Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 管理ガイド

第 13 章 ORB (Object Request Broker) の設定

この章では、ORB (Object Request Broker) と IIOP リスナーの設定方法について説明します。ここには次の節があります。

ORB (Object Request Broker) について

CORBA

Application Server は、相互運用性を確実にする一連の標準的なプロトコルおよび形式をサポートします。これらのプロトコルの中には、CORBA で定義されているものがあります。

CORBA (Common Object Request Broker Architecture) モデルのベースになっているのは、明確に定義されたインタフェースを介して分散型のオブジェクトやサーバーにサービスを要求するクライアントです。こうしたクライアントは、リモートメソッド要求の形式でオブジェクトに対して要求を発行します。リモートメソッド要求では、実行する必要のある操作に関する情報が伝送されます。この情報には、サービスプロバイダのオブジェクト名 (オブジェクト参照) と、存在する場合は、起動メソッドのパラメータが含まれます。CORBA は、オブジェクトの登録、オブジェクトの配置、オブジェクトのアクティブ化、要求の多重分離、エラー処理、整列化、操作のディスパッチをはじめとするネットワークプログラミングのタスクを自動的に処理します。

ORB とは

ORB (Object Request Broker) は、CORBA の中枢となるコンポーネントです。ORB は、オブジェクトの特定と検索、接続管理、およびデータと要求の配信に必要なインフラストラクチャーを提供します。

個々の CORBA オブジェクトが相互に対話することはありません。その代わりに、リモートスタブを介して、ローカルマシンで実行されている ORB に要求を送ります。次に、ローカルの ORB が、IIOP (Internet Inter-Orb Protocol) を使ってほかのマシン上の ORB へ要求を転送します。リモート ORB は、適切なオブジェクトを検出し、要求を処理して、結果を返します。

アプリケーションやオブジェクトでは、RMI-IIOP により、IIOP を RMI (Remote Method Invocation) として使用することが可能になっています。エンタープライズ Bean (EJB モジュール) のリモートクライアントは、RMI-IIOP を介して Application Server と通信します。

IIOP リスナー

IIOP リスナーは、Enterprise JavaBeans のリモートクライアントおよびほかの CORBA ベースのクライアントから受信する接続を受け付ける待機ソケットです。Application Server では、複数の IIOP リスナーを設定できます。各リスナーに対して、ポート番号、ネットワークアドレス、およびオプションでセキュリティー属性を指定してください。詳細については、「IIOP リスナーを作成する」を参照してください。

ORB に関する管理コンソールタスク

ProcedureORB を設定する

手順
  1. ツリーコンポーネントで、「設定」ノードを展開します。

  2. 設定するインスタンスを選択します。

    • 特定のインスタンスを設定するには、そのインスタンスの設定ノードを選択します。たとえば、デフォルトインスタンス server の場合は、server-config ノードを選択します。

    • default-config のコピーを利用する将来のインスタンスのためにデフォルトの設定値を設定するには、default-config ノードを選択します。

  3. 「ORB」ノードを選択します。

  4. 「スレッドプール ID」ドロップダウンリストから、ORB が使用するスレッドプールを選択します。

    ORB はスレッドプールを使用し、Enterprise JavaBeans のリモートクライアントおよび RMI-IIOP を介して通信するほかのクライアントからの要求に応答します。詳細については、「スレッドプールについて」および 「スレッドプールを作成する」を参照してください。

  5. 「最大メッセージ分割サイズ」フィールドに、IIOP メッセージの最大フラグメントサイズを設定します。

    このサイズより大きいメッセージは分割されます。

  6. 「総接続数」フィールドに、すべての IIOP リスナーの入力接続の最大数を設定します。

  7. IIOP クライアント認証が必要な場合には、「必須」チェックボックスを選択します。

  8. 「保存」をクリックして変更を保存するか、または「デフォルトを読み込み」を選択してデフォルト値を読み込みます。

  9. サーバーを再起動します。

IIOP リスナーに関する管理コンソールタスク

ProcedureIIOP リスナーを作成する

手順
  1. ツリーコンポーネントで、「設定」ノードを展開します。

  2. 設定するインスタンスを選択します。

    • 特定のインスタンスを設定するには、そのインスタンスの設定ノードを選択します。たとえば、デフォルトインスタンス server の場合は、server-config ノードを選択します。

    • default-config のコピーを利用する将来のインスタンスのためにデフォルトの設定値を設定するには、default-config ノードを選択します。

  3. 「ORB」ノードを展開します。

  4. IIOP リスナーを選択します。

  5. 「新規」をクリックします。

  6. 「名前」フィールドにリスナーを特定する名前を入力します。

  7. 「ネットワークアドレス」フィールドに、リスナーのネットワークアドレスを入力します。

    ここには IP アドレスあるいは、DNS で解決可能なホスト名を指定することができます。

  8. 「リスナーポート」フィールドに、リスナーが待機するポートを入力します。

  9. 「リスナー」フィールドの「有効」ボックスにチェックマークを付けて、リスナーを有効にします。

  10. 「追加プロパティー」セクションで、アプリケーションに必要なプロパティーの値を指定します。

  11. リスナーを作成するには、次の手順に従います。

    • セキュアでないリスナーを作成するには、「了解」をクリックします。

    • 安全なリスナーを設定するには、次の手順を実行します。

      1. 「セキュリティー」フィールドの「有効」ボックスにチェックマークを付けます。

      2. サーバーへの認証をこのリスナーを使っている個々のクライアントに任せる場合は、「クライアント認証」フィールドの「有効」ボックスにチェックマークを付けます。

      3. 「証明書のニックネーム」フィールドに、既存サーバーの鍵ペアと証明書の名前を入力します。

      4. SSL3/TLS セクションでは次の手順を実行します。

        1. リスナーで有効にするセキュリティープロトコルにチェックマークを付けます。SSL3 および TLS のいずれか、または両方のプロトコルにチェックマークを付けます。

        2. プロトコルが使用する暗号化方式にチェックマークを付けます。

          すべての暗号化方式を有効にするには、「サポートされるすべての暗号化方式群」にチェックマークを付けます。個別の暗号化方式を有効にすることもできます。

      5. 「了解」をクリックします。

        これで、「IIOP リスナー」ページの「現在のリスナー」テーブルに、リスナーが一覧表示されます。

同機能を持つ asadmin コマンド

create-iiop-listener および create-ssl

ProcedureIIOP リスナーを編集する

手順
  1. ツリーコンポーネントで、「設定」ノードを展開します。

  2. 設定するインスタンスを選択します。

    • 特定のインスタンスを設定するには、そのインスタンスの設定ノードを選択します。たとえば、デフォルトインスタンス server の場合は、server-config ノードを選択します。

    • default-config のコピーを利用する将来のインスタンスのためにデフォルトの設定値を設定するには、default-config ノードを選択します。

  3. 「ORB」ノードを展開します。

  4. 「IIOP リスナー」ノードを選択します。

  5. 「現在のリスナー」テーブルで、変更するリスナーを選択します。

  6. リスナーの設定を変更します。

    変更可能なフィールドについては、「IIOP リスナーを作成する」を参照してください。

  7. リスナーのポート番号を変更した場合は、サーバーを再起動してください。

ProcedureIIOP リスナーを削除する

手順
  1. ツリーコンポーネントで、「設定」ノードを展開します。

  2. 設定するインスタンスを選択します。

    • 特定のインスタンスを設定するには、そのインスタンスの設定ノードを選択します。たとえば、デフォルトインスタンス server の場合は、server-config ノードを選択します。

    • default-config のコピーを利用する将来のインスタンスのためにデフォルトの設定値を設定するには、default-config ノードを選択します。

  3. 「ORB」ノードを展開します。

  4. 「IIOP リスナー」ノードを選択します。

  5. 「現在のリスナー」テーブルで、削除するリスナーにチェックマークを付けます。

  6. 「削除」をクリックします。

同機能を持つ asadmin コマンド

delete-iiop-listener