Sun Java Enterprise System 2005Q4 配備計画ガイド

ビジネス上の制約の定義

ビジネス上の制約は、配備プロジェクトの本質に関わる重要な問題です。成功する配備設計の鍵の 1 つは、ビジネス上の制約の範囲内でビジネス要件を満たす最適な方法を見つけることにあります。ビジネス上の制約としては、財務的制約、物理的制約 (たとえば、ネットワーク容量)、時間的制約 (たとえば、次回の年次会議などの重要なイベントの前に完了する) など、ビジネス上の目的の達成に影響するあらゆる要因が考えられます。

ここでは、ビジネス上の制約を定義する際に考慮するべき要因について説明します。

移行問題

通常、既存のソフトウェアインフラストラクチャーおよびデータは、配備プロジェクトで交換または補完されます。新しいソリューションは、既存のインフラストラクチャーから新しいソリューションにデータおよび手順を移行できる必要があり、多くの場合は、既存のアプリケーションとの相互運用性も保持できる必要があります。現行のインフラストラクチャーの分析は、提案ソリューションの移行問題を特定するために必要です。

スケジュール制約

ソリューションの実装スケジュールは、設計上の意思決定に影響する可能性があります。厳しいスケジュールは、目標の規模縮小、優先順位の変更、段階的なソリューションの採用などにつながることがあります。スケジュール内にも、注意を必要とする重要な達成期限が定められることがあります。達成期限は、スケジュールされたサービスのロールアウトなどの内部イベント、または学期の開始日などの外部イベントによって設定される場合があります。

予算制約

ほとんどの配備プロジェクトは、予算内で達成する必要があります。次の点を含めて、提案ソリューションを構築する費用とソリューションを特定期間維持する上で必要なリソースを検討します。

保有コスト

保守、管理、サポートのほかに、保有コストに影響するその他の要因を分析します。必要となるハードウェアとソフトウェアのアップグレード、電力網に対するソリューションの影響、通信費、および出費を要するその他の要因があります。ソリューションの可用性レベルを規定するサービスレベル契約も、より多くの冗長性を必要とすることで、保有コストに影響します。

ソリューションの実装は、ソリューションに対する投資の回収を実現するものである必要があります。投資回収率の分析では、通常は、投資費用から得られた経済的効果が算出されます。

ソリューションの経済的効果を見積もるときは、ビジネス上の目標を達成した場合と、それ以外の方法で同じ目標を達成した場合、または、なにも行わなかった場合を比較して慎重に分析する必要があります。