Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

パート V Communications Express の配備

この部には、次の章があります。

第 25 章 Communications Express ソフトウェアの紹介

Communications Express は、通信およびコラボレーション用の Web ベースの統合クライアントです。Communications Express は Messaging Server と Calendar Server の共通ソフトウェアであり、カレンダ情報、メール、およびアドレス帳に対する Web インタフェースをエンドユーザーに対して提供します。

Communications Express は、カレンダ、アドレス帳、メールの 3 つのクライアントモジュールで構成されます。

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Communications Express の概要

Communications Express は次の Sun Java System コンポーネント製品に依存します。

Communications Express をフロントエンドサーバーとしてインストールします (複数層環境)。Communications Express を実行する同じホストに Messaging Server パッケージの完全なセットをインストールする必要があります。また、Communications Express と Messenger Express の両方を、同一 IP アドレス上で実行する必要があります。Messaging Server パッケージは、Messenger Express として動作するように構成することもできますし、Messenger Express が実行されているバックエンドストアに接続する MEM として動作するように構成することもできます。

さらに、フロントエンドマシン上の Communications Express のアドレス帳を設定して、LDAP ディレクトリインフラストラクチャか Communications Express マシン以外の LDAP サーバーのいずれかにデータが格納されるようにすることができます。詳細については、『Sun Java System Communications Express 6 2005Q4 管理ガイド』を参照してください。

Communications Express は、Calendar Server との通信に Calendar Server HTTP サービスを、Messaging Server との通信に mshttpd デーモンを、アドレス帳との通信に LDAP サービスを、それぞれ使用します。cshttpd デーモンはローカル、リモートのいずれかに、mshttpd デーモンはローカル Web メールサーバー、ローカル MEM のいずれかに、LDAP サービスはローカル、リモートのいずれかに、それぞれ設定できます。

ロードバランサまたはポートディレクタタイプのデバイスを使用する場合は、ユーザーがセッション中に同じフロントエンドサーバーに継続的にルーティングする「スティッキ」(持続的) な接続を使用してください。

Communications Express の機能

Communications Express の高レベルのアーキテクチャー

カレンダクライアントモジュールとアドレス帳クライアントモジュールは、Web コンテナ、つまり Sun Java Systems Web Server または Sun Java Systems Application Server のいずれかに単一の Web アプリケーションとして配備されます。メールモジュールは、Messenger Express によってレンダリングされます。Messenger Express は、Messaging Server の HTTP サービスを使用する、スタンドアロンの Web ベースのメールアプリケーションです。

Messenger Express または MEM は、Communications Express の配備先と同じシステム上に配備する必要があります。

図 25–1 は、Communications Express ソフトウェアのアーキテクチャーを示したものです。

図 25–1 Communications Express ソフトウェアの高レベルのアーキテクチャー

この図は、Communications Express の高レベルのアーキテクチャーを示しています。

Communications Express は、次のモジュールで構成されます。

第 26 章 Communications Express アーキテクチャーの開発

この章では、Communications Express の基本的な配備アーキテクチャーについて説明し ます。配備に実装する機能に応じて、異なるホストのセットおよびその他のネットワークインフラストラクチャーをインストールする必要があります。

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Communications Express 基本アーキテクチャー

この Communications Express 基本アーキテクチャーでは、カレンダモジュール、アドレス帳モジュール、およびメールモジュールが、単一ホスト上の Web コンテナ内に配置されます。Messenger Express は、Messaging Server の HTTP サービスを使用する、スタンドアロンの Web インタフェースメールアプリケーションです。Messenger Express は、カレンダモジュールとアドレス帳モジュールと同じシステム上に配備されます。

この基本機能を利用するには、次のコンポーネントをインストールする必要があります。

この例では、次のようにします。

図 26–1 は、Communications Express の基本アーキテクチャーを示したものです。

図 26–1 Communications Express 基本アーキテクチャー

この図は、Communications Express 基本配備の例を示しています。

次の表は、このアーキテクチャーで使用するプロトコルとポート番号について説明しています。

表 26–1 Communications Express の基本配備アーキテクチャーで使用されるプロトコルとポート

プロトコル 

ポート 

用途 

SMTP 

25 

他のシステムと通信する Messaging Server MTA コンポーネント、および電子メール通知用 Calendar Server (csenpd) コンポーネント

HTTP 

80 

Communications Express フロントエンドと通信するインターネットユーザー、および Messaging Server と通信する Communications Express 

HTTP 

81 

Calendar Server と通信する Communications Express 上の Calendar Express 

MSHTTP 

82 

Messenger Express と通信するインターネットユーザー 

LDAP 

389 

LDAP ディレクトリと通信する Messaging Server と Calendar Server 

リモートホストアーキテクチャーの Communications Express

図 26–2 は、イントラネットユーザーとインターネットユーザーの双方に対応した Communications Express アーキテクチャーを示しています。イントラネットユーザーは、Communications Express バックエンドホストにログオンします。インターネットユーザーは、DMZ 内の Communications Express フロントエンドホストにログオンします。すると、そのフロントエンドホストがバックエンドホストと通信します。シングルサインオンはバックエンドホスト上で有効化されます。

フロントエンドホストには、次のコンポーネントをインストールします。

バックエンドには、次のコンポーネントをインストールします。

図 26–2 は、リモートホストアーキテクチャーの Communications Express を示しています。

図 26–2 リモートホストアーキテクチャーの Communications Express

この図は、Communications Express をリモートホスト上に配備する例を示しています。

次の表は、このアーキテクチャーで使用するプロトコルとポート番号について説明します。

表 26–2 Communications Express リモートホスト配備例で使用されるプロトコルとポート

プロトコル 

ポート 

用途 

HTTP 

80 

DMZ 内の Communications Express フロントエンドホストと通信するインターネットユーザー 

HTTP 

81 

DMZ の背後にあるバックエンドホスト上の Messenger Express と通信する、DMZ 内の Communications Express フロントエンドホスト上の Messaging Express マルチプレクサ (MEM) 

HTTP 

82 

同じくバックエンドホスト上に存在する Calendar Server と通信する、バックエンドホスト上の Communications Express 

LDAP 

389 

LDAP ディレクトリと通信する Messaging Server と Calendar Server 

HTTP 

8081 

バックエンドホスト上に存在する Calendar Server と通信する、フロントエンドホスト上の Communications Express 

第 27 章 Communications Express のインストール前の考慮事項について

この章では、Communications Express のインストール前に考慮が必要な事項について説明します。

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Communications Express インストール時の考慮事項

Communications Express をインストールする前に、次の計画局面を検討してください。

Communications Express メールで S/MIME を使用するための要件

Communications Express メールで、S/MIME (Secure/Multipurpose Internet Mail Extension) のセキュリティ機能が利用可能になりました。S/MIME を使用するように設定された Communications Express Mail ユーザーは、ほかの Communications Express Mail ユーザーや、Microsoft Outlook メールシステムなどの S/MIME をサポートするメールクライアントのユーザーと、署名または暗号化されたメッセージを交換できます。

S/MIME を使用するための一般的な要件

Communications Express メールユーザーが S/MIME の署名機能と暗号化機能を使用できるようにするための要件は、次のとおりです。

S/MIME 配備前に知っておくべき概念

S/MIME 用のメールシステムを配備する前に、次の概念を熟知しているか確認してください。

Communications Express の詳細情報の入手先

Communications Express をインストールおよび設定するには、『Sun Java System Communications Express 6 2005Q4 管理ガイド』の手順を参照してください。

S/MIME を管理するには、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』の第 20 章「Communications Express メールでの S/MIME の管理」を参照してください。