Calendar Server をインストールしたあと、実行する前に設定を行う必要があります。2 つの設定プログラムを次の順序で実行することが重要です。
comm_dssetup.pl
第 2 章「ディレクトリ準備スクリプト (comm_dssetup.pl)」の説明に従って、LDAP ディレクトリサーバーを設定します。
csconfigurator.sh
この章の説明に従って、Calendar Server を設定します。
この章で説明する内容は次のとおりです。
以前のバージョンの Calendar Server または Messaging Server をインストールしている場合は、LDAP ディレクトリエントリを Schema 1 から Schema 2 に移行する必要がある場合があります。
この章で説明している設定ユーティリティーを実行する前に、必ず『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Schema Migration Guide』を参照してください。上記マニュアルでは、設定ユーティリティーを実行するためのタイミングとオプションについて説明しています。
Calendar Server 設定プログラム csconfigurator.sh は、新しい ics.conf 設定ファイルを次のディレクトリに作成します。
Solaris の場合: /etc/opt/SUNWics5/config
Linux の場合: /etc/opt/sun/calendar/config
設定プログラムでは、インストールについての特定の情報を入力する必要がある、多くの質問が表示されます。
設定プログラムを実行する前に、次の設定情報を収集する必要があります。
設定情報の追跡に役立つように、付録 B 「Calendar Server 設定ワークシート」のワークシートを使用してください。ただし、ほかのコンポーネント製品との競合、たとえばポート番号の競合などを避けるため、Java Enterprise System インストーラを実行する前に情報を特定する必要があります。
Calendar Server では、ユーザーの認証や、ユーザー設定の格納と検索を行うためのディレクトリサーバーが必要です。次の表に、LDAP サーバーのホスト情報やポート情報の収集に使用するオプションを示します。
表 3–1 ユーザー設定ディレクトリのオプション
オプション |
説明 |
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LDAP サーバーのホスト名 |
ユーザー認証とユーザー設定に使用する LDAP ディレクトリサーバーのホスト名。デフォルトは現在のホストです。 |
LDAP サーバーのポート |
LDAP ディレクトリサーバーが待機するポート番号。デフォルトは 389 です。 |
ベース DN |
検索の開始点として使用する LDAP ディレクトリ内のエントリ。デフォルトは o=currentdomain です。 |
次の表に、Directory Manager として指定されたユーザーの名前とパスワードの収集に使用するオプションを示します。
表 3–2 Directory Manager のオプション
オプション |
説明 |
---|---|
Directory Manager DN |
ディレクトリサーバースキーマに変更を加えることができるユーザーの名前。デフォルトは cn=Directory Manager です。 |
Directory Manager のパスワード |
Directory Manager DN のパスワード。デフォルト値はありません。 |
Calendar Server 管理者はほかの Calendar Server ACL より優先されるユーザーアカウントです。Calendar Server 管理者ユーザーアカウントは、認証ディレクトリサーバーに存在している必要があります。このアカウントはプロキシ認証にも使用されます。次の表に、Calendar Server 管理者のユーザー ID とパスワードの収集に使用するオプションを示します。
表 3–3 Calendar Server 管理者のオプション
オプション |
説明 |
---|---|
管理者のユーザー ID |
Calendar Server 管理者のユーザー ID。 上記の LDAP ディレクトリサーバー内のユーザーである必要があります。デフォルトは calmaster です。 |
管理者のパスワード |
Calendar Server 管理者のパスワード。デフォルト値はありません。 |
サーバーに問題が生じたときに Calendar Server 管理者に電子メールのアラームメッセージを送信するように Calendar Server を設定できます。次の表に、電子メール情報の収集に使用するオプションを示します。
表 3–4 電子メールと電子メールアラームのオプション
オプション |
説明 |
---|---|
電子メールアラーム |
電子メールアラームを有効または無効にします。デフォルトは有効です。 |
管理者の電子メールアドレス |
電子メールのアラームメッセージを受信する Calendar Server 管理者の電子メールアドレス。 |
SMTP ホスト名 |
Calendar Server が電子メールアラームメッセージを送信する SMTP サーバーのホスト名。デフォルトは現在のホストです。 |
次に示す Calendar Server のランタイムオプションとシステムリソースオプションを設定できます。
表 3–5 ランタイム設定のオプション
オプション |
説明 |
---|---|
サービスポート |
Web (HTTP) アクセスができるようにするために Calendar Server が待機しているポートの番号。デフォルトは 80 です。 |
最大セッション |
同時実行可能な Calendar Server セッションの最大数。デフォルトは 5000 です。 |
最大スレッド |
同時実行可能な Calendar Server スレッドの最大数。デフォルトは 20 です。 |
サーバープロセスの数 |
Solaris の場合: 同時実行可能な Calendar Server プロセスの最大数。デフォルトは Calendar Server をインストールしているサーバーの CPU 数です。 Linux の場合: 同時に実行できるプロセスは 1 つのみです。 |
ランタイムユーザー ID |
Calendar Server を実行する UNIX ユーザー名。このユーザー名に root を指定することはできません。アカウントが存在しない場合は、設定プログラムによって作成されます。デフォルトは icsuser です。 |
ランタイムグループ ID |
Calendar Server を実行する UNIX グループ。グループが存在しない場合は、設定プログラムによって作成されます。デフォルトは icsgroup です。 |
Calendar Server が自動的に起動するように、次のオプションを設定できます。
表 3–6 Calendar Server 起動オプション
オプション |
説明 |
---|---|
インストールが成功したら起動する |
インストールに成功したあと、Calendar Server が自動的に起動するかどうか。デフォルトで選択されています。 |
システムの起動時に起動する |
システムの起動後、Calendar Server が自動的に起動するかどうか。デフォルトで選択されています。 |
Calendar Server は特定のディレクトリにカレンダデータベースファイル、ログファイル、および一時ファイルを作成し、情報を格納します。
表 3–7 データベース、ログ、および一時ファイルのディレクトリのオプション
オプション |
説明 |
---|---|
データベースディレクトリ |
Calendar Server がカレンダデータベース (*.db) ファイルを作成し、格納するディレクトリ。デフォルトは次のとおりです。 /var/opt/SUNWics5/csdb |
ログディレクトリ |
Calendar Server がログファイルを書き込むディレクトリ。デフォルトは次のとおりです。 /var/opt/SUNWics5/logs |
一時ファイルディレクトリ |
Calendar Server が一時ファイルを書き込むディレクトリ。デフォルトは次のとおりです。 /var/opt/SUNWics5/tmp |
アーカイブおよびホットバックアップの設定 |
Calendar Server がアーカイブバックアップを書き込むディレクトリ。毎日のスナップショットとトランザクションログを格納するためのユーザー定義ディレクトリ。両タイプのバックアップが必要な場合は、それらを別々のディレクトリに格納します。ディレクトリを指定しないと、バックアップは現在のディレクトリに格納されます。 |
ログファイルと一時ファイルのディレクトリの位置や名前を変更しないでください。
設定プログラムは、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) からでも、コマンド行からでも実行できます。
プログラムをリモート実行する場合は、DISPLAY 環境変数を正しく設定し、サーバーからの X-Windows 接続により、使用しているコンピュータ上に表示できるようにする必要があります。たとえば、xhost ユーティリティーを使用するには、使用しているコンピュータで次のコマンドを実行します。
xhost +
ここで説明する内容は次のとおりです。
スーパーユーザー (root) としてログインするか、スーパーユーザーになります。
/opt/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに移動します。
次の表から選択したオプションを使用してスクリプトを実行します。
たとえば、コマンド行モードで設定スクリプトを実行し、入力を状態ファイルに保存しない場合は、次のようにします。
./csconfigurator.sh -nodisplay
コマンド行バージョンでは、GUI と同じ情報が同じ順序で尋ねられます。デフォルト値は角括弧 [] で示されます。デフォルト値をそのまま使用するには、キーボードで Enter キーを押します。
スクリプトによって提示されるさまざまな質問に含まれる情報については、以降の節で示す GUI パネル内のテキストを参照してください。
スーパーユーザー (root) としてログインするか、スーパーユーザーになります。
/opt/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに移動します。
次のコマンドを実行します。
./csconfigurator.sh
設定プログラムでは、次のパネルが表示されます。
設定プログラムはシングルドメインを設定できるだけです。仮想ドメイン、ホストされたドメインなど複数のドメインを使用する場合は、Delegated Administrator コマンド行ユーティリティーを使用してドメインを追加する必要があります。
続行する場合は「次へ」をクリックし、終了する場合は「取消し」をクリックします。
ユーザー認証に使用する LDAP ディレクトリサーバーのホスト名。デフォルト: 現在のホスト
LDAP サーバーが待機するポート番号。デフォルト: 389
ディレクトリサーバースキーマに変更を加えることができるユーザーの名前。デフォルト: cn=Directory Manager
Directory Manager のパスワード。デフォルト: なし
検索の開始点として使用する LDAP ディレクトリ内のエントリ。デフォルト: o=currentdomain
これは必要に応じて変更できます。comm_dssetup.pl によって作成されたルートサフィックスを取得するには、「取得する」をクリックします。このようにして取得した baseDN は、現在の設定から作成される一例にすぎません。baseDN の取得に何を使用するかにかかわらず、LDAP コンテンツとの整合性がとれている必要があります。
「取得する」をクリックする前に、Directory Manager DN およびパスワードを入力してディレクトリサーバーの認証を行う必要があります。
Calendar Server 管理者のユーザー ID。 上記の LDAP ディレクトリサーバー内のユーザーである必要があります。デフォルト: calmaster
Calendar Server 管理者のパスワード。デフォルト: なし
続行する場合は「次へ」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 終了する場合は「取消し」をクリックします。
サーバーに問題が生じたときに Calendar Server が Calendar Server 管理者に電子メールのアラームメッセージを送信するかどうかを指定します。デフォルト: 「有効」
電子メールのアラームメッセージを受信する Calendar Server 管理者の電子メールアドレス。デフォルト: なし
電子メールアラームメッセージが送信される SMTP サーバーのホスト名。デフォルト: 現在のホスト
続行する場合は「次へ」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 終了する場合は「取消し」をクリックします。
Web (HTTP) アクセスができるようにするために Calendar Server が待機しているポートの番号。デフォルト: 80
同時実行可能な Calendar Server セッションの最大数。デフォルト: 5000
同時実行可能な Calendar Server スレッドの最大数。デフォルト: 20
サーバー上で実行できる Calendar Server プロセスの最大数。デフォルト: Calendar Server をインストールしているサーバーの CPU 数
Calendar Server を実行する UNIX ユーザー名。この名前に root を指定することはできません。アカウントが存在しない場合は、設定プログラムによって作成されます。デフォルト: icsuser
Calendar Server を実行する UNIX グループ。グループが存在しない場合は、設定プログラムによって作成されます。デフォルト: icsgroup
チェックボックスをクリックしてどちらかまたは両方のオプションを選択します。
インストールが成功したら起動する
インストールに成功したあと、Calendar Server が自動的に起動するかどうかを指定します。デフォルト: チェックマークあり
システムの起動時に起動する
システムの起動後、Calendar Server が自動的に起動するかどうかを指定します。デフォルト: チェックマークあり
続行する場合は「次へ」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 終了する場合は「取消し」をクリックします。
このパネルでは、デフォルトのディレクトリをそのまま使用してください。設定およびデータファイルの格納先ディレクトリを選択できますが、お勧めしません。
設定ファイル (ics.conf) が格納されるディレクトリ。
Calendar Server でカレンダデータベースファイルを作成し、格納するディレクトリ。デフォルト: /var/opt/SUNWics5/csdb
Calendar Server がログファイルを書き込むディレクトリ。デフォルト: /var/opt/SUNWics5/logs
Calendar Server が一時ファイルを書き込むディレクトリ。デフォルト: /var/opt/SUNWics5/tmp
続行する場合は「次へ」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 終了する場合は「取消し」をクリックします。
このパネルでは、自動バックアップタイプの両方、または 2 つのタイプのどちらかを選択できます。または、どちらも選択しなくてもかまいません。必要に応じて、各ボックスを選択または選択解除します。アーカイブバックアップとホットバックアップの両方を使用することを強くお勧めします。
機器の損傷のためにデータベースのコピーがすべて失われることがないようにしてください。自動バックアップコピーは、ライブデータベースが格納されているものとは別のディスクやディスクシステムに保存してください。
自動バックアップについては、第 10 章「自動バックアップ (csstored) の設定」を参照してください。
このボックスにチェックマークが付いていると (デフォルト)、csstored によって 24 時間ごとにカレンダデータベースのスナップショットが取得されます。一日の終わりに、その日のトランザクションログファイルがスナップショットとともにアーカイブバックアップディレクトリに格納されます。
「参照...」をクリックしてバックアップディレクトリを選択するか、デフォルトをそのまま使用します。
このボックスにチェックマークが付いていると (デフォルト)、csstored によって 24 時間ごとにカレンダデータベースのスナップショットが取得されますが、設定された間隔 (デフォルトでは 2 分) でトランザクションログがスナップショットに適用されるため、ライブデータベースとほぼ同じ内容が保証されます。
「参照...」をクリックしてバックアップディレクトリを選択するか、デフォルトをそのまま使用します。
「最小」および「最大」フィールドの上向きの矢印または下向きの矢印をクリックすると、アーカイブバックアップをバックアップディレクトリに保存しておく日数を選択できます。
「最小」および「最大」フィールドの上向きの矢印または下向きの矢印をクリックすると、ホットバックアップをディレクトリに保存しておく日数を選択できます。
一度に実際に格納されるコピー数は、ファイルのサイズやディレクトリのサイズによって異なります。ics.conf ファイルで設定したサイズ制限、または最大コピー数の制限のいずれかを超えると、この設定パネルで指定した最小数まで、もっとも古いコピーが破棄されます。
続行する場合は「次へ」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 設定プログラムを終了する場合は「取消し」をクリックします。
これまで、パネルを使って設定に必要な情報を収集したり、有効性を検査したりしてきました。この時点では、設定情報を前に戻って入力し直すことも、設定を開始することもできます。
Calendar Server を設定する場合は「すぐに設定する」をクリックし、前のパネルに戻る場合は「戻る」をクリックします。 終了する場合は「取消し」をクリックします。
「詳細」をクリックして設定ログの詳細を表示するか、または「閉じる」をクリックして設定プログラムを終了します。