Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 6.0 デスクトップ配備管理者ガイド |
第 1 章
概要このマニュアルは、組織のエンドユーザーへの Sun Java System Connector for Microsoft Outlook の配備についてシステム管理者が理解し、計画できるように作成されています。配備元と配備先のネットワーク構成、組織の管理構造、ユーザーがデスクトップソフトウェアのインストールおよび設定プロセスに関わる度合いの認識に応じて、配備プロセスの進行は異なります。
組織で、Sun Java System Connector ソフトウェアを使用して、ユーザーが Sun Java System servers に接続しながら、電子メールおよびカレンダクライアントとして Microsoft Outlook を使用できるようにします。Outlook と Sun Java System サーバー間で継続的な通信を円滑に行うために、Connector ソフトウェアのインストールと設定は、それぞれのユーザーのデスクトップで行う必要があります。また、Sun は Desktop Deployment Toolkit を提供しています。これは、特定のユーザー向けに Sun Java System Connector ソフトウェアをインストールして設定するときに、関連する管理者の作業とユーザーの作業を単純化するように設計されたシステム管理者用のソフトウェアツールセットです。
管理者は、Desktop Deployment Toolkit を使用して、設定パラメータをあらかじめ設定し、Connector ソフトウェアのエンドユーザー向けインストールパッケージをカスタマイズできます。これにより、ユーザーのプロセスの単純化と効率化を図り、特定のユーザーまたはユーザーグループにとって必要または望ましいと考えられるすべての設定を行うことができます。配備設定プログラムでは、この事前設定した設定パラメータを .ini テキストファイルに保存し、この .ini ファイルとインストールプログラム (セットアップウィザード) をエンドユーザー用に 1 つにまとめます。エンドユーザーがパッケージを起動すると、セットアップウィザードは、.ini ファイルを読み込んで、管理者の指定に従って、ユーザーのデスクトップに Connector ソフトウェアをインストールおよび設定します。
配備を計画し、Deployment Toolkit を使ってユーザー用インストールパッケージを作成する場合、新しいソフトウェアの配布方法、ユーザーのデスクトップへのインストールと設定方法には多くの選択肢があります。選択肢の中には配備上必須なものもありますが、組織、ネットワーク、ユーザーについての個人的な知識に基づくものもあります。
このマニュアルはこれらの選択肢を事前に決定し、Deployment Toolkit を使用する前に、オプションの重要性と意味について理解していただくことを目的としています。このマニュアルでは、次のトピックについて説明します。
Deployment Toolkit の使用目的Deployment Toolkit を使うと、管理者は、デスクトップユーザーのさまざまな設定パラメータを制御できます。多くの設定またはほとんどの設定を必須にすることで、エンドユーザーがオプションについて考え、選択し、値を設定する必要がなくなります。これらの自動または半自動インストールにより、ユーザーの選択によって予期しない結果が生じたときに発生する必然的な問題に対して、案内、サポート、および解決方法を求める企業のヘルプデスクへの問い合わせを減らすことができます。このツールキットにより、Sun Java System Connector ソフトウェアの配備に必要なコスト、時間、および労力を大幅に削減できます。
システム管理者は、デスクトップエンドユーザーのグループごとに別々のインストールパッケージを作成して、たとえば、営業部のユーザーと技術部のユーザーに対して異なる設定を実施したり、あるユーザーグループには設定オプションを与え、他のグループには固定パラメータを設定する (選択肢を排除する) こともできます。
Microsoft Exchange から移行する場合、ユーザーのインストールパッケージはユーザーデスクトップの .pst ファイルに保存されている既存の Outlook データの多くの値も維持します。また、Exchange サーバーに保存されているメモ、履歴、連絡先も維持します。バンドル版インストールパッケージには、これらすべてのデータを純粋なインターネットアドレスにすぐに変換する変換ユーティリティが含まれます。これにより Sun Java System サーバーへの移行後も、ユーザーは古いメッセージに返信でき、出席依頼を受けたユーザーは変更通知を受信し、アドレス帳、個人配布リストを引き続き使用できます。
デスクトップへの配備プロセス: 3 つの作業Sun Java System Connector ソフトウェアを各ユーザーデスクトップへ配備するには、次の 3 つの作業が必要です。
- インストール: 必要かつ適切なソフトウェアを Outlook ユーザーのデスクトップへ物理的にインストールする必要があります。ソフトウェアのインストールにはアクセス特権が必要になりますが、多くの場合、ほとんどのエンドユーザーには許可されていません。この場合、ほとんどの企業では、システム管理者からユーザーのデスクトップへソフトウェアを配布する「プッシュ」方式を採用しています。これにより、ユーザーのアクセス特権の必要性が回避されます。この「プッシュ」方式の配布については、以下の「デスクトップインストール方法」で詳しく説明します。エンドユーザーがソフトウェアをインストールできないように「ロックダウン」した Windows 環境で、ネットワークが使用されている場合は、それぞれのデスクトップに何度もアクセスせずに済むように、このような自動設定管理を使用することをお勧めします。
- 設定: Sun Java System Connector は、サーバー名、ポート番号、ユーザーパスワードオプション、ディレクトリ検索デフォルト、ログファイルパスなどの設定パラメータの組み合わせでインストールされます。ユーザーまたは管理者は、各デスクトップの Outlook からこれらの設定を手動で行うことができますが、管理者がユーザーグループに対してこれらを事前設定するほうがはるかに効率的で、デスクトップに出向く必要がありません。
- 変換: セットアップウィザードでは、Exchange ユーザーの連絡先、履歴、およびメモのデータを、ローカル (デスクトップ) の Sun Java System Connector の個人用フォルダ (.pst) ファイルに変換できます。Microsoft Exchange と Outlook に関連するこのような既存の個人データファイルは、Sun Java System サーバーおよび Connector ソフトウェアと互換性のあるデータに変換する必要があります (この作業は、Microsoft Exchange を使っていなかった新しい電子メールユーザーには適用されません)。ユーザーがデータファイルをパスワードで保護している場合は、この変換時に、保護されたファイルに関連するパスワードが必要です。変換機能はプロセッサを集中的に使用するため、ユーザーが大量のデータを変換する場合は、ユーザーのコンピュータで数十分、場合によっては数時間かかることがあります。このため、変換ユーティリティでは、大きなファイルの場合は昼休みや夜間などに行うように変換を延期することができます。
配備設定プログラムでは、特定のユーザーグループに対するシステム管理者の配備方針に応じて、エンドユーザーの作業全体または一部を自動化するインストールパッケージを作成できます。
Deployment Toolkit のコンポーネントSun Java System Connector Desktop Deployment Toolkit は、次のコンポーネントで構成されています。
- 配備設定プログラム: システム管理者が、エンドユーザー用にバンドルおよびカスタマイズしたインストールパッケージを作成するために使用する Sun のツールです。これらのパッケージを使って、Sun Java System Connector ソフトウェアをインストールして設定できます。また適切な設定により、Exchange のローカルストアからデータを変換できます。
- Sun Java System Connector セットアップウィザード: エンドユーザーが、 Sun Java System Connector ソフトウェアをインストールして、管理者の設定を基に操作や機能を設定し、Exchange に関連する既存の Outlook データファイル (.pst ファイル) を Sun Java System Connector で使用できる形式に変換するために使用する Sun のツールです (セットアップウィザードは、前述のように配備設定プログラムによって作成されるバンドル版エンドユーザーインストールパッケージの一部です)。
- Sun が提供する Sun Java System Connector 用インストールキット (MSI): Microsoft Outlook 機能と Sun Java System サーバーの間で継続した永続的な通信を円滑に行うために Sun が提供するソフトウェア用インストールユーティリティです。これは Sun からのパッケージの一部として提供されます。
- Microsoft System Management Services (SMS) を使用して Sun Java System Connector をインストールするための特別キット: Microsoft の SMS の「プッシュ」機能をサポートする Sun のユーティリティです。システム管理者は 、ユーザーの操作を最小限にするか、またはまったく必要としないで、Sun Java System Connector デスクトップコンポーネントをユーザーデスクトップへ配布してインストールできます。この「プッシュ」方式の配布については、次の「デスクトップインストール方法」で説明します。
Sun Java System Connector for Microsoft Outlook をインストールするには、前述の Deployment Toolkit のコンポーネントの他に、他のベンダーから提供されている次のアイテムが必要になる場合があります。
- Web 発行ウィザード (WPW) 用の Microsoft インストールプログラム Microsoft の WPW は、(通常は Web ブラウザに表示される Web ページの形式で) HTML コード化文書を生成するために使用されるツールです。ただし、WPW は他の目的で情報を「公開」するためにも使用されます。たとえば、特定の形式のデータを含む文書を作成し、他のアプリケーションが検索して関連データを引き出せる場所に文書をアップロードするために使用されます。Sun Java System Connector では、WPW をこのように使って、Outlook と Sun Java System server 間でユーザーの空き時間のデータの転送を容易にします。したがって WPW は必要な媒介であり、Sun Java System Connector の各ユーザーのインストールに必須のコンポーネントです。
注
ただし、WPW は Deployment Toolkit パッケージには含まれていません。Web 発行ウィザードは Microsoft 製品なので、Microsoft から入手する必要があります。Microsoft の WPW のインストールプログラムは、 http://www.microsoft.com から無料でダウンロードできます。
- Outlook 用の Microsoft インストールキット (MSI) (一部のユーザーが Outlook 2000 を使用している場合のみ必要、すべてのユーザーが Outlook 2002 を使用している場合は不要): Sun Java System Connector は、LDAP サービスを使って Sun Java System ディレクトリと通信します。LDAP プロトコルは、Outlook 2002 の標準機能です。LDAP プロトコルは、Outlook 2000 ではあくまでもオプション機能で、Microsoft Office の「標準」インストールの一部ではありません。Outlook 2000 を使用しているユーザーが 1 人でもいる場合は、LDAP コンポーネントをインストールするために、対応する元のインストール CD またはインストールファイルが必要です。これらのキットは、Microsoft 製品なので、Sun の Deployment Toolkit パッケージには含まれていません。
これらの CD をネットワークの共有フォルダのディレクトリ構造にコピーして、各ユーザーが Outlook または Office の CD を使用することなく、セットアップウィザードから LDAP をインストールできるようにします。図 1-1 に示すように、ファイルがまったく含まれない最上位ディレクトリを作成する必要があります。そのディレクトリの下に、ユーザーが使っている Outlook または Office のバージョンごとにサブディレクトリを作成して、そこにインストールキットをコピーします。
図 1-1 推奨する LDAP ソースファイルのディレクトリ構造