Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

メッセージングトポロジ例の作成

トポロジ上のニーズ、戦略、トポロジ要素について基本的な部分を理解すれば、メッセージングトポロジを作成できます。メッセージングトポロジの作成方法を示すために、この節では Siroe Corporation の例を使用します。

Siroe Corporation は、ニューヨークに本社を置くマルチメディア企業です。ロサンジェルスとシカゴに小さなオフィスを持ち、サンディエゴとミネアポリスに遠隔オフィスがあります。

ステップ 1: メッセージング目標の確認

トポロジ作成の最初のステップは、組織の目標を確認することです。第 2 章「Communications Services の要件の分析」で行なったように、Siroe のメッセージング目標を、ビジネス目標、技術的および財務的制約に分類します。

Siroe のビジネス目標

財務、マーケティング、法務、IT、エンジニアリングの各グループがニューヨークにあります。クリエイティブグループはロサンジェルスとサンディエゴにあります。テクニカルサポートグループはシカゴとミネアポリスにあります。メッセージのほとんどは、シカゴ、ロサンジェルス、ニューヨーク間で送信されています。

Siroe Corporation の従業員は、通信の主要手段を電子メールに依存しています。平均すると、従業員は 1 日に約 15 件のメッセージを送信しており、スプレッドシート、プレゼンテーション、またはアニメーション形式の添付ファイルを送信しています。

配備の計画者は、メッセージングサーバーのホストをシカゴ、ロサンジェルス、ニューヨークに配置することを決定しました。サンディエゴとミネアポリスの電子メールトラフィックは比較的少ないため、これらの遠隔オフィスは、シカゴとロサンジェルスのサーバーに接続するメールクライアントを持つだけになります。

Siroe の財務的および技術的制約

予算上の制約により、Siroe は稼働中の既存のインフラストラクチャーとハードウェアを使用し、サーバーをクリティカルなニーズのある場所に移動する予定です。24 時間年中無休のサポートは、ニューヨーク、シカゴ、ロサンジェルスのオフィスでのみ実施します。すべてのオフィスは T3 回線でインターネットに接続されます。

ステップ 2: トポロジ戦略の選択

メッセージングトポロジ作成の 2 番目のステップは、「メッセージングトポロジの設計」で説明されているトポロジ戦略の選択です。Siroe Corporation は、ビジネス目標と財務的および技術的制約の評価を行いました。その結果、次の判断を下しました。

次に、Siroe Corporation は目標と制約を一般的な設計戦略にマップしました。図 12–7 は Siroe Corporation がハイブリッドトポロジを選択したことを示します。

図 12–7 Siroe Corporation のハイブリッドトポロジ

この図で、Siroe Corporation はハイブリッドトポロジを選択しています。

システムに対して送受信されるメッセージトランザクションのレートはニューヨークが最も高いため、Messaging Server を最も多く配置します。ニューヨークより小規模のロサンジェルスとシカゴは、サンディエゴとミネアポリスもサポートします。ただし、これらの遠隔オフィスには固有のメッセージングサーバーは必要ありません。代わりに、シカゴとロサンジェルスが遠隔オフィスのためのサービスの中央ロケーションとして機能します。

ステップ 3: トポロジ要素の計画

メッセージングトポロジ作成の最後のステップは、「メッセージングトポロジ要素の理解」で説明されているように、実際の配備におけるトポロジ要素を計画することです。次の図は、シカゴとミネアポリスオフィスのトポロジ要素を示します。

図 12–8 シカゴとミネアポリスオフィスのための Siroe のメッセージング配備におけるトポロジ要素

この図は、Siroe トポロジのシカゴとミネアポリスオフィスにおけるレイアウトを示します。

作業要員の 30 パーセントがサードパーティーのベンダと請負業者で構成されるため、トポロジ内で外部ファイアウォールに内部ファイアウォールを追加して、社内の場所へのアクセスを制限します。インターネット MTA をトポロジ内に配置し、インターネットからのメッセージをルーティングし、ファイアウォールを越えてリレーします。MTA が追加され、着信メッセージと発信メッセージがルーティングされます。受信メッセージと送信メッセージを分離することにより、大量のメッセージトラフィックに対応できます。MMP は、従業員の POP および IMAP メールクライアントをMessaging Server 内のそれぞれのメールボックスに接続します。MMP を使用することで、従業員はログイン時に特定のメールホストを知る必要がなく、管理者は従業員のメールボックスを別のメールサーバーにシームレスに移動できます。

メッセージングトポロジを作成することで、配備におけるすべての要素の物理的および論理的配置を考慮できます。また、導入のやり直しを最小限にとどめることが可能になります。