %s server_name number\n", argv[0];
    			  exit(1);
    	 	 }
     	 server = argv[1];
     	 number = atoi(argv[2]);
    
      	 /* 
    		  * クライアントハンドルを作成する
    		  */
     	 clnt = clnt_create(server, COUNTERPROG, COUNTERVERS, "tcp");
    
      	 if(clnt == (CLIENT *)NULL) {
    		 /* 
    		  * 接続を確立できなかった
    		  */
    	 		  clnt_pcreateerror(server);
     		  exit(1);
     	 }
    
      	 result = add_1(number, clnt);
     	 if (result !=RPC_SUCCESS) {
     		  clnt_perror(clnt, "call failed");
     	 }
    
      	 clnt_destroy(clnt);
     	 exit(0); 
    }

    add_1() クライアント関数は、リモート関数用に生成された counter_clnt.c スタブです。

    クライアントを構築するには、クライアントの main および counter_clnt.c をコンパイルおよびリンクします。

  5. 構築したサーバーを起動します。

    % ./server
  6. 別のシェルでサービスを呼び出します。

    % ./client servername 23

    23 は、グローバルカウンターに追加される番号です。