マルチスレッドのプログラミング

簡単なスレッドの例

例 2-1 では、あるスレッドが最上位の手続きを実行し、手続き fetch() を実行する補助スレッドを生成します。手続き fetch() は複雑なデータベース検索を行い、処理に多少時間がかかります。

メインスレッドでは検索結果も必要ですが、その間に行うべき処理があります。そこで必要な処理を行なってから、pthread_join() で補助スレッドの終了を待ちます。

新しいスレッドへの引数 pbe がスタックパラメタとして渡されます。これが可能なのは、メインスレッドが自分の子スレッドの終了を待つからです。通常は、malloc(3C) でヒープから領域を確保する方が、スレッドのスタック領域で (スレッドが終了した場合なくなるか、再度割り当てられる) アドレスを受け渡すよりもよいでしょう。


例 2-1 簡単なスレッドプログラム

void mainline (...)
{
        struct phonebookentry *pbe;
        pthread_attr_t tattr;
        pthread_t helper;
        int status;

        pthread_create(&helper, NULL, fetch, &pbe);

            /* この間、他の処理を行う */

        pthread_join(helper, &status);
        /* ここでは結果を確実に使用できる */
}

void fetch(struct phonebookentry *arg)
{
        struct phonebookentry *npbe;
        /* データベースから値を取り出す */

        npbe = search (prog_name)
            if (npbe != NULL)
                *arg = *npbe;
        pthread_exit(0);
}   

struct phonebookentry {
        char name[64];
        char phonenumber[32];
        char flags[16];
}