Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

第 20 章 Calendar Server のインストール前の考慮事項について

この章では、Calendar Server のインストール前に考慮が必要な事項について説明します。

この章には、次の節があります。

Calendar Server のインストール考慮事項

Calendar Server のインストールと設定は、以前の Calendar Server リリース (2003Q4 以前のバージョン) に比べ大幅に変更されました。Calendar Server 用のスタンドアロンのインストーラはなくなりました。

まだ Calendar Server をインストールしていない場合は、Sun Java Enterprise System インストーラを使用して、2005Q4 バージョンを取得する必要があります。このインストーラを使用すると、他の Sun Java System コンポーネント製品およびパッケージもインストールできます。Java Enterprise System インストーラについては、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 Installation Guide for UNIX』を参照してください。

Calendar Server 6 2003Q4 から Calendar Server 6 2005Q4 にアップグレードする場合のアップグレードプロセスについては、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 アップグレードガイド』の「Java Enterprise System 2003Q4 からのアップグレード」で説明されています。

Calendar Server の旧バージョン (バージョン 5.x まで) からの移行については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』の第 4 章「Database Migration Utilities」を参照してください。

5.x 以降のバージョンからの移行については、Sun サポート担当者に連絡してください。

設定が必要な Calendar Server コンポーネント

Calendar Server ソフトウェアをインストールする際、Java Enterprise System インストーラは Calendar Server パッケージをすべてインストールします。 ついで、Calendar Server 設定プログラムを使い、適切な Calendar Server コンポーネントを Calendar ホストに設定します。

次の表では、それぞれのタイプの Calendar ホストで、設定が必要なコンポーネントを示しています。

表 20–1 設定が必要な Calendar Server コンポーネント

構成対象の Calendar ホストのタイプ 

設定プログラムで選択されるコンポーネント 

フロントエンド 

HTTP サービスおよび管理サービス 

バックエンド 

通知サービス、予定通知サービス、分散データベースサービス、および管理サービス 

分散データベースサービス (csdwpd) は、バックエンドサーバー、つまりカレンダデータベースのあるサーバーにのみ必要とされ、ユーザーアクセスサービス (cshttpd) を提供しません。これは、カレンダデータベースのないフロントエンドサーバーには必要とされません。csdwpd サービスを使用することで、同じ Calendar Server 設定内のフロントエンドとバックエンドのサーバーをリンクし、分散型のカレンダストアを形成することができます。

Calendar Server の管理者の計画

Calendar Server の管理者には、次の管理者が含まれます。

Calendar Server 管理者 (calmaster)

Calendar Server 管理者とは、ユーザー名とそれに関連付けられたパスワードの組み合わせのうち、Calendar Server の管理権限を付与されているユーザーのことです。たとえば、Calendar Server 管理者は Calendar Server サービスの起動と停止、ユーザーの追加と削除、カレンダの作成と削除などを実行できます。このユーザーは Calendar Server の管理権限を持ちますが、ディレクトリサーバーの管理権限を持つとは限りません。

Calendar Server 管理者のデフォルトのユーザー ID は calmaster ですが、Calendar Server の設定時に別のユーザーを指定することもできます。インストール後に別のユーザーを指定する場合は、ics.conf ファイルの service.admin.calmaster.userid パラメータの設定を変更します。

Calendar Server 管理者として指定するユーザー ID は、ディレクトリサーバー内の有効なユーザーアカウントである必要があります。Calendar Server の設定時に Calendar Server 管理者のユーザーアカウントがディレクトリサーバーに存在していない場合には、設定プログラムがアカウントを自動的に作成します。

ics.conf ファイルの Calendar Server 管理者用設定パラメータの完全なリストについては、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』を参照してください。

Calendar Server ユーザーおよびグループ

Solaris システムでは、これらの特別なアカウントは Calendar Server の実行に使用されるユーザー ID とグループ ID を示しています。特別なアカウントが存在しないときは、設定プログラムによって自動的に作成されるデフォルト値 icsuser および icsgroup を使用してください。ただし、Calendar Server 設定プログラムの実行時に icsuser および icsgroup 以外の値を指定することもできます。これらの値は、それぞれ ics.conf ファイルの local.serveruid パラメータおよび local.servergid パラメータに格納されます。

スーパーユーザー (root)

Solaris ソフトウェアが稼働するマシン上では、Calendar Server をインストールするには superuser (root) としてログインするか、あるいは superuser になる必要があります。コマンド行ユーティリティを使用して superuser として実行し、Calendar Server を管理することもできます。ただし、一部のタスクについては、Calendar Server ファイルへのアクセスの問題を回避するために、superuser としてではなく icsuser および icsgroup (または選択した値) として実行することをお勧めします。

Calendar Server のホストしているドメインの計画

Calendar Server はホストしている (または仮想) ドメインをサポートしています。ホストしているドメインのインストールでは、各ドメインが Calendar Server の同じインスタンスを共有するため、1 つのサーバーに複数のドメインが存在できます。各ドメインはネームスペースを定義し、1 つのネームスペースではすべてのユーザー、グループ、リソースが一意です。各ドメインには、変更可能な属性とユーザー設定もあります。

ホストしているドメインのインストールおよび設定には、スキーマ 2 だけを使用してください。

ホストしているドメインをサーバーにインストールおよび設定するには、次の高レベルの手順を実行します。

  1. Directory Server をインストールおよび設定します。

  2. Web Server または Application Server をインストールおよび設定します。

  3. Access Manager をインストールおよび設定します。

    Access Manager とともに Delegated Administrator がインストールされます。

  4. Calendar Server をインストールします。

  5. comm_dssetup.pl スクリプトを実行します。

    このスクリプトの実行手順については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』の第 2 章「Directory Preparation Script (comm_dssetup.pl)」を参照してください。

  6. Communications Services Delegated Administrator を設定します。

    Communications Services Delegated Administrator ユーティリティの設定手順と使用手順については、『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Delegated Administrator 管理ガイド』を参照してください。

  7. デフォルトドメインおよびサイト管理者 (calmaster ) を作成します。

    デフォルトドメインは commadmin の設定時に作成されます。ただし、ドメインエントリを変更して、Calendar または Mail サービスを追加する必要があります。また、サイトカレンダ管理者 (calmaster) を設定する必要があります。これらの 2 つのタスクの実行方法の手順については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』のパート II「Postinstallation Configuration」を参照してください。

  8. Calendar Server を設定します。

    csconfiguratior.sh プログラムの実行手順については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』の第 3 章「Calendar Server Configuration Program (csconfigurator.sh)」を参照してください。

  9. Calendar Server のホストしているドメインの設定パラメータを設定します。

    設定パラメータおよびその値のリストについては、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』「Hosted Domain Configuration」を参照してください。

  10. commadmin ユーティリティを使用して、ホストしているドメインをサイトに作成します。

  11. commadmin ユーティリティを使用して、ホストしているドメインにユーザーおよびリソースを配置します。

  12. Calendar Server サービスを起動します。

    手順については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』「Starting and Stopping Calendar Server」を参照してください。


    注 –

    常時 Communications Services Delegated Administrator インタフェースを使用して、スキーマ 2 のプロビジョニングを行なってください。

    スキーマ 1 のプロビジョニングツールはホストしているドメインをサポートしていません。


Calendar Server のインストール後の設定

Calendar Server ソフトウェアをインストールしたら、その設定をする必要があります。この手順は、従来インストールプロセスの一部として行われましたが、現在インストーラから分離されています。

Calendar Server をインストールしたあと、次のように Calendar Server を設定する必要があります。

  1. Directory Server 設定スクリプト (comm_dssetup.pl) を実行し、Sun Java System Directory Server を設定します。

  2. Calendar Server 設定プログラム (csconfigurator.sh) を実行してサイト固有の要件を設定し、新しい ics.conf 設定ファイルを作成します。ics.conf ファイルのパラメータの説明については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』「Configuration Parameters (ics.conf) File」を参照してください。

    comm_dssetup.pl スクリプトは /opt/SUNWcomds/sbin ディレクトリに、csconfigurator.sh ユーティリティは /opt/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに格納されています。

    Java Enterprise System インストーラおよび Calendar Server 設定ユーティリティ (csconfigurator.sh ) が実行しない、構成の設定や変更がいくつかあります。次の項目は手動で変更する必要があります。

    • DWP および CLD の設定: ics.conf ファイルを編集して、CLD キャッシュオプションを有効にしてください。このキャッシュがカレンダユーザーの DWP ホストサーバー情報を格納することで、LDAP ディレクトリサーバーに対する呼び出しを減らすことができます。

    • デフォルトのタイムゾーン:デフォルトのタイムゾーンがアメリカのニューヨークでない場合、 ics.conf ファイルを編集して変更してください。さらに、/opt/SUNWics5/cal/bin/html/default_user_prefs.xml ファイルも変更して、ics.conf ファイルと同期するようにする必要があります。

    • クライアント側のレンダリング: Calendar Server では、XSLT 処理をエンドユーザーのブラウザにダウンロードすることで、クライアント側のレンダリングを実行します。このため、Calendar Server が実行する必要のある処理は減少します。Calendar Server は、ブラウザが XSLT 処理のレンダリングに対応している場合にだけ XSLT 処理をダウンロードします。現在のリリースでは、この機能は Internet Explorer 6.0 以降だけに適用されます。ics.conf ファイルを編集して、クライアント側のレンダリングへのこのようなパフォーマンスの改善を行なってください。

    • tmpfs の設定:tmpfs の設定を編集してパフォーマンスを向上させてください。

    これらの変更の詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』を参照してください。