Sun Java Enterprise System 2005Q4 配備計画ガイド

リソースの最適な使用方法の設計

配備設計は、QoS 要件を満たすために必要となるリソースを見積もるだけではありません。配備設計では、可能な選択肢をすべて分析し、コストを最小化しつつ QoS 要件を満たす最善のソリューションの選択も行います。ある領域での利点が、別の領域のコストで相殺されないように、設計上のそれぞれの意思決定による得失評価を分析する必要があります。

たとえば、可用性のための水平方向のスケーリングは、全体的な可用性を向上するかもしれませんが、保守とサービスのコストは上昇します。パフォーマンスのための垂直方向のスケーリングは、費用効率良く処理能力を向上できるかもしれませんが、一部のサービスでは追加された処理能力を活用し切れない可能性があります。

設計戦略を完成させる前に、リソースの使用と提案ソリューションの全体的なメリットのバランスについて、決定事項をよく見直してください。通常、この分析では、ある領域のシステム品質が、別のシステム品質にどのように影響するかを調べます。次の表は、いくつかのシステム品質と、それに対応するリソース管理に関する考慮事項を示しています。

表 5–8 リソース管理に関する考慮事項

システム品質 

説明 

パフォーマンス

個々のサーバーに CPU を集中させるパフォーマンスソリューションで、サービスは処理能力を効率的に活用できるか。(たとえば、一部のサービスでは、効率的に利用できる CPU の数に制限がある。) 

潜在処理能力 

採用した戦略により、想定されるパフォーマンスを超過した負荷が処理されるか。 

過度な負荷の処理に、サーバーの垂直方向のスケーリング、他のサーバーへのロードバランスのどちらを使用するか、または両方使用するか。 

配備の規模拡大に関する次回の目標を達成するまで、例外的なピーク負荷を処理できるだけの潜在処理能力があるか。 

セキュリティー

セキュリティー保護されたトランザクションの処理に必要なパフォーマンス上のオーバーヘッドは十分に考慮されているか。 

可用性

水平方向の冗長性ソリューションで、長期的な保守コストを十分に想定しているか。 

システムの保守に必要な予定された停止時間は考慮されているか。 

ハイエンドサーバーとローエンドサーバーのコストのバランスはとれているか。 

スケーラビリティー

配備の規模拡大に関する一連の達成目標は設定されているか。 

配備の規模拡大に関する次回の目標を達成するまで、想定される負荷の増大に対応できるだけの十分な潜在処理能力を提供する戦略を持っているか。 

保守性

管理、監視、保守のコストを踏まえて可用性を設計しているか。 

管理コストを作成するために、委任管理ソリューション (エンドユーザーが一部の管理作業を実行できるようにする) を検討したか。