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Sun Java System Communications Services 6 2004Q2 企業向け配備計画ガイド 

第 1 章
Communications Services について

この章では、Sun JavaTM System Communications Services 6 2004Q2 の概要、Communications Services の配備に関する業務上の理由、および配備プロセスそのものについて説明します。

この章には、以下の節があります。


Communications Services の概要

Sun Java System Communications Services 6 2004Q2 は、安全で、費用効率の高い通信とコラボレーションを提供します。Communications Services は、他の企業向けメッセージングソリューションに代わる、安全で、スケーラブルな、総所有コスト (TCO) を削減するソリューションを提供し、企業にとって懸念であるコスト、機能、および従来の企業通信インフラストラクチャのセキュリティなどの問題解決に取り組みます。

Communications Services は、企業の通信およびコラボレーションのニーズに対応するために必要な電子メール、カレンダー、およびインスタントメッセージングソリューションを提供します。Communications Services の製品とサービスは、一般的なビジネス要件に対する強力な対応策を提供します。あらゆる企業にとって、通信は不可欠です。そして多くの場合、大規模な範囲の多様で地理的に分散しているユーザーコミュニティに対して通信サービスを提供する必要があります。従来の通信ソリューションはコストがかかり、今日の企業のスケーラビリティとセキュリティ要件に対応するのに十分ではありません。Communications Services によって、企業は総所有コストの予算内でソリューションを配備することが可能になります。

また、Communications Services は、多様な顧客が必要とする独自のサービスとフル装備のコラボレーション機能を提供します。Communications Services 配備は、企業のファイアウォールの外側に拡大する通信と複数のデバイスを使用するモバイルユーザーに対して、ますます増大する企業のセキュリティニーズに対応します。

Communications Services のコアソリューションは、以下のコンポーネントで構成されます。

Communications Services ソリューションを拡張する追加製品には以下のものがあります。

全体として、Communications Services は、何千ものユーザーを抱える企業向け配備のための標準ベースの統合された通信およびコラボレーション製品群を提供します。Communications Services は、あらゆる組織の多様な通信ニーズに対応する堅固で柔軟なプラットフォームを提供します。Communications Services は、遠隔地オフイス、分散ワークグループ、グローバルな企業拠点を接続するための最適なソリューションです。


現在、このガイドでは、最高 5,000 までの企業ユーザーで構成される企業の配備に対応しています。


Messaging Server について

Sun Java System Messaging Server 6 は、高性能かつ高い安全性を備えたメッセージングプラットフォームです。数千人から数万人規模のユーザーのスケーリングに対応する Messaging Server は、電子メールサーバーを統合し、通信インフラストラクチャの総所有コストを削減しようとする企業に適しています。Messaging Server は、ユーザー認証、セッションの暗号化、スパムとウィルスの防止に役立つ適切なコンテンツのフィルタリングを通し通信の統合を実現する幅広いセキュリティ機能を提供します。

Messaging Server によって、企業は社員、パートナー、および顧客からなるコミュニティ全体に対して安全で信頼性の高いメッセージングサービスを提供できます。

このガイドで取り扱わない Messaging Server の概念とその他の配備に関する詳細については、次の Web サイトの『Sun Java System Messaging Server 配備計画ガイド』を参照してください。

Calendar Server について

Sun Java System Calendar Server 6 は、ユーザーによるアポイントメント、予定、作業、リソースの管理、調整を可能にして、円滑なチームコラボレーションを可能にします。Calendar Server は、直観的な Web ベースのインタフェースによって、エンドユーザーが任意の時間、任意の場所で任意の Web 対応デバイスから、非公開、公開、またはグループカレンダーにアクセスできるようにします。企業配備は、Messaging Server および Instant Messaging とともに Calendar Server を使用して、総合的な通信と協調的な環境をユーザーに提供します。

Calendar Server の概念に関する詳細については、次の Web サイトの『Sun Java System Calendar Server 管理ガイド』を参照してください。

Instant Messaging について

Sun Java System Instant Messaging 6 は、安全で、リアルタイムの通信とコラボレーションを可能にします。Instant Messaging は、参加の確認をチャット、会議、アラート、ニュース、ポーリング、ファイル転送などのインスタントメッセージング機能と組み合わせて、機能の豊富なコラボレーション環境を形成します。これらの機能は、短時間の通信または会議室やニュースチャネルなど継続的な場のいずれかを通じて、1 対 1 のコラボレーションとともにグループコラボレーションを可能にします。Instant Messaging は、複数の認証メカニズムと安全な SSL 接続によって通信の統合を実現します。Sun JavaTM System Portal Server 6 と Sun JavaTM System Identity Server 6 への統合により、追加のセキュリティ機能、サービスベースのプロビジョニングアクセスポリシー、ユーザー管理、安全なリモートアクセスが可能になります。

Instant Messaging の概念と配備に関する考慮事項の詳細については、次の Web サイトの『Sun Java System Instant Messaging 配備計画ガイド』を参照してください。

同期について

Sun ONE Synchronization 1.1 は、Windows パーソナルコンピュータ上で実行されるソフトウェア製品で、Calendar Server の予定および作業と、モバイルデバイスや Microsoft Outlook などの PIM (Personal Information Manager) との同期を可能にします。

詳細については、次の Web サイトにある Sun ONE Synchronization のマニュアルを参照してください。

Connector for Microsoft Outlook について

Sun Java System Connector 6 for Microsoft Outlook を使用して、Outlook を Sun Java Enterprise System のデスクトップクライアントとして使用できるようにします。

Connector for Microsoft Outlook は、エンドユーザーのデスクトップにインストールする Outlook のプラグインです。Connector for Microsoft Outlook は、Messaging Server にフォルダの階層と電子メールメッセージを照会します 。次に、Connector for Microsoft Outlook は、この情報を Outlook で表示できる MAPI (Messaging API) プロパティに変換します。同様に、Connector for Microsoft Outlook では、WCAP を使用して Calendar Server に予定と作業を照会し、MAPI プロパティに変換します。このモデルによって、Connector for Microsoft Outlook では、Messaging Server のメールと Calendar Server のカレンダー情報の 2 つの別個の情報源からエンドユーザーの Outlook 表示を作成します。

詳細については、次の Web サイトにある Connector for Microsoft Outlook のマニュアルを参照してください。

Communications Express について

Sun Java System Communications Express 6 は、企業ユーザーのニーズに対応する、統合された Web ベースの通信およびコラボレーションクライアントです。

Communications Express は、Web ベースのクライアントとして、Web サーバーを使用してアクセスし、ブラウザを使用して表示します。Communications Express 製品は、Calendar、Address Book、Mail の 3 つのクライアントモジュールで構成されます。Calendar、Address Book、Mail クライアントモジュールは、任意の Web コンテナ上に単独のアプリケーションとして配備されます。

Communications Express のほとんどの機能をカスタマイズできます。詳細については、次の Web サイトにある Communications Express のマニュアルを参照してください。

Communications Services コンポーネント製品の依存性

Communications Services は、インフラストラクチャサービスを提供するほかの Sun Java System コンポーネント製品との依存関係もあります。これらのコンポーネント製品には、Sun JavaTM System Directory Server と Sun JavaTM System Identity Server が含まれます。さらに、Communication Services は、HTML コンテンツを提供し、HTML 接続を提供する Web サーバーに依存します。この機能を実行するために、Sun JavaTM System Web Server (SunTM ONE Web Server とも呼ばれる) を使用できます。

また、Communications Services は DNS 機能にも依存します。Communications Services 製品をインストールするには、DNS サーバーが機能している必要があります。

製品の依存関係の詳細については、第 3 章「製品の要件と考慮事項について」を参照してください。


Communications Services の企業のビジネスニーズへの対応方法について

企業は、強力な機能を備えると同時に、コストを削減し管理を簡素化するためのサービスの配備が必要です。企業通信サービスのアーキテクチャには、ユーザーが日常業務の遂行に不可欠な情報に、複数の方法でのアクセスを可能にするためのセキュリティとスケーラビリティの要件を追加する必要があります。Communications Services では、企業の総所有コストの予算内でスケーラブルなメッセージング、カレンダー、インスタントメッセージングを提供することによりこれらのニーズに対応します。

Communications Services により、配備と保守が容易で、完全な機能を持つアーキテクチャの開発が可能になります。最も重要なことは、Communications Services アーキテクチャによって各サービス要素にセキュリティが組み込まれることです。これらの要素には、ネットワークインフラストラクチャ、動作環境、および Communications Service コンポーネント製品そのものが含まれます。

Messaging Server のビジネスニーズへの対応方法について

Messaging Server は、優れた信頼性と生産性の向上を促進するとともに、管理と運用コストを低減します。Messaging Server では、メッセージがディスク上のメッセージストアに格納されるまで受信として承認されないことを意味する格納済みトランザクションを使用します。この信頼性機能は、メールメッセージの損失や破損を防止します。さらに、Message Store は、卓越したパフォーマンスとデータ統合を実現するために、追記型データストアと 2 段階インデックスを採用するカスタム設計のデータベースを中心に構築されます。

Calendar Server のビジネスニーズへの対応方法について

Calendar Server は、業界で最もオープンで相互運用可能な、高パフォーマンスの時間管理および資源管理ソリューションを提供します。Calendar Server は、ほかの代替ソリューションよりも低い総所有コストで必要な機能を提供します。Calendar Server は、柔軟性のある拡張可能なアーキテクチャによって、垂直方向 (システムあたり CPU 数の増加) と水平方向 (ネットワークへのサーバーの追加) の両方向にスケーリングします。

Instant Messaging のビジネスニーズへの対応方法について

Instant Messaging ソフトウェアは、プロジェクトのライフサイクルを短縮し、新しいサービスを手ごろな価格で配備できるように Java Enterprise System と緊密に統合されています。さらに、Instant Messaging は、Portal Server、Identity Server、Messaging Server、Calendar Server と完全に統合されています。この統合によって、企業ユーザーは、安全かつスケーラブルなフル装備の通信およびコラボレーションサービスのプラットフォームを、単一のベンダーから入手できます。Instant Messaging に含まれる定評ある Java API は、複数のプラットフォームのサポート、プラットフォームの拡張性、リアルタイム通信およびコラボレーション機能のカスタマイズとともに、統合を容易にするオープンな標準を提供します。これらの機能は、既存の企業アプリケーションに組み込まれたり、あるいは新しいアプリケーションの基盤となります。

Communications Services の利点のまとめ

従来、Communications Services コンポーネントは、大規模な、通信事業者クラスの配備に使用されてきました。このガイドで説明されているとおり、大規模配備で要求されるのと同じ信頼性を企業で利用することができます。

以下の表に、Communications Services によって企業が得られる利点を要約します。

表 1-1 Communications Services が企業に提供する利点 

主な機能

企業に提供する利点

高パフォーマンスとスケーラビリティ

効率的な通信を可能にし、企業と ISP の両者のサービス品質の向上を図る

幅広いセキュリティ機能

通信とデータの統合、社員、顧客、パートナーのプライバシーを保護し、業界の規制準拠に対応する

仮想ドメインのホスティングと委任管理

Messaging Server は 1 つのサーバーで複数の企業のメッセージをホストし、あるいは企業 IT が企業内の複数の部門をホストできるようにして、必要なサーバー数を削減し、TCO を低減する

スケーラブルで、堅固な、拡張性のあるコンポーネント

電話サービスと電子メール通知、ファックス、ページング、その他のテクノロジを結合して、統一された通信サービスの配備を可能にする

予定管理、作業とリソースの管理のための拡張可能なコラボレーションプラットフォーム

Calendar Server は、時間管理と資源管理を改善し、ユーザーの生産性を向上させる

会議や予定のグループスケジューリング

Calendar Server は、企業全体のチームコラボレーションと通信を向上させる

予定または作業のハイパーリンクによる情報の共有

Calendar Server は、作業や予定に関連する情報の交換を通じてコラボレーションを促進する

複数クライアントのサポート

Ximian Evolution および Microsoft Outlook を含む多くの複数のクライアントに対して、統合された Web ベースのクライアントとサポートを提供する

オープンな、モジュラー化された標準ベースのアーキテクチャ

カスタマイズされた顧客独自のソリューションの配備を可能にする

Communications Services 配備の高可用性の向上

Messaging Server と Calendar Server は、両者とも SunTM Cluster サービスと Veritas クラスタリングソリューションをサポートする高可用性オプションを提供します。このオプションによって、プライマリシステムが保守目的でオフラインとなっている場合、あるいは障害によりダウンしている場合に、Message Server または Calendar Server のセカンダリホストがユーザーにサービスを提供します。

Sun Cluster を使用しなくても、Messaging Server には、サーバープロセスとサービスの可用性の状態を継続的にチェックする組み込み監視機能が装備されています。Messaging Server は、必要に応じてプロセスとサービスを自動的に再起動することができます。レポートと分析を選択した場合、Messaging Server は障害と回復操作のログを記録します。

さらに、冗長コンポーネントを使用することにより、高度に可用性のある構成で Communications Services 製品を配備することができます。この種類の配備では、高レベルの作動時間のサービスが提供されます。このような高可用性配備では、サービスアーキテクチャにおけるすべてのコンポーネントに冗長性が要求されます。これらのコンポーネントには、重複データストアサーバー、重複ネットワークインタフェースカード、および重複システムストレージが含まれます。


このガイドでは、Communications Services の高可用性配備における Sun Cluster の利用に関する詳細は取り扱っていません。このトピックに関する詳細については、Sun Cluster、Messaging Server、Calendar Server のマニュアルを参照してください。


Communications Services での Portal Server の使用

Portal Server を含む Communication Services 製品のインストールでポータルページのメッセージングおよびカレンダーポートレットにアクセスできます。これらのポートレットは、メッセージング情報、カレンダースケジュール、アドレスブック情報の要約を提供します。Portal Server の統合には、Portal Server、Calendar Express Web クライアント、Messaging Express Web クライアント、Communications Express クライアント間のシングルサインオン機能が含まれます。


Sun JavaTM System Schema 1 と Schema 2 の両方の環境で、Communications Express を実行できます。Schema 2 を使用している場合は、Identity Server 認証を使用して Communications Express にシングルサインオンすることができます。


また、Portal Server は Instant Messaging のメッセージアーカイブをサポートします。さらに、ユーザーは、Portal Server Desktop を使用して、Messaging Express、Calendar Express、Instant Messaging クライアントを利用することができます。

Portal Server の以下の 2 つのコンポーネントは、Communications Services の基本配備に対する追加機能を提供します。


配備プロセスについて

Communications Services の配備プロセスは、以下の一般的な段階で構成されます。

配備の段階は固定的なものではありません。実際には配備プロセスは繰り返し実行されますが、以下の項では各配備段階について個別に説明します。

Communications Services の配備プロセスの詳細については、次の Web サイトの『Sun Java Systems Messaging Server 配備計画ガイド』を参照してください。

配備アーキテクチャの設計

通常、配備設計の段階では、要件分析の段階で特定した配備シナリオに基づいて配備アーキテクチャを構築します。この目的は、配備シナリオで指定されたシステム要件に適合するように、論理構築ブロック (論理アーキテクチャ) を物理環境にマッピングすることです。

この設計の段階の 1 つに、負荷、可用性、およびパフォーマンス要件に適合するように物理環境のサイズを確定することがあります。配備アーキテクチャでは、環境内の処理ノードにシステムサーバーやアプリケーションコンポーネントを割り当てる際に、さまざまな処理ノードやネットワーク帯域幅の能力などの物理トポロジの詳細を考慮します。

配備とカスタマイズ

ライフサイクルの要件分析の段階で指定された論理アーキテクチャでは、ソリューションの実装に必要な開発作業の範囲を決定します。

API の使用によるサービスの拡張、または企業商標の設定などのルックアンドフィールのカスタマイズのいずれかの追加作業が必要になる場合があります。

一部のソリューションでは、新しいビジネスやプレゼンテーションサービスの開発が要求される場合、配備のカスタマイズが非常に広範囲にわたる場合があります。その他の場合には、必要な機能を実現するために、Portal Server デスクトップなど既存のユーザーインタフェースをカスタマイズするだけで十分な場合があります。

製品 API の使用や製品機能のカスタマイズの詳細については、以下の該当するコンポーネントのマニュアルを参照してください。

プロトタイプとテスト

プロトタイプの段階では、配備アーキテクチャをテスト環境に実装することにより配備設計のプロトタイプを作成します。開発段階で作成した新しいアプリケーションロジックとサーバーのカスタマイズを使用して、上記の説明に従って POC (機能検証) 配備テストを実行します (「配備とカスタマイズ」を参照)。この段階には、テスト環境への分散アプリケーションのインストール、設定、起動、および必要なインフラストラクチャサービスが含まれます。

プロトタイプテストにより配備アーキテクチャの欠陥が検出された場合は、アーキテクチャを修正し、再度プロトタイプを作成してテストします。この反復的なプロセスによって、本稼動環境に配備が可能な配備アーキテクチャが完成します。

製品システムの展開

製品展開の段階では、本稼動環境に配備アーキテクチャを実装します。この段階には、本稼働環境への分散アプリケーションのインストール、設定、起動、および必要なインフラストラクチャサービスが含まれます。通常は、限定的な配備から開始して、組織全体への実装に移行します。このプロセスでは、負荷を増大させ、システムの耐久度テストを行う試運転を実行します。

展開段階の一環として、ユーザーのプロビジョニング、シングルサインオンの実装、パフォーマンス目標に適合させるためのシステムの調整などの管理タスクを実行する必要があります。配備の検証と容量計画の実行もこの段階の一部です。システムの監視が重要な役割を果たす容量計画は、システムの長期的な拡大のニーズに対応するために必要になります。



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